今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

なでし子物語・三部作

2021年06月27日 | 「本」のひきだし

ブクログより


父を亡くし母に捨てられ、祖父に引き取られたものの、学校ではいじめに遭っている耀子。夫を若くして亡くした後、舅や息子と心が添わず、過去の思い出の中にだけ生きている照子。そして、照子の舅が愛人に生ませた男の子、立海。彼もまた、生い立ちゆえの重圧やいじめに苦しんでいる。

時代は1980年、舞台は天竜川のほとり。
居場所のない少女と少年、そして早くに夫を亡くし過去に生きる女が出会ったところから物語は始まります。
3人に共通しているのは家族に恵まれなかったということ。
それゆえに閉ざされてしまった心や、頑なになってしまった心、そしてあきらめ。
けれど主人公耀子(居場所がなかった少女)が現れたことによって少しずつ変わり始めます、耀子自身も。
新しい物語が始まるのです。

愛らしい表紙のイラストが何ともいいです。




同じく



遠州峰生の名家・遠藤家の邸宅として親しまれた常夏荘。幼少期にこの屋敷に引き取られた耀子は、寂しい境遇にあっても、屋敷の大人たちや、自分を導いてくれる言葉、小さな友情に支えられて子ども時代を生き抜いてきた。

時が経ち、時代の流れの中で凋落した遠藤家。常夏荘はもはや見る影もなくなってしまったが、耀子はそのさびれた常夏荘の女主人となり―。

なでし子物語の続編。
立海と耀子が離れ離れになったところで前回は終わりましたが、本作ではいきなり耀子は女の子のお母さんになっていて、そしてその結婚相手はことあろう龍治であり、ということは耀子は常夏荘の女主人となっていたのです。
というとなんと良いご身分に出世と思いますが、時は経ち、時代は変わり遠藤家も凋落、常夏荘も見る影もなくさびれてしまったのです。
そんな理由だけではないでしょうが、女主人の耀子はスーパーでパートなどしているのです。
でも集客が見込めないスーパーは閉店の危機に見舞われます。
そこで耀子が立ち上がり、生き残りをかけた奮闘が始まります。
すなわちそれは常夏荘の存続にもつながっていくのでした。
人が変わったように強くなった耀子とずっと耀子を思って生きてきた立海、これから二人に接点はあるのでしょうか。



同じく


なでし子物語の三作目。
二作目でいきなり耀子が結婚して常夏荘の女主人になったり、スーパーでの奮闘記になったりえらく話が飛んでるなと思ったら、ここでまた話が戻るんですね。
唯一の保護者だったおじいちゃんが亡くなって、大学進学を控えた耀子はお母さんに会いに行くんです。
何を今さらと思うんですけれど、こつこつおじいちゃんが貯めていたお金を母親に貸していたらしい、そんなこんなの事情を知り、合いに行ったんですね。
それまでは、久しぶりに戻った立海と過ごす楽しい時間、二人の間に微妙に絡む龍治、穏やかな日常が続いていたように見えていたのに・・・

龍治との結婚に至るいきさつや少しづつ見える父親の
面影など、より掘り下げた内容になっています。

あ~そうなるか~という感じです。
そして物語はまだ続くみたいです。
立海君、挽回できるのでしょうか?

「四十九日のレシピ」や「彼方の友へ」などで密かに注目している作家さんです。
今回は何十年も年代を重ねる壮大なお話しです、暗くて重い中でも、ふっと心温まる場面が随所にあり、ほっとしながら読み進められます。
遠い親戚のおばさんか、小学校の女の先生のように見守るしかできない立場でずっと耀子に寄り添いながら読み終えました。


なでし子・天の花・地の星 / 伊吹有喜




夏野菜が採れだしました。
とともに雑草の勢いが止まりません。お前に肥料をやってるわけではないんだよ!とひとり毒づきながら格闘する毎日であります。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 山芍薬を見に霊仙山。 | トップ | 上平寺登山口から伊吹山 »
最新の画像もっと見る

「本」のひきだし」カテゴリの最新記事