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とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

仙女効果

2012-12-09 23:07:11 | 日記
仙女効果


出雲神楽 


 
 
 「かぐら」の語源は「神座」(かむくら・かみくら)が転じたとされる。神座は「神の宿るところ」「招魂・鎮魂を行う場所」を意味し、神座に神々を降ろし、巫・巫女が人々の穢れを祓ったり、神懸かりして人々と交流するなど神人一体の宴の場であり、そこでの歌舞が神楽と呼ばれるようになったとされる。古事記・日本書紀の岩戸隠れの段でアメノウズメが神懸りして舞った舞いが神楽の起源とされる。アメノウズメの子孫とされる猿女君が宮中で鎮魂の儀に関わるため、本来神楽は招魂・鎮魂・魂振に伴う神遊びだったとも考えられる。

 神楽は、宮中の御神楽(みかぐら)と、民間の里神楽(さとかぐら)に分けられる。里神楽は民俗学者である本田安次(1906-2001)がさらに巫女神楽・出雲流神楽・伊勢流神楽・獅子神楽に分類したが、この分類では不都合もあり、近年里神楽の分類の見直しも考えられている。多くの神社では、近代に作られた神楽も行われている。

出雲流神楽(石見神楽)は島根県佐陀大社の御座替神事を源流とする神楽。この神事(佐陀神能)は取り替えた御座を清めるための採物舞と神話や神社縁起を劇化した神能などから成り、この流れを汲んで演劇性を高めた神楽が中国地方中心に全国へ広がった。特に島根県西部や広島県北西部に伝わる石見神楽の系流は、娯楽芸能として子供にも人気がある。(Wiki)

 私が体調を崩して外出しなかった間に、ご縁市場ではちょっとした中村仙女効果が現出していました。何しろ仙女さんは舞台女優としては最高レベルの評価を得ていましたので、絵が贈られたことと小学校での定期的な公演をするという噂は地元で瞬く間に広まり、ご縁劇場で公演したいという団体が現れたのです。具体的には、出雲神楽の公演、出雲の和太鼓の演奏の二つです。長柄さんが私の見舞いに来てくれて、そういう話をしてくれました。

