今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

巡礼の家

2022年09月29日 | 「本」のひきだし

ブクログより


道後温泉の「さぎのや」は巡礼者の救済宿、ともいうべき行き倒れの人や、心に抱えたものが重すぎ、これ以上足を進められない、というような人たちを温かく迎え入れ、心や体が癒えるまでお世話をするという宿だ。
その女将に助けられた雛歩という小学生の女の子、災害で両親を亡くし親戚の家でのつらい生活に耐えられず、逃げている途中行き倒れになった。

さぎのやに伝わる古くからの言い伝えや、現在に至る経緯、それにかかわる人たちの事情などが、雛歩を通して明らかにされていく。
そしてずっと胸に抱え込み、明かされなかった雛歩の秘密、すべてを聞きすべてを受け入れてくれた女将は次期女将として雛歩を手元に置くことにする。

人は皆それぞれ何らかの事情を抱え、それを受け入れつつ、一歩ずつ前に進もうと前を向いている、生きていくことはつらいけれど、それでも生きていればうれしいことも、明るいことも少しずつ感じられるんだよ。
そんな風に背中を押してもらえるような気がした。


巡礼の家 / 天童荒太



9月7日に「粉瘤」を取ってもらって約20日、27日にやっと抜糸をしてもらいました。
やれやれこれで思い切り・・・とはいかないみたいで、工作でいうと糊は塗ったがまだ生乾き状態、ここでちゃんとしとかないと傷口がよれたり、傷跡が残ったりなどと言われ、そんなこと言われたらもう少しおとなしくするしかないかぁ、となります。
歩くのも全体重をかけるのはまだ怖く、なんかヒョコヒョコ歩いています。
季節は急激に前に進んでいるのに、待ってくれ~という感じです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

衣もろもろ

2022年09月26日 | 「本」のひきだし

ブクログより




若いころの服装は、なんでもありで、何を着てもそれなりに格好がついていた(自分で思っていただけかも)

年齢を重ねるにつれ、毎日の服選びに時間がかかる。
いくら20代、30代の服にまだ体が入るといっても、顔及び姿かたちが追いつかない。
いわゆるイタイ・・・というのか。

でもわざわざ年相応の無難な服装で、年相応に見られたくはないし・・・
まぁ、そんな風なことを群さんもおっしゃっているのである
たぶん同年代であられる群さんの気持ちは痛いほどわかるのである。

時代の変化に伴う流行、常に追い求めなくてもある程度は取り入れつつ、年齢に伴う体の変化も否応なく受け入れつつ、いかにおしゃれで、着心地の良い服はないものかと、日々葛藤する姿は身につまされるものがある。


衣もろもろ / 群ようこ





何年か前に山の先輩に、トウガラシの苗をいただき、それ以来毎年種を取って、播いて育てています。
今年は播く時期が遅かったのか、実がなるのが遅かったのですが、その分今まさに最盛期。寂しくなった畑で青々としています。


いつもは炒め煮にするのですが、今日は素揚げにしてマリネ風のたれにつけてみました。
ちょっと自分の好みでないものが食卓に上ると、「これって栄養あるの?」とseikitiさんはのたまいます。
「あるっ!! と思う。たぶん・・・」


茄子の揚げびたしは、何も言わずどんどん箸が伸びます。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

腹鼓記

2022年09月21日 | 「本」のひきだし

ブクログより



井上ひさしさんの本はいろいろ読みましたが、この本の存在は知りませんでした。

出会いは全くひょんなことで、行きつけの酒屋さんの棚にほかの本と一緒にディスプレイされていたのです。
ブルゴーニュワインの何とか、玉村豊雄の何とか、などという本達に交じっておかれていたのです。

はて?この本にどんなお酒の話が出てくるというのだ?
興味津々で、奥様に聞いてみると、主人が置いていますので私はわかりません、もしよければご自分で読んで確かめてください。とおっしゃり、厚かましくも持ち帰り読ませてもらったという次第。

時代は江戸くらいでしょうか、今の徳島に藍染を生業としている家があり、その家を中心に、悪さをする狸と人間との攻防、そこにお役人が絡んでくる、はては狐の四国進出計画(当時は四国には狐はいなかったらしい)それを阻止するタヌキとキツネの攻防戦、化かし化かされ何がなんだかわけがわかりません。
それをパロディー満載、ユーモアたっぷり、くすくす笑い必死です。
本当のことかと真剣に読んでいたら、どっとはぐらかされ、ずっこけることしばしば。やっぱり井上ひさしせんせいはおもしろい。
気が付いたら読み終えて、結局お酒は出てきませんでした。

