今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

鳴かずのカッコウ

2023年08月28日 | 「本」のひきだし

ブクログより



本文より
「托卵といってな、カッコウは他の鳥の巣にそっと卵を産み付けて孵化させる。自分が生んだ卵を育てさせるんや。
そうとは知らない仮の親はけったいな雛が生まれてもわが子と思って大切に育てる、つまり偽装の技や。
インテリジェンス・オフィサーとは業績を上げなくても、また大きな成果を上げても世間には公表されることもなく、すべての行動は機密のベールに包まれている。
托卵を巧みにやり遂げたカッコウも、失敗したカッコウも素知らぬ顔をしている。
俺たちは皆戦後ずっと、鳴かずのカッコウとして生きてきた。だがお前らは必ず世間から必要とされる時が来るはずや。堂々と翼を広げ、思い切って飛んでみろ。」

主人公の梶壮太は、神戸公安調査事務所に公安調査官として勤務している。
国内では、右翼団体、カルト系組織、左翼系過激派など、また海外では、北朝鮮、中国、ロシア等の動向の監視、国際的テロ組織の国内浸透の監視等が主な調査対象だ。
一部の親族以外には一切身分を明かすことは禁じられ、組織名を記した名刺も持てないという事実に、何となくこの仕事に着いた梶はまず戸惑った。
やる気のなさそうなつかみどころのない梶だが、その類まれなる記憶力などを駆使して、神戸を舞台に地味に活躍する。
そう、とにかく目立たなくて、存在感のない彼はこの調査官にうってつけだと変な褒め方をされてつけられたあだ名も「ジミー」
船を巡っての話で、舞台も神戸、アメリカ、中国、ウクライナ、イギリス等々国際色豊かに話は進んで行く。
重大で、大変な事態のはずなのに、全然重くならずになぜか飄々と話は終わってしまった。
そうしてすべてが終わって、またそれぞれ新しい場所へ飛び出そうとする部下たちに上司が送った言葉が、上記の言葉だ。
かなりむつかしい内容もあるんだけど、登場人物が皆共感できる味のある人たちばかりで、そういう人たちに導かれて読めてしまった。
外交ジャーナリストの手嶋龍一さんならでは!


鳴かずのカッコウ  / 手嶋龍一

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立山縦走最終日、折立まで。

2023年08月25日 | 「山」のひきだし
暑いやらお盆やら夏休みやら・・・
なかなかパソコンの前に座れず。
でも最後まで締くくらないと、もしやまだ下山していないとか? いやいやそんなこと思う人はおられないでしょうが。
ということで、いよいよ下山となりました。


小屋前、雲が垂れ込めています。今日の天気は昼前には雨が降ってくるという予報。
まあ帰るだけだから、多少濡れてもいいかと言いながらも気持ち早めに出発することに。


小屋前で準備。


出がけにシャッターを切るのを頼まれたり、出発は6時前になりました。


最初は木道。


右に薬師が見えます。


五光岩ベンチで薬師の見納め。


三角点1869m


お!!これはもしや??
あられちゃんの木では?  あられちゃんはもういなかった。


これです!!
以前、雲ノ平に行ったときにはあったのです。その時の写真。2016年でした。
謂れは忘れましたが、個人的にされていたものでしょうね。


何とかランの赤い実。牧野博士~~


降りてきました。長かった~

折立に到着したのは9時半ごろ、バスは12時30分のを予約しています。何とも中途半端、時間がもったいないということで、タクシーで帰ることにしました。4人で割り勘。
タクシー会社の電話番号を教えていただいたり、パラパラっと降ってきて、建物の脇で雨宿りさせてもらったり、料金所のおじさんにとても親切にしていただきました。
そのほか今回のコースは、途中で合流する道がなく、同じくらいのペースだと最初から最後までほとんど同じ人たちと道連れになります。小屋も同じです。
自分ではロシア人だとおっしゃるウクライナの男性、日本でのロシアを悪く言う報道に憤りを感じているということをおっしゃっていると、これまた横浜から来られている男性から聞きました。
この横浜からの男性は、夕食後スゴ乗越小屋のテラスで、ひとり読書をされていて、わぁ~贅沢な時間を満喫されているなぁとうらやましかったです。ちなみに「ラーゲリより愛を込めて・辺見じゅん」を読んでおられて、映画も見たそうで日本兵役の二宮君の演技を絶賛されていました。どうもお邪魔してしまいました。
あと薬師岳の頂上で出会った、80歳のお父さんと奥さん、息子さんの三人さん。シャッターを切ったり、小屋でお話ししたりしました。息子さんが小さいころから休みごとに山に連れて行っていて、最後には息子さんは山が嫌いになられたのだそうです。
でも80歳に初めて息子が連れてきてくれて・・・ととっても嬉しそうに話されていました。
秋田から来られていて、この方たちは太郎平小屋からピストンでした。

