ワールドカップ12大会取材のサッカージャーナリストのブログ
牛木素吉郎のビバ!スポーツ時評
サッカー日誌 / 2010年08月31日
日本代表、後任監督の選び方(上)
著名で高価な指導者がいいのか?
(8月24日 決定先延ばしの記者会見)
◇決定を焦らないのは正解
日本代表監督が、なかなか決まらなかったので日本サッカー協会を批判する向きがあったようだ。しかし、この点については、ぼくは「焦らないのが正解」という意見である。
ワールドカップが終わったあと、すぐに岡田武史監督の後任を決まるはずだったが、協会会長交代などもあって延び延びになっていた。それでも8月中旬には発表できるはずだったのに交渉が難航して9月の親善試合は、原博実・技術委員長が監督代行を務めることになった。
協会は、欧州で交渉にあたっていた原委員長を呼び戻して「決定先延ばし」を発表した。交渉中の候補は3人いるが、この時点では条件面で合意できていないということだった。
原委員長は「世界的な実績を持つ指導者を探している」と語った。実績を持つ指導者の代理人は名声を掲げて高い報酬を吹っ掛ける。しかし、その言いなりになることはない。お互いに「駆け引き」だから、じっくり腰を据えて交渉すればいい。
◇無名の指導者を選ぶ手も
「世界的な実績を持つ指導者」を求めるのは、犬飼基昭前会長のもとで強化担当の大仁邦弥副会長と原委員長が決めた方針だろう。それも一つの考え方だが、ぼくの意見は違う。
実績のある監督の報酬が実力に見合うかどうかには疑問がある。
金(ゴールド)は希少金属なので価格は高いが、実用には一般的ではない。鉄はいろいろ役に立つうえ、多量にあるので比較的安価である。
実績のある指導者は少ないから報酬は高い。しかし、必ずしも、日本のサッカーを率いるのに向いているとは限らない。一方、世界中にサッカーのコーチはたくさんいる。そういう人たちの報酬は、それほど高くはない。その中から、日本が求めている能力を持つ監督を探すこともできる。
実績がある高価な監督を探すよりも、著名ではないが有能なタレントを求めたほうが経済的である。
「価値と価格のバランスのいい監督を求めるべきだった」と、ぼくは思う。
◇読売クラブでの経験
こういう考えは、ぼくの過去の経験に基づいている。
40年ほど前、いまのヴェルディの前身である「読売サッカークラブ」の運営に関係していたころ、若いオランダ人のファン・バルコムを監督に招いた。当時の西ドイツ・サッカー協会の関係者にツテを求めて、無名だが有望なコーチを安いギャラで紹介してもらったのである。ファン・バルコムは、読売クラブで成功した実績を足がかりに、その後、いろいろな国で活躍した。
1980年代には、西ドイツからルディ・グーテンドルフを招いた。実績のある監督だったが、ちょうど仕事がなかったときで、比較的安く2年契約できた。価値と価格のバランスが読売クラブに有利だった。グーテンドルフは、読売クラブを初優勝させたあと、ドイツの名門ヘルタ・ベルリンと契約した、
単独クラブと代表チームでは事情は違うが、一般的には著名なクラブの監督より代表チームの監督のほうが報酬は低い。「代表監督に法外な報酬を払う必要はない」というのが、ぼくの意見である。
(8月24日 決定先延ばしの記者会見)
◇決定を焦らないのは正解
日本代表監督が、なかなか決まらなかったので日本サッカー協会を批判する向きがあったようだ。しかし、この点については、ぼくは「焦らないのが正解」という意見である。
ワールドカップが終わったあと、すぐに岡田武史監督の後任を決まるはずだったが、協会会長交代などもあって延び延びになっていた。それでも8月中旬には発表できるはずだったのに交渉が難航して9月の親善試合は、原博実・技術委員長が監督代行を務めることになった。
協会は、欧州で交渉にあたっていた原委員長を呼び戻して「決定先延ばし」を発表した。交渉中の候補は3人いるが、この時点では条件面で合意できていないということだった。
原委員長は「世界的な実績を持つ指導者を探している」と語った。実績を持つ指導者の代理人は名声を掲げて高い報酬を吹っ掛ける。しかし、その言いなりになることはない。お互いに「駆け引き」だから、じっくり腰を据えて交渉すればいい。
◇無名の指導者を選ぶ手も
「世界的な実績を持つ指導者」を求めるのは、犬飼基昭前会長のもとで強化担当の大仁邦弥副会長と原委員長が決めた方針だろう。それも一つの考え方だが、ぼくの意見は違う。
実績のある監督の報酬が実力に見合うかどうかには疑問がある。
金(ゴールド)は希少金属なので価格は高いが、実用には一般的ではない。鉄はいろいろ役に立つうえ、多量にあるので比較的安価である。
実績のある指導者は少ないから報酬は高い。しかし、必ずしも、日本のサッカーを率いるのに向いているとは限らない。一方、世界中にサッカーのコーチはたくさんいる。そういう人たちの報酬は、それほど高くはない。その中から、日本が求めている能力を持つ監督を探すこともできる。
実績がある高価な監督を探すよりも、著名ではないが有能なタレントを求めたほうが経済的である。
「価値と価格のバランスのいい監督を求めるべきだった」と、ぼくは思う。
◇読売クラブでの経験
こういう考えは、ぼくの過去の経験に基づいている。
40年ほど前、いまのヴェルディの前身である「読売サッカークラブ」の運営に関係していたころ、若いオランダ人のファン・バルコムを監督に招いた。当時の西ドイツ・サッカー協会の関係者にツテを求めて、無名だが有望なコーチを安いギャラで紹介してもらったのである。ファン・バルコムは、読売クラブで成功した実績を足がかりに、その後、いろいろな国で活躍した。
1980年代には、西ドイツからルディ・グーテンドルフを招いた。実績のある監督だったが、ちょうど仕事がなかったときで、比較的安く2年契約できた。価値と価格のバランスが読売クラブに有利だった。グーテンドルフは、読売クラブを初優勝させたあと、ドイツの名門ヘルタ・ベルリンと契約した、
単独クラブと代表チームでは事情は違うが、一般的には著名なクラブの監督より代表チームの監督のほうが報酬は低い。「代表監督に法外な報酬を払う必要はない」というのが、ぼくの意見である。
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