今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

成瀬は天下を取りに行く とファンミーティング

2023年09月28日 | 「本」のひきだし

ブクログより


滋賀県大津市膳所(ぜぜ)が舞台のいわばご当地小説、かと思い軽い気持ちで手に取ったが、帯に寄せられたなんていうの?コメントがすごい。
三浦しをん、東村アキコ、辻村深月、西川貴教はまあわかるけど。
とにかく全国的にヒット中なのです。

中・高校生が主人公の青春ものだし、あんまり期待せずに読んだが、閉店した西武大津店とか、近江神宮でのかるた大会だとか、琵琶湖ミシガンクルーズとか、出来事が身近すぎて思わずのめりこんでしまった。
ストーリーもそれほど深いわけではないのだが、なぜか胸が熱くなったり、鼻の奥がジンとしたり、自分でもわからない感情のまま読み終えていた。
成瀬は確かに変わっているが、夢である200歳まで生きて、大津に再び百貨店を開業して欲しい・
成瀬、かっこいいぞ‼





と少し成瀬熱も落ち着いたころ(申込時はかなりタイムリーで少し興奮してました)先日、作者の宮島さんを交えて成瀬を語る会なるファンミーティングに参加してきました。
宮島さんには成瀬の誕生秘話やら、成り立ちなど、質問形式で進められ興味ぶかい話も聞けました。
ノートにメモを取る人、本のお気に入りの箇所?を開いて見直している人、など見受けられ、質問もかなり深く掘り下げてマニアックなものも多く、かなり読み込んでるなぁと感心しきり。
一度読んだだけの私など、そんな場面あったっけ?なんてもう皆さんの成瀬愛の熱気に少々たじろいでいたのでした。

でも最後のサイン会にもちゃっかり参加して、(図書館での開催なのに、本屋さんが出張ってきていて即売会、ちょっと驚き)本を買ってサインをもらいました。この本は孫にあげました。

続きの次回作も進んでいるということで楽しみです。


スクリーンには、大津界隈の小説に出てくる場所が映し出されていました。

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魂手形

2023年09月20日 | 「本」のひきだし

ブクログより



切ない物語と、団子売りの三島屋変調百物語のシリーズ。
摩訶不思議な力であらゆる火災を鎮めるという神器「火焔太鼓」にまつわる悲しくて娘が語る、両親についてのこれまた悲しい物語「一途の念」
最後は表題の「魂手形」
木賃宿の亭主が昔の泊り客について語る。
その客とは、成仏できずにさまよっている幽霊と、その幽霊をうまく成仏できるように導く水先案内人。
なぜだかふたりと交流のできる宿の息子(語り部)は、最初は恐る恐る仕事として接しているうちに、二人の事情も少しづつわかってきて、同情を通り越して憤怒にかられ、最後には幽霊になり替わり復習を果たし、幽霊は無事成仏をするという、怖いけれどこれまた悲しくて許せない話。
この話は、この語り部についてより深く掘り下げ、生い立ちから子供時代、後妻に入った母親のこと、結婚してからのことなど、不思議な物語とは別に、周辺の事柄が細かく描かれていて、中々読ませる短編になっている。

また今回、装画や挿絵のイラストが何ともかわいく、目が二つちょんちょんと付いただけの丸い物体や、お化けみたいのが暗い水の中に浮いたり漂ったりしています。
復讐の化身となった猿(ましら)も怖いというより愛くるしい。
全編重くて暗い内容なのに、このイラストにほっとしながら読み進められた。



魂手形 / 宮部みゆき

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