サッカー日誌 / 2011年01月29日


アジアカップ2011テレビ観戦記(5)


PK戦で決勝進出。試合の「勝利」ではない

準決勝 日本 2-2 韓国(延長PK戦)
1月25日(火)16時25分(日本時間22時25分) 


◇マスコミの「はしゃぎ」ようは異常
 準決勝で日本はPK戦で韓国を退けた。オシムが率いた前回は、準決勝でサウジアラビアに敗れ、3位決定戦で韓国と引き分けたが、PK戦で4位となった。今回、決勝に進出したのは、それを上回る結果である、そのことは評価したい。
 しかし、マスコミが「韓国に勝った」と「大はしゃぎ」したのは異常である。読売朝刊のスポーツ面は「日本、5年ぶり宿敵破る」と大見出しだった。
 延長のすえ2対2。PK戦で決勝進出が決まったが、PK戦は次の試合に進むチームを決めるための手段であってサッカーの試合そのものではない。「PK戦に勝った」とは言えるが、試合に関しては韓国と「引き分け」である。前年10月のソウルでの日韓定期戦も0対0の引き分けだったから、ここのところ成績互角、実力互角である。
 PK戦は「運のもの」である。4年前は韓国に運があり、今回は日本に運があった。

◇見事な前半の同点ゴール
 ここでは「韓国に勝てなかった」ことについて考えてみたい。
 前半は日本が中盤を制して優勢だった。23分にPKを取られて韓国に先行されたが、36分に同点に追いついた。左サイドで本田圭佑から長友佑都にパスが出て、長友が内側に食い込んで前田遼一に渡してシュートが決まった。圭佑にボールが渡るまでの中盤のパス、圭佑の巧みなスルーパス、走り出た長友の判断の良さとドリブルのスピード。どれも実に見事だった。最高のゴールだった。そのほかにも、いい形の攻めが何度もあった。
 前半は1対1で終わったが「後半には日本が逆転するだろう」とぼくは見ていた。日本の動きもコンビネーションが韓国を翻弄していたからである。また韓国は、前の試合で延長戦を戦い中2日での準決勝。日本は前の試合は大勝して中3日。後半には、さすがの韓国にも疲れが出るだろう、一方、日本は勢いに乗っている、と見ていたからである。

◇引き分けにされた3つのポイント
 ところが延長に入って日本は逆転しながら守り切れなかった。そのポイントが3つある。
 韓国は後半、かえって動きがよくなった。日本のほうに疲れが目についた。この体力の差の原因は何だったのだろうか。これが一つのポイントである。韓国の趙広来監督は後半20分過ぎに選手交代をして中盤を厚くするとともに攻撃的な布陣に変えていた。一方の日本は延長前半にリードしたあと、トップの前田遼一に変えてディフェンダーの伊野波雅彦を出した。これが日本を守備的にさせたように見えた。この用兵がどう影響したのか。それが2つ目のポイントである。延長後半終わり近くに日本はショートコーナーを繰り返し時間稼ぎをした。これが適切だったかどうか?これが3つ目のポイントである。
 韓国は終了間際に同点にしてPK戦に持ち込んだ。PK戦で韓国は最初の3人が連続して失敗した。珍しい。こんなケースは初めて見た。

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