サッカー日誌 / 2010年08月11日


小倉純二・新会長の課題(中)


前会長が残した施策の後始末
(7月25日 就任記者会見)

◇「秋春制」をどうするか?
 日本サッカー協会の小倉純二・新会長の当面の課題は、犬飼基昭・前会長が打ち出していた施策をどう引き継ぐかである。
 Jリーグのシーズンを「秋春制」、つまり冬期に持ってくる案は、犬飼前会長が強引に推し進めようとしていた問題だから、就任の記者会見でも質問が出た。
 「北は北海道から南は沖縄まで、季節にかかわらず試合の出来る施設があることに越したことはない。現実には北に施設はない。各クラブにも経営があるので無理強いすべきではない」というのが、小倉・新会長の答えだった。
 前会長の顔も立てて「(季節にかかわらず全国で試合が)可能であれば、日本が強くなるためには、やるべきだ」と一応は秋春制の趣旨には賛意を表したが、Jリーグの問題に強引に手を突っ込もうとするような姿勢や、北日本の雪国を犠牲にしていいというな代表強化中心の考えでないことは明らかだ。

◇代表監督をどうするか?
 日本代表チームの新監督決定については「技術担当の大仁副会長、原技術委員長の2人を全面的に信頼して任せます」と語った。すでに犬飼・前会長のときに動き出している問題だから、急に方針を変更することはないという判断だろう。きわめて穏当な考えである。
 ただし、日本代表チームは、サッカー協会の直接の管轄である。Jリーグのシーズンの問題とは違って協会の会長に権限がある。日本人にするか、外国から招くか? ユースや五輪代表も兼ねて担当させるか? 報酬はいくらぐらいが適当か? 具体的な人選を始める前に、基本的な方針を担当の理事・委員長と協議し、指示する必要はある。
 しかし、今回の場合は犬飼・前会長と担当役員の大仁、原の間で方針は決まっていたはずである。それを白紙に戻すことも、できないわけではなかっただろうが、小倉会長は、そういう荒技はしない人柄である。

◇W杯招致をどうするか?
 2022年のワールドカップ招致は、小倉・新会長にとって頭の痛い問題である。国際的な人脈の広さと強さを期待されているが、FIFAの理事として状況を熟知しているから日本が選ばれる可能性が薄いことを充分に知っている。「そんなに期待されても困る」と内心では思っているだろう。
 この件については「FIFA理事の一人一人に働きかけたい」という発言に注目した。
 犬飼・前会長が立ち上げた招致委員会は、12月のFIFA理事会までの1年足らずの招致運動の費用として約10億円の予算を組んだ。そして、視察に来たFIFAの調査委員を歓待し、全国紙に全面広告を出すなど派手なPR活動を展開した。広告企業にメリットはあっただろうが、招致実現に、それほど効果があるとは思われない。投票権を持っている理事に日本開催の利点を地道に説得するのは本筋である。
 小倉・新会長は、招致委員会の委員長を犬飼・前会長から引き継いだが、招致は実現しなくて当たり前。招致費用が無駄遣いになれば、その責任は前会長にある。

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