 
 畝本さん、大分元気が出たようだね。

 ああ、ありがとうございます。ご心配をおかけしました。

 いやいや、貴方が休んでいるときに大きな動きがありました。

 何でしょう。

 神楽と太鼓だよ。

 あそこで演るんですか。

 仙女さんの公演が決まったことが噂になり、名乗りをあげたんだよ。やっぱりすごいね。大女優だよ。

 ああ、貴方が舞台姿の絵を描くことを・・・。

 そう、頼んだことも効果があったみたいだね。

 で、古賀所長はどう仰っているんですか。

 勿論大歓迎してるよ。事務所に行ったときも意外な展開にびっくりしていた。

 地元の芸能集団が動いてくれれば、いよいよ盛り上がりますね。

 そう、・・・何だか怖いような気もするけどね。

 どうしてですか。

 予算的な面と継続性の問題だね。

 一時的な盛り上がりに終わらせたくないですね。

 古賀さんとか佐山さんとかがその点も考えていると思うよ。

 郁子さんの出番も来ましたね。

 ああ、その舞台づくりだけれど、かつての仲間が道具を貸してくれたり、助けてくれることになっているそうだよ。

 そりゃ、心強いですね。・・・でも、昔劇団の仲間と何かあったということを聞いてますけれど・・・。

 あれはオーナーとのトラブルだったようで、郁子さんの味方はたくさんいるらしい。

 そうですか。・・・郁子さんも三美神の一人ですからね。

 三美神。

 そうです。京子さん、笙子さん、郁子さんですよ。

 誰がそんなこと・・・。

 まあ、誰だっていいじゃないですか。あの三人あってのご縁市場ですよ。

 それは、まあ、そうだね。・・・ぴったりだ。長柄さんは大きく頷きました。
 
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開館の日の明暗

2012-12-02 22:42:13 | 日記
開館の日の明暗





 ミシェル・コルネイユ 「天国への栄光」

 
 坂本さん、古賀画伯、冴子さん、佐山医師、市の担当者たちの尽力により、いよいよご縁美術館が開館する運びとなりました。前宣伝はごく控えめに行い、開館のセレモニーも質素に行い、出来るだけ余計な費用は切り詰めようという申し合わせがあったので、開館の日は平常と変わらないような静けさでした。・・・いや、これは後日私が佐山医師から聞いた話であります。私は、と言いますと、実は体調を崩して生死の間を彷徨っていました・・・、いやこれは大袈裟かも知れませんが、突然脳貧血のような状態になり、一時的に意識をを失っていたのであります。ごく稀に私は原因不明の発作が起こり、今までも何度か倒れました。運悪く開館の日の前日の夜中発作が起こり、佐山医院に担ぎ込まれました。


 暗闇の中から誰か呼び声が聞こえてきました。我が家のかつての家族、死んだ母、育ててくれた母、そして父、弟、祖母、祖父。そういう死者の声が・・・ああ、そして妻の声が聞こえてくるような気がしていました。全くの暗闇で何も見えませんでしたが、一筋の光芒が来世の世界を照らし出しているような、そんな気持ちだけはかすかに記憶しています。・・・長い時間私はベッドに横たわっていたようでした。意識がしっかりしてきたのは、翌日の開館の日でした。真っ先に私が見た顔は佐山医師と妻の顔でした。


 畝本さん、畝本さん、・・・私が分かりますか。

 ああ、分かります。・・・先生ありがとうございます。

 よかったです。もう、大丈夫です。

 あなた、・・・もう無理しないでくださいね。

 ああ、わかってる。

 美術館、今日が開館です。

 嬉しいです。早く見たいです。

 気持ちはよく分かりますが、今の状態では無理です。

 どういう作品が・・・。

 坂本さんの努力で、いい作品が集まりました。知名度では中村仙女さんの作品がメインですが、すごいラインナップです。私の妻も出しています。

 ああそうですか、奥さんの作品も・・・。

 そうです。妻も開館まで努力していました。

 奥さんも、・・・そうですか・・・。

 先妻からも祝電がきました。今大学病院の副院長をしています。これは意外でした。

 そうですか、祝電が・・・、私も嬉しいです。

 私もあれこれ思い出しています。・・・最初の妻は死にました。

 えっ、そうですか。・・・確かそんなことを息子さんが仰っていたような・・・。

 あいつ、そんなことまで言ってましたか。

 ええ、確か以前・・・そうだったと・・・。

 畝本さん、あなたは・・・ほんとに不思議なお方ですね。

 ああ、また言われました。・・・私は、ふにゃふにゃの頼りにならない男ですよ。

 そんな言い方は止めてください。

 いや、ほんとですよ。

 まあ、その話はそれで止めましょう。・・・貴女の奥さんは立派なお方ですね。みんな許しておられる。

 いやいや、怖いやつですよ。一番恐ろしいです。頭が上がりません。

 ごちそう様、円満で羨ましいですよ。

 いやいや、そんな・・・。

 じゃ、しばらく休んでいてくださいね。奥さん、何かありましたら連絡してください。と言って、診察室の横の部屋から佐山医師は出て行きました。私の頭の中ではまだいろいろなものが渦まいていました。

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小学校の美術館

2012-12-01 07:58:53 | 日記
小学校の美術館



『アルテピアッツァ美唄』
 
 北海道美唄の元炭鉱町に、廃校になった学校の校舎を利用した美術館がある。世界的に評価の高い地元出身の彫刻家、安田侃(やすだ かん)の作品を校舎内や校庭などに展示した、入場無料の美術館である。


 私はあの美術館をモデルにしたいです。校舎がそのまま美術館になっています。坂本さんは帰り道そういうことを話しました。

 私もネットで見ました。外観が美しいですね。

 そうです。子どもたち声が聞こえてきそうです。

 もうすぐですね、開館。

 ええ、緊張しますね。

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