とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

もしかして宮崎

2011-07-29 22:57:31 | 日記
もしかして宮崎




 私はこの写真のような宮崎の青島が好きである。フェニックスの並木の南国風の宮崎の町なみは今でも鮮明に思い出すことができる。
 小倉から日豊線に乗り換えてしばらく南に下ると、うっそうとした山々が車窓の両側に広がる。佐伯から延岡の区間はほとんど山間部を通り、市街地は佐伯駅周辺と延岡駅周辺のみである。途中の駅はすべて無人駅で、ああ、田舎だなあという気がした。島根を思い出し、かえって落ち着いた。学生時代初めて九州旅行をしたときの思い出である。
 それから何度も宮崎にいった。そして、最後は教員採用試験を受けにいった。初めは中学校、2回目は高校。中学は合格したが、高校は不合格。だから、私は中学に望みを繋いでいた。私は宮崎の教員になれるかもしれない、・・・。
 3月中ごろ採用通知がきた。宮崎のある町立の学校だった。よし、行こう!! 私には静かなところがむいている。私は家族に手伝って貰い荷物をまとめた。整った荷物を眺めながら夢が叶った喜びを味わっていた。しかし、その直後、島根の高校の採用通知がきた。浜田商業高校と書いてあった。私は万一のことを考えて二股をかけていたのである。
 すると、両親が私を説得し始めた。お前は長男だから・・・。私はその言葉に苦しんだ。私は両親への恩返しということを考えた。故郷を遠く離れた九州の大学を出て、すべてのしがらみから解放されて九州に住む。私はずっとそう考えていた。しかし、こういう私の夢は両親の説得でとうとう潰えてしまった。
 私は、宮崎と聞くと、今でも心が痛む。人生は思いのままにならないものである。

 クリック募金のご協力をお願いいたします。
イーココロ!クリック募金


東北関東大震災 緊急支援クリック募金