時かける少女・87スタートラック
コクピットに、アルルカンが実体化していた……。
「それは、アルルカンのアルターエゴよ!」
「分身……これが?」
「違うよ。これがオリジナルさ。いま船ごと蒸発したのがアルターエゴ(分身)さ。けっこう気に入っていたのにね」
分身は、まるで百歳のお婆さんだった。
「もう、二三体アルターエゴを作っておけば、こんな無様な姿を晒すこともなかったんだけどね。まさか王女様自らお出ましになるとはね」
「わたしは、予備役だけど軍人なの。ベータ星の危機は見過ごさないわ」
「その正義感が命取りだね……この船も、わたしの船のようにしてやる……」
「させるか……」
マーク船長は、ワープスイッチをCPUとのリンク無しに入れた。目的地を入力していないワープは、亜空間に投げ出される。つまり、現実世界ではない宇宙の狭間に。
「どないや、これで、この船を破壊したら、バアサン、元の世界には戻れんようになってまうで」
「戻ろうなんて気はないよ。水銀還元プラントもダウンロードの最中。アルターエゴを作り直すには、あたしの残り時間は少なすぎるからね……ただ、あんたらを生かしておいちゃ気が済まないんでね……」
ビューン バシッ!
耳障りな音がした。
コスモスが自分のコスモエネルギーを破壊モードに変換。アルルカンにぶつけ、はじき返された音だ。
「残念だったね、コスモス。シールドを張ってあるんでね」
「残念……」
その言葉を残して、エネルギーを使い果たしたコスモスは棒のように倒れてしまった。
そして、船が、ビリビリと振動し始めた。
「この船には意志があるんだね。破壊の思念に抵抗している……」
「そうさ、破壊される前に、あんたの命の灯が消える」
「舐めちゃいけないよ、このアルルカンを……!」
アルルカンの思念が、さらに強力になり、船は悲鳴に似たきしみ音をたてる。
「くそ……!」
「あと二十秒も持たないだろうね、へへへ……」
そして、船のきしみが分解寸前に達したとき、いきなりアルルカンの首が飛んだ……!
首が離れたアルルカンの体がドウと倒れると、その背後には意外な人物がコスモセーバーをはね上げた姿勢で立っていた。
「マグダラ……」
それは、女宇宙海賊マグダラであった……。
「それは、アルルカンのアルターエゴよ!」
「分身……これが?」
「違うよ。これがオリジナルさ。いま船ごと蒸発したのがアルターエゴ(分身)さ。けっこう気に入っていたのにね」
分身は、まるで百歳のお婆さんだった。
「もう、二三体アルターエゴを作っておけば、こんな無様な姿を晒すこともなかったんだけどね。まさか王女様自らお出ましになるとはね」
「わたしは、予備役だけど軍人なの。ベータ星の危機は見過ごさないわ」
「その正義感が命取りだね……この船も、わたしの船のようにしてやる……」
「させるか……」
マーク船長は、ワープスイッチをCPUとのリンク無しに入れた。目的地を入力していないワープは、亜空間に投げ出される。つまり、現実世界ではない宇宙の狭間に。
「どないや、これで、この船を破壊したら、バアサン、元の世界には戻れんようになってまうで」
「戻ろうなんて気はないよ。水銀還元プラントもダウンロードの最中。アルターエゴを作り直すには、あたしの残り時間は少なすぎるからね……ただ、あんたらを生かしておいちゃ気が済まないんでね……」
ビューン バシッ!
耳障りな音がした。
コスモスが自分のコスモエネルギーを破壊モードに変換。アルルカンにぶつけ、はじき返された音だ。
「残念だったね、コスモス。シールドを張ってあるんでね」
「残念……」
その言葉を残して、エネルギーを使い果たしたコスモスは棒のように倒れてしまった。
そして、船が、ビリビリと振動し始めた。
「この船には意志があるんだね。破壊の思念に抵抗している……」
「そうさ、破壊される前に、あんたの命の灯が消える」
「舐めちゃいけないよ、このアルルカンを……!」
アルルカンの思念が、さらに強力になり、船は悲鳴に似たきしみ音をたてる。
「くそ……!」
「あと二十秒も持たないだろうね、へへへ……」
そして、船のきしみが分解寸前に達したとき、いきなりアルルカンの首が飛んだ……!
首が離れたアルルカンの体がドウと倒れると、その背後には意外な人物がコスモセーバーをはね上げた姿勢で立っていた。
「マグダラ……」
それは、女宇宙海賊マグダラであった……。