ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




磯村ビル。港区虎ノ門1-1。1986(昭和61)年8月17日

外堀通りの虎ノ門交差点付近の北の裏通りを東に向けて撮ったもの。右手前から、ローレルビル、磯村ビル、虎ノ門実業会館新館(東海銀行の看板)……。磯村ビルは建て替わったがローレルビルと実業会館が今もそのままだから、景観はあまり変化していないと言えると思う。
古そうなビルがあるな、ということでとりあえずカメラを向けただけの写真で、肝心の磯村ビルに近寄って撮ることもしなかったので、磯村ビルの写真はこの1枚だけである。
『日本近代建築総覧』に「磯村ビル、港区芝虎ノ門(旧町名)、建築年=昭和11年(1936)、構造=RC5階建、設計=吉武長一、施工=大林組」で載っている。
吉武長一(よしたけちょういち、1879-1953年)は村井銀行のお抱え建築家として村井銀行の建物を多く設計して、京都に3棟が残っているらしい。東京では「安藤記念教会」(港区元麻布、1917年)がある。当ブログでは鎌倉の「日本基督教団鎌倉教会」(1926年)を収録してある。

名称からして「磯村産業株式会社」という会社が建てたビルと思われる。そのHPの「当社の歴史」には、1907(明治40)年に群馬県高崎に山林を取得して製炭業を始め、1936(昭和11)年に改組して「磯村産業株式会社」としている。写真の旧磯村ビルが建った年だが、それとの関連は書かれていない。1991(平成3)年に「港区虎ノ門に現在の磯村ビル完成」と出ている。2019(平成31)年、本社をみなとみらいクイーンズタワーに移転した。ビルの名称も変わるのかもしれない。

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