外から絶え間なく聞こえてくる騒音があったにも関わらず、その時、祈りへ向かう私の心は平穏と感謝の思いに包まれ、心臓は静かなリズムを刻んでいた。
吐く息、吸う空気のゆっくりとした繰り返しのうちに私のすべては内的沈黙のうちに祈る体勢を整えていた。
このマザーハウスのチャペルは完璧なほどの神秘に包まれている祈る箱であり、心の深いところまでのすべてを祈りに集中させる。
ロザリオを手にし、膝立ちしてから、今日はサイレントであることを知った。
最後のアドレーション、声を出してロザリオの祈りを祈りたかった気持ちもあったが、これもまた違った祝福の在り方だと思い、沈黙のうちにマザーの「ベナレスからの手紙」をゆっくり読めると言う祝福を与えられていると感じた。
隣に座っていたグレッグの手にロザリオがないことを知り、私はちょうどポケットに持っていた木の小さなロザリオをそっとあげた。
これも私の最後のカルカッタの夜に与えられた祝福の一つであることを感じた。
グレッグはきっと今回の彼の滞在の間、そのロザリオを大切に使い、私のことを思い祈ってくれることを信じれたからである。
私はまた御聖体をただ一心に見続けた。
海面に映る満月の光線のような道が私と御聖体をつなぐ、そこへ私は今までの感謝を溢れる思いのまま述べ伝えた。
それは行っては帰ってくる波のように私をも祝福してくれていた。
それは愛し愛される限りなく優しい波になっていた。
私は膝立ちから腰を下ろし、「ベナレスの手紙」を読み始めた。
マザーが切にイエスの愛を伝えようとしている比類ない溢れる愛を痛むほど感じ、また時に御聖体に目を向け祈りながらゆっくりと読み続けていった。
ジムがチャペルに入ってきた。
祈りに集中するためにボランティアたちは暗黙のうちに間隔をあけ座っていたのだが、彼はそれを無視し、私の隣に座った。
その時、気が付いた、ジムは今日に限らず、いつも私をイエスに導くために、私の傍でいつも祈っていてくれたのである。
彼は神さまに誓ったGod Fatherとしての役目を常にしようと努めていてくれたのである。
彼もまたイエスの愛を伝えようとGod sonの私を見守ってくれていたのである。
{つづく}