今夜も本をまくらに。

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でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

世界で一番幸せな男

2024年07月07日 | 「本」のひきだし

ブクログより


アウシュビッツ強制収容所から、九死に一生を得て生還してきた人が、自分を「世界でいちばん幸せな男」だなんて。

ナチスによって迫害されてきたユダヤ人の話は本当にたくさん読んできた。
どんなに読んでも、その苦しみや悲惨な体験はその本人にしかわかりえないものだろうし、簡単に理解できる、とも言うべきではないと思う。

本著のエディも、その例にもれず数々の試練を潜り抜け生還した一人だ。
ただ彼が今まで読んだ体験者と違うところは、ただ運命に任せて偶然生還できたのではなく、父が苦心して入れてくれた機械技術の専門学校で身に付けた技術を生かしたり、少しでも苦痛を和らげる工夫を仲間と考えたり、ありとあらゆる努力で勝ち得た生還だということ。

まことに波乱万丈である。
そしてその根底にあった事は「優しさを忘れない」「モラルを失わない」「希望を持ち続ける」など、両親から受けた人間として生きていく上での教えだ。

明日をも知れぬ辛い収容所の中で、そんな教えが何になる?なんてことは露ほども思わないのだ。
そんな人だから言えるのだ。自分は世界でいちばん幸せな男だと。

家族とオーストラリアに移住されたエディさんは、シドニーのユダヤ人博物館でボランティアをしながら、自身の体験談など後世に残す運動をされていたが、2021年、101歳で亡くなられた。


世界で一番幸せな男 / エディ・ジェイク

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