サッカー日誌 / 2011年01月18日


高校サッカー2010(中)


ともにPK戦で決勝に進出
準決勝
久御山(京都)2対2(PK) 流経大柏(千葉)
滝川二(兵庫)0対0(PK) 立正大淞南(島根)
(1月8日 東京・国立競技場)


◇「4校優勝」の価値がある?
 第89回高校選手権の準決勝が2試合ともPK戦になった。「珍事」である。
 PK戦は次の試合に進出するチームを決めるための便宜的手段であって、サッカーの勝負を決めるものではない。かつては引き分けのときは抽選で「次回へ進む」チームを決め、決勝戦が引き分けのときは「両校優勝」としたこともあった。
 そういう考えをとれば、準決勝2試合が引き分けなら「4校優勝」の価値がある。ともあれ、全国的なレベル接近を示しているということはできるだろう。
 ただし、かつては延長戦をした上での「抽選」だったが、現在は延長戦をしないで、いきなりPK戦である。延長戦があれば勝負がついていたかもしれない。
 PK戦の結果、久御山と滝川二が残った。近畿勢同士の決勝戦は69回ぶりということだが、第20回大会は1938年度、戦前の旧制中等学校大会のころで、現在と比較する基準にはならない。
 
◇技の久御山、力の流経大柏に引き分け
 東京・国立競技場で行われた準決勝2試合。快晴無風の土曜日で観衆も多く、すばらしい条件だった。
 久御山の試合を見たのは初めて。その個人技重視の試合ぶりは面白かった。高校チームのプレースタイルが多様化していることを改めて認識した。
 久御山の一人ひとりの運動能力は、際立って良いようには見えなかった。府立高校なので全国から優秀な素材を集めることができる立場ではないようだ。しかし、どの選手もボール扱いに自信を持っていた。流経大柏の選手たちが中盤で厳しく詰めてくる。それを臆するところなく、落ち着いてかわして味方へつなぐ。そういうテクニックのある選手を地元京都で集められることに、日本のサッカーの底辺の厚みを感じた。
 流経大柏は、全国のクラブや中学からタレントを集めている。スピードがありシュートは力強い。しかし2度にわたってリードされ、終了間際に同点にしたがPK戦で消えた。

◇立正大淞南、痛恨の逸機
 滝川二対立正大淞南は、ともに守りが目立った試合で0対0の引き分けになった。
 立正大淞南は、ゴールキーパー三山大樹とボランチの稲葉修士が守りで奮戦し、攻撃でも何度かチャンスを作りながら攻めきれなかった。とくに終了間際、加藤大樹が相手の最後の攻勢の裏側に抜け出し、ゴールキーパーまでかわしながらシュートを外したのは痛恨の逸機だった。
 立正大淞南はPK戦でも勝機を逃した。先攻の滝川二の7人目が外し、次の淞南の7人目が決めれば決勝に出られるところだったが、ゴールキーパーに止められ、9人目が外して涙を呑んだ。
 立正大淞南は、大阪など他県から選手を集めているが、都市圏の有名校に行けなかった選手が多いという。そういう選手でチームとしてのまとまりを重視したチーム作りをしている。
 滝川二は、チーム力としてはまさりながら国立競技場の雰囲気にのまれて力を出し切れていないようだった。精神面でのしぶとさがないのは、高校チーム共通の欠点である。

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