なかなか釣りに行けない

なかなか実釣出来ず、稀の釣行を夢見て、机上の空論を重ねる備忘録です。

止揚という考え方(20210909)

2021年09月09日 20時11分42秒 | 日記

止揚という考え方(20210909)

高校の倫理社会(古すぎる)でヘーゲルの「止揚」という概念を習った。
ソクラテス、プラトンから始まりカント、ヘーゲルへと進んだ。
このヘーゲルの「止揚」。
40年ほどまえに遡り勉強し直すと下記の意味らしい。
「矛盾する諸要素を、対立と闘争の過程を通じて発展的に統一すること」
https://ja.wikipedia.org/wiki/止揚

これは「もっと釣りたい」が「かなりヤバい」という相反する状況を感情的にどう処理するかピッタリではないか!
でも「釣りたい」と「ヤバい」を発展的に統一ってなんだろう。
ドイツの哲学者ヘーゲル先生に訊ねてみたい。
「ばっかもーん!」
そもそも釣りに行くなと怒られるだけだろう。

ただ、相反する感情の処理に「冷静さ」だけで不十分なのはわかりきったこと。
「釣りたい」と「ヤバい」を冷静に見比べてみても答えなんか簡単にでない。
何故なら釣りたいからわざわざそこに立っているのであり、それをむざむざ撤退するなんて勿体無いではないか。
その当然すぎる葛藤を冷静さなどでお手軽に処理できるはずがない。
もうひとつ毛色のちがう手立てが要る。

それが「勘」だろう。
過去の経験に基づく未来の予測だ(20210906)。
それが「死」なら当然撤退だし「死なない」なら続行も充分ありうる。

次の問題はこれ、死地にのぞみ「死なないかもしれない」という希望願望や空想妄想などへの処方箋。
もし「死」が自分の結末だったら、他人に丸かぶりさせる迷惑を考える。
家族友人同僚はもとより仕事で関係する方々、救急隊、地元消防団や警察の方々の負担だ。
自分自身で全て解決できる(歩いて無事帰るなど)以外の全ての不手際が皆の迷惑になる。
もしこれを未然に防げれるならそれが一番よい選択だ。
「釣りを辞めるのが最善」という意見は知らなかったことにして考える。
「イケると思ったがしくじった」場合、自立して帰れるか、一人で日常に戻れるかが問題。
この場合「自立の保持」が焦点になる。
他人のせいにしたり誰かを頼れば「自立」の正反対、その時点で保持に失敗する。

勘より「大丈夫」という自信妄信を優先させたあげく「しくじった」としても自分が自立できているかが最大の争点。
しくじっても自立できていればギリギリセーフ、自立できなければ完全にアウト、一巻の終わりだ。

つまり「勘」「止揚」「自立」の3つで危険の度合いと自分の行動を判断し選択することになる。
1)「釣りたい」と「ヤバい」の双方を否定せずに見比べる
2)経験から危険度を判断する
3)危険を冒した場合に自分ひとりの責任で済むか判断する
4)最適な行動の選択
こんな手順になる。

先日(20210822)の梅野川の流木止めダム、実はここの通らずの流木の上まで登っていたのだ。
雨天で滑りやすい中、積み上がった流木のてっぺんによじ登り、堰堤下を見下ろすと3.6mほどの高さ。
流木伝いに降りれないことはない。
しかし、もし万が一でもしくじればこの山の中、誰も助けにこない。
もし骨折すれば一人で歩けないかもしれない。
頭を打って気絶することもある。
その時私は誰にも迷惑をかけず、全て一人で対処できるだろうか?
いや無理だ、もしなにかあれば自立できない可能性の方が高い。
そう判断し、流木止めダムから堰堤下へ降下するのを断念した。
いまでもその判断は正解だったと考えている(20210829に流木を下流から見上げて確信)。
その最後の判断が「自立の是非」で、自立を失う可能性が高いのが断念の決め手になった。

「釣りたい」「ヤバい」の相反する感情を完全にコントロールするのはどだい無理。
なら戦わずして別部門へ丸投げしてしまうのがヘーゲル的には正しい。
この「釣りたい」が「ヤバい」を「勘」に丸投げし「自立の是非」を判断するのがヘーゲル流「止揚」であって、そうした方が一時の感情から解放され冷静に判断しやすいかもしれない。
感情の上に記憶と理性があるという考え方だ。

感情は闘えば闘うほど燃え上がる。
「みんなーおちついてー」という仲裁は真っ先に葬られる。
この状況が「攻めか退くか」の釣りの現場では生じやすい。
そんなとき、相反する感情をたがいに闘わせてはいけない。
それを解決するため、あえて未解決のまま別部門へ丸投げ(止揚)するのが正解。
その丸投げ先こそ、過去の記憶「勘」そして未来の責任「自立」の2部門だ。

「勘」「止揚」「自立」
これを危機管理の合言葉にしよう。
ウェットで入る五ヶ瀬川は、それほどまでに怖い河川なのだから。

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