ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 



大野屋洋品店。埼玉県川越市連雀町13
1989(平成元)年9月18日

南北方向の「大正浪漫夢通り」と、蓮馨寺(れんけいじ)山門から東へ延びる「立門前(たつもんぜん)通り」との角にある洋品店。大正浪漫夢通りは、かつてはその北半分が「銀座通り」という全蓋式アーケードのある通りだった。また、中央通りの裏通り的存在だったのと、南の、駅に近いほうに客が移って、川越有数の繁華街だったという銀座通りは衰退の一方だったようだ。
「蔵造りの町並み」で一番街などに観光客が訪れるようになると、銀座通りもなんとかしようと考えたのだと思う。多く残っていた洋風看板建築の店を生かして、大正ロマンをテーマにした商店街を目指して、リニューアル(の反対?)を始めた。アーケードを取り除いたのが1995(平成7)。
大野屋洋品店もそれに合わせて外観を改装した。今の1階の洋風の造りはそのときのものである。写真は改装前のもので、写真右に銀座通りのアーケードが写っている。1階がどのような外観なのかさっぱり分らない写真だ。
最近発売された『川越の建物 近大建築編』(2021年、仙波書房、税込2200円)に、銀座商店街のゲート(アーチ)の全部を納めた写真が載っている。それに写っている大野屋は、赤い車の後ろは大きなガラス窓のショーウインドーで、今の建物とあまり変わりないように見える。
当書によると、建物は1930(昭和5)年の建築で、木造3階建て。2階は後退していて、洋風の石造り風の外観とは異なり、「二重菱」もようの横長窓が和風にも見えて、そのミスマッチが魅了、とも言っている。
大野屋は大正時代から続く衣料品店で、現店主は3代目。

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