サッカー日誌 / 2010年05月07日


負傷者処置フェアプレーの珍事


返したボールが、あわやゴールに
J2 東京V1対1鳥栖
5月2日 味の素スタジアム

★返すつもりがロングシュート
 けがをした選手がフィールドに倒れているとき、ボールをタッチラインからわざと蹴り出してプレーを中断させる場面をよく見かける。負傷者をフィールド外に出して手当を受けさせるためである。そのあとのスローイン後のボールは、もともとボールを保持していたチームにお返しするのが慣習になっている。ルールで決められているわけではないが、フェアプレーの精神で試合を公正に進行させるために、そうするのである。
 ところが「スローインからのお返し」をするつもりのボールがシュートになって、あわやゴールになるという場面があった。たまたま見に行っていたJ2の東京ヴェルディ対サガン鳥栖の試合での出来事である。
 後半41分、ヴェルディが1対0でリードしているときだった。後方で味方が倒れているのに気がついて、ヴェルディの河野広貴がボールを蹴り出した。

★ミスキックでロングシュートに
 負傷者が場外に出て、鳥栖のスローインで再開になった。そのスローインを受けた鳥栖の木谷公亮がヴェルディの陣内へ大きく蹴り返した。そのボールがペナルティエリア内でワンバウンドして、クロスバーすれすれにゴールしそうになった。びっくりしたヴェルディのゴールキーパーが辛うじてクリアしてコーナーキックになった。
 木谷が相手の虚を突いてシュートしたのならフェアプレーの精神に反する行為だが、そうではないと信じたい。相手に返すつもりで蹴ったボールが、ミスキックでシュートのようになったのだと思う。
 それにしても、これがゴールに入っていたら、どう処置するのが正解だろうか? 「スローインからのお返し」をしないのは違反でも反則でもないから、主審は鳥栖のプレーに対して笛を吹くわけにはいかない。ゴールしたら得点を認めないわけにはいかないだろう。

★難しい審判員の処置  
 ルールブックの「競技規則の解釈と審判員へのガイドライン」第5条に、負傷者が出たときの審判員の手続きが規定されている。「審判員が軽傷と判断した場合、ボールがアウトオブプレーになるまでプレーを続けさせる」とある。重傷と判断した場合は「プレーを停止する」となっているが、この場合は「ドロップボール」での再開になる。
 鳥栖のケースは、プレーヤーの判断でプレーを止めたのだから、そのどちらでもない。
 あえていえば、選手が倒れていたのは後方であり、河野はハーフラインを越えて攻め込んでいたのだから、負傷者がプレーに巻き込まれる恐れは少なかった。だから、河野はプレーを続けるべきだった。ルール解釈の上ではそうなる。
 審判員にとっては難しい問題である。軽傷だのに大げさに寝転がったり、時間稼ぎに利用したりするケースも少なくないからである。

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