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ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 





亀屋本店。埼玉県川越市仲町4
上:1989(平成1)年9月18日
左:1984(昭和59)年5月4日

一番街の仲町交差点のすぐ北に建つ和菓子の老舗。現社主は八代目(1984年就任)。正確な社名は「株式会社龜屋」だが、難しい漢字は公式な場で使えばいいので、ここでは亀屋で表記する。
創業は1783(天明3)年で、創業者が和菓子作りを修行した「龜屋」からの暖簾分けという。四代目の山崎豊が新しい菓子を考案したり江戸風に改良したりし、ますます川越藩からも引き立てられ、「中興の祖」と言われる。明治以降、店は五代目に譲り、彼は第八十五国立銀行の設立に尽力して初代の頭取に就任する。商工会議所の設立にもかかわる。一方で、川越藩の御用絵師・橋本雅邦を支援するなど、文化活動も行った。明治の改革を先頭切って進めていったようで、老舗の旦那らしからぬイメージである。
建物は「山崎家住宅」として市指定有形文化財になっている。「川越建物細見」によると、「建築年代=明治26年6月19日(店蔵)」で「間口4間、奥行き2.5間の店蔵と間口2間、奥行2.5間の袖蔵を併立した袖蔵形式の蔵造りである。外観は塗籠められた出桁、深い軒をもつ屋根、特に開いた観音開扉が隣接する観音開扉と再び合わさることなど豪華である。大正期に店を座売から陳列に変更した。」と解説されている。
裏の「山崎美術館」はかつての工場を改装したもの。橋本雅邦の日本画を中心に展示する美術館で、1982(昭和52)年の開館。入館料500円だが、和菓子とお茶のサービスがあるということだから、カフェ代わりになりそうだ。

追記(2022.10.05)
本文の「創業は1786(宝暦6)年」を「創業は1783(天明3)年」と訂正。どこで間違えたのだろう。ちなみに天明3年は7月8日に浅間山の大噴火が起こった。

最近、『川越の建物 蔵造り編』(仙波書房、2022年9月、税込み2,200円)が出版された。蔵造りの建物18点を取り上げて、きれいなイラストと共に解説されている。以下に龜屋本店の二階の窓について述べられた箇所を紹介する。
二階の窓の段々を「掛子(かけこ)」といい、窓を閉めて壁と重なった状態を「手合わせ」という。扉と壁の段々に隙間がないように、左官職人による「掛子塗り」という技術で漆喰を塗り込める。この窓は外から開け閉めする。その足場として「目塗台(めぬりだい)」が設置されている。

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追記 (流一)
2022-10-05 10:10:31
『川越の建物 蔵造り編』から得た知識を、追記しました。
 
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