3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

成人力調査について:OECDの「国際成人力調査(PIAAC)」の結果

2013-10-10 08:53:06 | 現代社会論
経済協力開発機構(OECD)が10月8日、16~65歳を対象に初めて実施した「国際成人力調査(PIAAC)」の結果を公表したとのこと。

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日本は「読解力」と「数的思考力」の平均得点が、参加した24の国と地域のうちトップ。20の国と地域が参加した「情報技術(IT)を活用した問題解決能力」は、基準の得点を超えた割合が35%で10位だった。

 成人力調査は、大人が社会生活を送る上で必要な能力や学力を測るもので、基礎的な問題が中心。文部科学省は「基礎を重視してきた戦後日本教育に加え、企業の人材育成の成果も出たのではないか」と分析している。

 年代別で比較すると、日本の中高年層は他国を大きく上回る一方、若年層では差が小さかった。文科省は、近年は各国が教育政策に力を入れている影響で差が縮まったとみている。15歳が対象のOECDの学習到達度調査(PISA)で、日本の順位がフィンランドや韓国を下回るのもこうした背景があるとした。

 文章を理解して問題を解く力を見る「読解力」の日本の平均点は296点で、2位はフィンランド、3位はオランダ。OECD平均は273点だった。数学的な概念を解釈して伝達する力を見る「数的思考力」でも日本は288点を獲得、フィンランドなどが続いた。平均は269点。

 デジタル技術を活用する能力を測る「IT活用力」は、全体の受験者のうち基準点を超えた割合を比較。1位がスウェーデンの44%で、日本はOECD平均(34%)並みだった。

 読解力と数的思考力に関してOECDが設定した下位層の割合を比べると、他国はすべて10%以上だったが、日本は読解力で5%、数的思考力で8%以内に収まった。上位と下位の差が小さいのも日本の特徴という。

 各国とも最終学歴が高いほど成績が良く、成績が良ければ高い賃金を得ていることも示された。いずれの分野でも30歳前後でピークとなり、その後は得点が低下する傾向。日本も同様だが、特に数的思考力では50代まであまり成績が落ちない特徴が表れた。



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調査結果を詳細に検討してみないとなんともいえないが、
年代別比較では、日本の中高年層は他国を大きく上回っているが、若年層はそれほどでもない、というのは妙に納得した。

日本のレベルの高さは、中高年層の底力で維持しているということである。
それに比して、若年層はレベルダウンしているので、早晩、だめになる。
中高年層が受けた小中学校、いわゆる義務教育がよかったということを実証しているのである。

中高年層は経済成長期に義務教育を受けているわけであるので、非常に平等性に富む教育システムだったといえるのではないか?
頑張れば報われるという時代、金に任せて親が子を教育するというより、社会が、地域社会が小中学校、高等学校の教育を育むという文化があった時代だと思う。

で、最大の弱点は、中高年層のIT技術の乏しさである。
これは、致命的である。高い読解力や数的思考力をもっていても、ITが使えなければ、仕事につながらない。
高齢化社会で中高年の就労の機会を拡大する必要があるわけであるが、その前提にIT技術の習得が必要であろう。

若年層には、今の中高年層が受けてきた丁寧な義務教育を提供しなければならない。
中高年層にはITを。

こういう取組こそが未来の日本をつくる原動力となるだろう。



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