ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




桜井商店。埼玉県川越市仲町6。1984(昭和59)年5月4日

旧山吉デパートの隣にある洋風看板建築の店。『川越建物細見』(川越市作成のパンフレット)によると、建ったのは1915(大正4年)2月25日、土蔵造り。舶来品の自転車や鉄砲を売る「桜井商店」だった。――土蔵造りの看板建築とは珍しい、川越ならではのものだろう。洋風の外観は最初からのものだったのだろうか? 看板建築は関東大震災以降に建てられ始めたというのが通説なので、気になる―― 桜井商店は「鍛冶町の草分け商人」という。「住居棟――店舗の後ろにある寄棟屋根の家かと思う――との間には観音開扉が使われている。人造洗い出し仕上げの3連窓や柱型は美しく、川越左官の確かな腕を見せている。」とある。
『食べログ』の、現在の「アートカフェ エレバート」の投稿記事に「桜井銃砲店」について書かれた記事があった。それには、1955(昭和30)年頃には靴屋に、1995~2007年3月は「田中屋美術館」だった、とある。『日本近代建築総覧』では「マスダ靴店(旧桜井商店)」で載っている。1984年に撮った写真では古書店だが、店名が判らない。
田中屋美術館の「田中屋」は、田中利明(1944~1998)のことで、「菓子屋横丁の景観形成など、川越の商業観光の発展に貢献したことで知られる」そうだ。桜井商店を買い取り店舗を修繕して、1995年に氏が集めた美術品を展示した美術館をオープンした。この時、建物上部の「桜井商店」のレリーフの文字が「田中屋」に変えられたのだろう。
2007年に閉館した後、じきに現在のカフェに替わったらしい。

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