他にもいろいろな出会いがありました。みんなそれぞれ、いろんな思いを抱いて歩いているんだなぁ、としみじみ。
仕事をやりくりしてやっと休暇を取って、行程を聞いてびっくりする人もいました。それ以上休めませんと明るく笑っていました。

そこまでして何でこんなしんどい思いして行くんやろ・・・山へ。
でも帰ってきたらまた行きたいねんなぁ、山に。



2023年7月19日(水)曇
太郎平小屋5:50~五光岩ベンチ6:23~三角点7:47~あられちゃんの木8:22~折立下山9:20


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立山縦走三日目、いざ!薬師岳

2023年08月06日 | 「山」のひきだし
今朝もまた「四時だよ」と起こしていただき、起床。
昨夜は、というより二時ごろ向かいの方が起床され、出発するまでの準備をすべて自分のスペースでされ(別にいいのですが)
身支度、パッキング、そして食事と、寝ていて音で全部想像できてしまうという、わかりやすい方でした。
おかげですっかり目が覚めて、ウトウトしたところで起床、でした。

今日は岩稜帯の通過が多いということで少しでも余裕を持てるよう、予定より30分早めて5時30分の出発となりました。
お願いしておいたお弁当を朝食時にいただいて、出発。


本日も上天気。










お花を見ながらゆっくりと。


池のようなものを過ぎると


間山。2585m 7時ちょうどでした。


間山から


目の前の山は2832mのピーク?






槍はどこで見ても槍だ。


またちょこっと雪渓


p2832をわずかに巻いて


ひたすら岩稜帯を歩いて、歩いて・・・
到着したのは北薬師岳。2900m




きれいな金作谷カールも見ながら、またひたすら岩稜帯を歩いて、歩いて・・・


薬師岳に到着! 
百名山なのでもっと人がいるかと思いましたが、思いのほかというより数えるほどの人でした。
ここで大休止。小屋のお弁当をいただきます。大きなおにぎり二つとチーチク二本。
おにぎりの中身は、ワサビのきいた昆布と梅干、ぺちゃんこになったパンがまだ何個かあるのですが、もうパンは飽き飽き。
やっぱりお米がおいしいなぁ。
さぁ、ここからはもう下るだけだよ。と励まされて腰を上げました。


頂上には真新しいお社が建っていて、中には薬師如来様や役行者様が祀られていました。




時折ガスが湧いてきます。


薬師岳山荘が見えています。


振り返ると、頂上にお社がかすかに見えます。もうあんなに下りてきた。


薬師岳山荘。トイレを借りました。小屋もトイレもとってもきれい。


前を歩く男性がひとところでじっと一点を見ておられるので、近づいてみると。
ライチョウの親子でした。本当に保護色の体でよく見ないとわからないのですが、ひなは2・3匹います。


手前の方にいます。












ライチョウも見たし、お花もいっぱいで、なんかもう下山した気分でした、この時は。


でもこの後、沢を渡渉したり、沢の中を歩いたり、


ゴロゴロした石に気を付けながら結構長い下りでした。(この辺で気持ちが折れかけてる)


やっとテン場に出ました。もうすぐだよ!と言われますが、薬師峠というだけあって、


小屋の手前でまさかの登り。
ここから太郎平小屋まで20分とありますが、20分では・・・私は行けない。
薬師から来てテン泊する人は、ここで荷物を置くにしても、20分かけて手続きに小屋まで行くの?翌日でもいいの?
これは辛いなぁ、と他人事ながら思ったのでした。


気持ちよさそうな木道ですが、やんわりずっと登っている。小屋は・・・まだか。
14:55分 無事太郎平小屋に到着。あ~~つかれ・・・・・今日もよく歩きました。


2023年7月18日(火)晴れ
スゴ乗越小屋5:30分~間山7:00~北薬師岳9:15~薬師岳10:57~薬師岳山荘12:27~太郎平小屋14:55


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