ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




旅館太栄館。文京区本郷6-11。2007(平成19)年2月16日

ストリートビュー(2016年12月撮影)を見たら太栄館は取り壊されて、整地だか基礎工事だかの最中である。驚いて調べてみると2014年6月で閉館していた。「建築計画のお知らせ」では、7階建て30戸のマンションが建つらしい。完成予定は平成29年9月30日。
東京都23区&周辺のホテル&旅館>旧・太栄館』によると、太栄館は「客室(すべて和室)は全52室(12畳の部屋もある)あるほか、会食場(宴会場)は50畳、30畳、20畳の3つ。むろん大浴場も完備している」という日本旅館だった。本館、新館、別館と、3つの棟がある。
石川啄木ゆかりの宿として有名である。啄木は明治41年に北海道から上京したが貧窮して金田一京助のせわで、当時「蓋平館別荘」といったこの下宿屋に移った。喜之床に移るまでの9か月間をここで活動した。その建物は木造3階建て、中庭のあるロの字型平面。明治43年には帝大に入学した内田百閒が入っている。「太栄館」と改称したのは昭和10年頃という。
新坂の坂上にそびえていた3階建ての建物は、昭和29年に失火で焼失した。『東京の坂道』(石川悌二著、昭和46年、新人物往来社、1800円)では、昭和27年としている。建て替わった2階建ての建物もロの字型の平面なので航空写真では違いがよく分からない。最近取り壊された太栄館の本館は昭和30年頃の建築だった。
写真は新坂から見上げた別館。

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