カルカッタでの最後のアドレーションは4月3日の木曜日だった。
この最後のアドレーションの時、私は今回の滞在の締めくくりとして、それまで何度も読んでいたが、やはりもう一度最後にマザーハウスのチャペルの中でマザーの遺言と言って良い「ベナレスからの手紙」を読もうと持って行った。
1993年3月、マリアのお告げの祝日にマザーからマザーのすべての修道会に配られたこの手紙は、マザーはチャペルの中で書き上げたゆえに、チャペルの中で読むようにとマザーはその意向を手紙の中に書いていた。
私はマザーが生涯一番長く祈り続けたマザーハウスのそのチャペルで、それを実際に読むことがこれ以上ないほどの彼女の愛と親近感、その臨場感を抱き合わせ、隣でマザーが語り掛けてくれているその声が聞こえてきそうなその場所で読みたかった。
この手紙はその前の火曜日、四旬節の間チャペルの左奥の小さなチャペルでボランティアのための特別なアドレーションの時、その一部が読まれ、その時、私は最後のアドレーションの時にはもう一度読み直そうと決めた。
木曜日のアドレーションは6時から始まる、その日はサイレントのアドレーションだった。
サイレントのアドレーションとは普通月曜と金曜なのだが、事情により、たまにそれがずれる時がある、その日がそうであった。
{つづく}