ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




第一生命保険相互館。千代田区有楽町1-13。1986(昭和61)年8月17日

渡辺仁と松本与作の共同設計、清水組の施工で1933年着工、1939(昭和13)年10月に竣工した。「新古典主義の流れを汲むシンプルな外観」、あるいは「古典系様式建築の到達点」などと言われている。ナチスが好んだ様式とも言われる。ただ、設計者が「新古典様式でいこう」と意識してデザインしたかとなると、怪しい気がする。
単純に眺めて、美しいと思う。威圧的な感じも確かにあるのだが、垂直線と水平線だけの単純な要素で見飽きないデザインに出来上がっている。


左:1986(昭和61)年5月18日、右:1992(平成4)年3月8日

1945(昭和20)年8月30日にマニラから厚木飛行場に到着したマッカーサーはひとまず横浜のホテル・ニューグランドへ滞在する。3泊したそうだ。このホテルも渡辺仁の設計である。GHQが横浜税関に置かれたからだろう。いきなり東京に進出するのをためらったからだ。横浜埠頭の戦艦ミズーリでの降伏文書の調印が9月2日。マッカーサーが第一生命館に入ったのは9月8日。アメリカ大使館に寄った後、帝国ホテルで昼食をとってからだった。中を見て回って横浜に戻った。正式に総司令部が東京に移ったのは9月17日。天皇がマッカーサーを訪問して一緒に写真に納まったのが9月27日、それが新聞に掲載されたのが29日だった。
マッカーサーの朝鮮戦争についての言説が米政府と対立して最高司令官を解任され、GHQを出たのが1951(昭和26)年4月12日で、羽田への沿道は見送る人で埋まったという。彼を実見する最後のチャンス、ということだったのだと思う。替わって最高司令官にはリッジウェイが就任する。ビルの接収が解かれるのは1952(昭和27)年7月7日である。



1985(昭和60)年11月22日

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