サッカー日誌 / 2010年08月24日


Jリーグ・アカデミー不要論


選手育成はクラブの仕事だ
(8月19日 サロン2002月例会)

◇学校でも学園でもない
 「サロン2002」というスポーツ文化の研究会がある。その8月の月例会で「Jリーグ・アカデミー」についての話を聞いた。8年間にわたって、活動に携わっていた人から丁寧な説明があった。しかし、ぼくには、なかなか趣旨が呑み込めなかった。「Jリーグ・アカデミーなんて、いらないんじゃないの?」というのが、ぼくの率直な感想である。
 辞書で調べると「アカデミー」とは、学校あるいは学園のことである。古代ギリシャのプラトンが弟子を教えた庭園の名に由来している。教育用の施設があって、先生(指導者)がいて、生徒が集まっている組織である。しかし、Jリーグ・アカデミーは「学校」でも「学園」でもない。施設も常駐している先生も生徒もいない。Jリーグの活動の一部を担う「組織」があるだけである。
 日本サッカー協会(JFA)が福島と熊本で開いている「JFAアカデミー」と名称が似ているので紛らわしい。JFAのほうは施設があり、指導者と生徒が常駐しているから、こちらは「学園」である。

◇プロ選手養成が目的
 「Jリーグ・アカデミーの目的はなんですか?」と訊いてみた。
 「Jリーグで活躍するプロ選手を育てることです」というのが答だった。
 選手育成は、それぞれのクラブの仕事ではないのか? Jリーグが中央集権的にプロ選手を作り出そうとしているのか? それが、まず疑問である。
 この点については「実際に選手を育てるのはクラブです。クラブに育成センターを置き、若い選手を正しく指導できるようにしています」という趣旨の説明だった。
 各クラブがユースやジュニアユースの年齢のチームを持っている。その指導者を教育し、正しい育成の方法を指導する。そういう活動をしてきている。ユース以下の年齢の育成に力を入れて成果をあげているかどうかを評価して表彰する制度も作ったという。
 「日本型育成システムの確立」をめざしているのだという説明もあった。

◇JFAとの役割分担を明確に
 選手を育てているのは、学校を含めた全国の数多くの「クラブ」である。その中からプロになる選手も出てくる。Jリーグのクラブが囲い込んだタレントだけがプロになるわけではない。  
 また、Jリーグ加盟クラブの育成活動を「プロ選手を作り出すため」とだけ考えるのも疑問である。Jリーグのクラブで育ってアマチュアとしてプレーしている選手もたくさんいる。
 育成に役立つ情報を集めて提供するような仕事は有益だが、それは、すべてのクラブのためでなければならない。全国のサッカー全体にサービスをする仕事は協会(JFA)の役割ではないか?
 Jリーグが設立された当初は、世界のクラブがどういうものか、あまり知られていなかった。だから、プロのチームを持つクラブでも、少年やユースのプレーヤーを育てるものだということを知ってもらわなければならなかった。そういうわけで、Jリーグ・アカデミーのような啓蒙活動が必要だったのかもしれない。でも、そろそろ、協会(JFA)とJリーグの役割分担を明確にするときだろう。

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