サッカー日誌 / 2010年05月08日


代表チーム歴代外国人監督への評価


テレビ番組「日本サッカーの50年」
5月2日~5日 NHK BS-1

★日本代表の足跡をたどる
 ワールドカップ南アフリカ大会を前に、NHKが「証言ドキュメント 日本サッカーの50年」と題する4夜連続のテレビ番組を放送した。1960年代の東京オリンピック当時から、2006年ワールドカップ・ドイツ大会までの日本代表チームの足跡をたどったものである。監督、選手、役員など関係者を幅広くインタビューし、貴重な映像を集めて構成していた。非常によくできた企画だった。
 この50年の日本のサッカーを現場で取材してきた目からみれば「ちょっと違うな」「不十分だな」と思われる点は、もちろんある。半世紀の出来事を4時間足らずの間に、手に入る映像を中心にまとめるのだから、それはやむを得ない。
 しかし、大筋は正しく抑えて、巧みに構成されていた。とくに歴代の外国人監督の評価に関する選手たちの証言は興味深かった。

★杉山―釜本を生かしたクラマー
 第1夜の「世界との出会い 1960~1968」には、ぼくも2回にわたって取材を受けた。制作したテレビマン・ユニオンの担当者の熱心さとアイデアには、ほとほと感心した。 
 1960年代に西ドイツから招いたクラマー・コーチが主人公だったが、杉山隆一-釜本邦茂のコンビを磨きあげてメキシコ・オリンピックの銅メダルをもたらした話に焦点を絞ったのがよかった。現在の杉山-釜本を、50年前にトレーニングをした千葉・検見川のグラウンドに連れ出してボールを蹴らせ、その映像をドイツ南部、チロルの麓のクラマーの家まで持って行って見せたのなどは「そこまでやるのか」と感心した。
 日本のサッカーが、まったく未熟だったあの時代に、外国からコーチを招くことを決断したのが現在の日本のサッカーに結びついている。西ドイツ・サッカー協会が、日本に送るコーチにクラマ-を選んでくれたのも、まさに適材適所だった。

★トルシエ、ジーコの起用は正解だった
 1990年代以降の日本代表チームの監督に、オフト、トルシエ、ジーコ、オシムを選んだのは、いい選択だったとぼくは考えている。トルシエは過激な言動のために、ジーコはドイツ・ワールドカップでの結果のために、批判も多いのだが、NHKの番組の中で中田英寿が、ぼくと同じ考えを述べていたのには意を強くした。
 「そのときどきの日本代表の状況を考えると、それぞれ適切な指導者だった」というのが中田の意見である。トルシエは自分の考えにチームを従わせようとした。ジーコは選手たちが自分の考えでプレーするように仕向けた。地元開催の2002年ワールドカップで結果を残すにはトルシエのやり方が必要だったし、日本のサッカーが世界をめざすにはジーコの考え方が必要だった。トルシエ、ジーコを選んだのは、当時の日本サッカー協会の実力者、川淵三郎である。この点については川淵の功績を、ぼくは高く評価している。

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