返しに行ったらご主人がおられ、読もうと思ってちょっと置いといただけ、だそうです。

行きつけといってもそう度々行くお店ではありませんが(飲んべえと思われると困るので少し弁解)ちょっとお酒が欲しいときに立ち寄るお店で、奥様が姫野カオルコと同級生で、ご主人は部類の読書家、ということで訪れると本の感想を話し合ったり、おススメをしてもらったり、と私にとっては貴重なお店です。
昨今はどんな商売も量販店が幅を利かせ、小さいお店は無くなりつつありますが、こういうお店ならではのお付き合いを大切にしていきたいものです。


腹鼓記 / 井上ひさし

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あきない世傳金と銀 7・8・9

2022年09月19日 | 「本」のひきだし

ブクログより


いやぁ、このシリーズも7作目なんですね。
大阪の呉服屋五鈴屋が、とうとう東京進出を果たしました。
東京と大阪とでは、気質が違うように帯の巻き方、好まれる着物の柄と違うことが多く、戸惑いながらも、女名前を許された7代目店主幸とそれを盛り立てるみんなの奮闘のおかげで、何とか軌道に乗り出します。
他店と違うものをと模索するうち、武士の柄だった小紋を町民にと思い付き、型彫師、型染め師、型紙と皆の奔放のおかげで、ようやっと初の小紋地が仕上がりました。
しかし、問題は、難題は尽きず、今後の五鈴屋の跡目は?
なんと失踪したあの人が生きていた?
などなど、話はまだまだ続いてくれそうです。
もうしばらく楽しめそうです。


同じく


遠目には無地、近づけば小さな模様が浮かぶ小紋染め、
武士のものとされてきたそんな小紋染めを町人にもと取り組んできた、五鈴屋江戸店の面々。
努力の甲斐あって、それは江戸っ子たちの支持を得て、順調に行くと思いきや、出る杭は打たれるで同業者から、真似をされたり、職人の世話をしろだの、難題が持ち上がりますが、みんなが広めなければ小紋は定着しないと、慌てることなく鷹揚に構える頼もしい7代目幸ですが、来春には女名前を返納して、8代目に譲らなければならない。八代目の人選、妹結の思い等々、幸の気苦労は絶えないものの、
なんとなく明るい兆しが見え始めてきて、シリーズも8作目となり、いよいよこの物語も大詰めという感じがしてきました。
ああそれにしても何という終わり方!!


同じく


「人生あざなえる縄のごとし」という言葉があります。
生きているうちは幸運と不運が交互にやってきて、人生を終える時には、その数は同じトントンだった。ということですが、この主人公の人生もまさにこの通り、やっと希望が見えてきたと思ったらどん底に突き落とされ、またそこから這い上がって、の繰り返し。
前作、妹の結ができたばかりの小紋の型紙を持って行方不明になったところで終わりました。
やはり意図あっての出奔で、なんと嫁にと請われていた男のもとへと駆け込んだのでした。
そこで、その型紙をもとに、五鈴屋とそっくりそのままの商いを始めたのです。
え~今までの恩を忘れてなんで其処までせなあかんの?
結いには結のつらい思いがずっとあったんだすて。
そのうえ、よその客を横取りしたとかで、五鈴屋は呉服組合からはじかれてしまいました。
ピンチ!
もう絹物は扱えないんだそうです。
太物といって、木綿地しか扱えない、庶民には良いけれど、お値段が違います。
客層も変わり、だんだんジリ貧になっていきます。
がそれでくじける幸ではないんです。
歌舞伎役者の楽屋で着る木綿地の着物からヒントを得て、これを庶民にも広げられたらとひらめくんですね。お~素晴らしい、こんなところから開発されたんですかね。

皆が打ちひしがれているときに偶然店に現れた学者は、実は幸の故郷の父や兄の知り合い。
その学者が言います。
衰颯的景象 就在盛満中
撥生的機緘 即在零落内
衰える兆しは最も盛んなときに生まれ、新たな盛運の芽生えは何もかも失ったとき、すでにある。
だからこそ君子たるもの、安らかなときには油断せず、一心を堅く守って次にくる災難に備えよ。と菜根譚から来ているこの言葉を送られ、どんなにか心強かったことでしょう。
あぁ、いよいよ終盤が見えてきた気がします。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伯爵のお気に入り

2022年09月17日 | 「本」のひきだし

ブクログより



どれだけ年月がたっても魅力的な向田作品。

気にいった手袋がなくて、ひと冬、手袋無しで過ごしたことや、給料の何か月分もするアメリカ製の水着を買ったことなど、今までに何度か読んだこともあるエッセイたち。
でもまた新しいエピソードがおり込まれていたり(でも向田さんはもうおられないので、新たに作品ができるということはないので私の記憶違いでしょう)
久しぶりに読むと新鮮でした。

最後には「胡桃の部屋」というこれも有名な小説が収められています。
題名を知っていただけで読んだことがなかったのかしら?
こんな生々しいお話しだったのね。

向田さんも絶対、熱烈な恋愛をされてましたよね。


伯爵のお気に入り / 向田邦子

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする