せやさかい・136
以前も書いたけど、お寺の本堂の中は内陣(ないじん)と外陣(げじん)に分かれてます。
内陣と言うのは、ご本尊の阿弥陀さんのお厨子やら、聖徳太子やら親鸞聖人のお厨子やらがあって、いわば、拝まれる側の仏さんの場所で、外陣よりも一段高くなってるとこ。
外陣は、お参りに来た檀家さんらが、仏さんを拝むとこ。
外陣は、畳敷きで四十二畳ほどある。六畳の部屋七つ分くらい。
わたしは詩(ことは)ちゃんといっしょになって、この四十二畳の畳を二畳ずつに区切って養生テープを貼ってる。
養生テープいうのは、家のリフォームするときなんかに、床とか壁とかに保護シートを張る時に大工さんが使う奴で、淡い緑色をしてる。
「結構きついねえ(;^_^A」
詩ちゃんが、うっすらと汗をにじませて微笑んだ。
詩ちゃんは偉い!
わたしは、とっくにきつくて腰は痛いし顎は出てるし。そんなあたしを励ますために微笑んでくれてる。
「ちょっと休憩する?」
笑顔につられて、休憩を提案。
「よーーし!」
明るく応えると、外陣横の流し場の冷蔵庫からコーラをとってきた。
「「プハーーーー!」」
そのままコーラのコマーシャルに使えそうな爽やかシーンになる。
「バザーがでけへんのが残念やけどね」
「うん、でも『花祭り』自体流れなくてよかった」
額の汗を拭きながら詩ちゃん。
「去年の『花祭り』は賑やかだったからね……」
「おばあちゃんたち、喜んでくれるよ」
「うん」
二日後に控えた花祭り(正式には灌仏会)の準備をしてるんです。
四月八日はお釈迦さんの誕生日で、お寺にも檀家さんに大事な行事。
檀家さん、みんなに集まってもらって、お釈迦さんに甘茶を掛けたり、みんなで頂いたり。バザーをやったり。
去年は、引っ越してきたばっかりやったんで、この花祭りは嬉しくて面白かった。檀家のおばあちゃんらとも仲良しになれたし、バザーも面白かった。
今年は武漢ウイルスのために、あやうく中止になるとこで、うちのボンサンら(祖父ちゃん、おっちゃん、テイ兄ちゃん)は悩んでた。総代さんと話したり、近所のお寺や本山と連絡とったりして、夕べ決断。
バザーは中止にして、外陣の畳を二畳ずつ区切って、お参りしてくれはる人の距離をとる。
そのために、畳二畳を一つに区切るために養生テープを貼ってるというわけ。
「うん、任しといて!」
と、胸を叩いた……けど、四十二畳は、メッチャしんどい。
「お誕生会もしっかりやるからね」
「え、あ、あ、うん(n*´ω`*n)」
そうなんです、なによりも四月八日は、わたしの誕生日でもあるんです。
去年、引っ越してきたばっかりで、緊張しまくりやったわたしにお誕生会をやってもろた。かしこまって誕生日祝いやられるとかえって緊張しまくりになるねんけど、花祭りの延長で気楽に、でも賑やかにお祝いしてもろて、めっちゃ嬉しかった。
今年は、こうやって、わたしも準備に加われて、気が楽いうたら変やねんけど、去年以上に素直に楽しめそうです。
照れくさいから、阿弥陀さん「南無阿弥陀仏」と手を合わせる。
こういう時の阿弥陀さんは、ほんまに便利です。
バチ当るかなあ?