ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

グリモーのラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 他

2006-09-12 | CDの試聴記
ときどき、無性にラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を聴きたくなることがあります。
ミーハーといわれようと何といわれようと、この曲好きなんです。
取り出すディスクはその時によって違うのですが、今日はグリモーの新盤。

何故グリモー盤?
「また例によって、ジャケットで選んだのでしょう!」という声が聞こえそうですが、決して否定はしません(汗)
でも、今日このディスクに決めたのは、トイレに掛かっているグラモフォンのカレンダーのせいなんです。
なぜトイレにDGのカレンダーが掛かっているのか?
これを語りだすと「語るに涙」でありまして、とっても長くなるので、それはまた別の機会に。

話を戻して、グラモフォンのカレンダーの9月は、そうですエレーヌ・グリモー嬢なんです。
カレンダーの中の彼女とばっちり目が合ってしまい、これは何か聴かなきゃと、ふと思いついたのがこのディスクです。

          

グリモーは若い頃から天才少女ピアニストとして有名でしたが、このピアノコンチェルトも約10年前の1992年に一度録音しているので、この2000年の録音は再録音ということになります。

彼女の演奏を最初に聴いたのは、来日公演の映像でした。
ベートーヴェンのテンペスト等が弾かれていましたが、とにかく音楽が自然で瑞々しいことに大変驚きました。テンペストの終楽章なんかも、まさに疾風のごとく弾ききっていましたが、あざとさがないんですね。
そんな瑞々しい感性は、このラフマニノフの新盤でも大きな特徴になっています。
瑞々しいけど、決して弱くか細い演奏ではない。
音色が美しいことも大いにプラスにはたらいています。

冒頭の短い序奏からして、聴き手の背筋が思わずぴんと伸びるくらい、強い意志をもったピアノの音がします。
必要とみれば、逞しさすら感じさせる力強いタッチで難所をいとも簡単に弾ききってしまうし、その直後、デリカシー溢れる美しい表情も垣間見せてくれる。
なかなか素敵な演奏です。
最強音で、ときに飽和状態になってしまうように感じた箇所があったのですが、これは録音のせいかもしれません。
バックのアシュケナージは、さすがに勘どころを押さえた指揮で、グリモーのピアノを大いに活かした好サポートといえるでしょう。

そして、このアルバムには、ラフマニノフのピアノソロの作品が何曲か収められています。
とりわけ私が気に入っているのが、最後を飾る「コレルリの主題による変奏曲op.42」
大理石でできた彫刻を手のひらで触った時のような、少し冷ややかな感じもしなくはないですが、何度聴いても詩的で素晴らしい演奏に聴き惚れてしまいます。

ちなみに、私のipodに入っているラフマニノフのピアノコンチェルト第2番は、このグリモー盤です。
このことが、私のこのディスクに対する評価だとお考えいただいて差し支えありません。

<曲目>
ラフマニノフ作曲
■ピアノ協奏曲第2番ハ短調op.18
■前奏曲嬰ト短調op.32-12
■練習曲集「音の絵」作品33より第1、2、9番
■コレルリの主題による変奏曲op.42
<演奏>
■エレーヌ・グリモー(ピアノ)
■ウラディーミル・アシュケナージ指揮
■フィルハーモニア管弦楽団
<録音>2000年6、9、12月、ロンドン

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6 コメント

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僕もしばしば、 (リベラ33)
2006-09-13 18:06:59
この曲を聴きたくなります。ミーハーとか言われようとお構いなしデス。しかし、僕はこの作品に納得できる演奏を持っていないのが現状。これはぜひ一度買ってみましょう。

ジャケ目当て、とか思っても内緒にしておいて下さい(!)。
返信する
>リベラ33さま ( romani)
2006-09-14 00:20:34
こんばんは。

おー、何と嬉しいコメント。

リベラさんという仲間を得て、100人力です!(笑)



このディスクのグリモー嬢、なかなか素敵な演奏ですよ。

本当は、映像の方がもっといいかもしれませんが・・・。

そういえば、彼女は今秋来日しますよね。

N響とブラームスのピアノコンチェルト第1番をやるようです。



非常に力強さも必要な曲ですが、名演奏を聴かせてくれる予感がします。
返信する
ラフ2 (親父りゅう)
2006-09-14 21:33:57
こんばんは。



私もこの曲「時々むしょうに聴きたくなる曲」の中の一曲ですね。

名曲だと思います。



グリモー・・・・まだ。一枚も所持しておりませぬ。

何か買おうかな?安価なboxがいくつかあるみたいですね。
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romaniさんもラフマニノフ (calaf)
2006-09-14 23:38:35
こんばんは。エレーヌ(私はグリモーとは呼びません。彼女の名前の響きがとても好きです)のCDは大抵チェックしているつもりなんですが、このジャケットはすごい。ヴォーグかコスモポリタンのグラビアのみたいですね。彼女の表情も私が知っているエレーヌではなく、少しアメリカ女性っぽいですが、それにしても天は二物を与えるのですね。私が最も好きなのは、彼女のラフマニノフの2番のソナタなんです。デンオンで出ていました。ラフマニノフの2番のソナタはどちらかと言えば男性のイメージが強いですが、ともかく、全体の見通しがよく、推進力は抜群、繊細さも過不足なしですから、満足度の高い演奏といえます。この2番のソナタの録音はなんと15才なんですから、驚くというよりあきれてしまいます。音楽の構想自体が15才なんてとても信じられない演奏です。ところでエレーヌは、茶目っ気がとてもあり、パリ音楽院の先生のジャック・ルヴィエが審査委員をしているコンクールに参加したことがあります。その参加理由が、何と「ルヴィエの追っかけ」なんです。



最後にジャケットでCDを購入するのは当たる確率が大きいように思います。かなり昔ですが、アンネローゼ・シュミットのモーツァルトのピアノ協奏曲をジャケットで買ったのすが、なかなかのものでした。シュミットには落ちがあり、ジャケットでレコードが相当に売れ(日本で)その後来日しましたが、何と、ステージで見たシュミットは、「レコードのジャケットのお母さん」になってしまっていたのです。美しさの面影はもちろんありましたが、とてもがっかりしたのを覚えています。そういえばプログラムの演奏家の年齢が載るようになったは最近のことですね。話はそれましたが、女性ピアニストにラフマニノフの2番のコンチェルトはよく似合うと思います。ジョイス、リンパニー、ダヴィドビッチなどが私のお気に入りですが(アルゲリッチに録音してもらいたかった!)グリモーも仲間入りの視覚は十分ですね。一度ジャケット買いの特集をされてはいかがでしょう?私も出品致します(笑)
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>親父りゅうさま ( romani)
2006-09-15 01:28:52
こんばんは。



親父りゅうさまも、この曲の隠れファンでいらっしゃいましたか(笑)

実はエントリーするのが、少しだけ恥ずかしかったのですが、ちょっぴり安心しました。



>安価なboxがいくつかあるみたいですね

私は、ブリリアントの5枚組のアルバムを持っています。

なかなか素敵ですよ。

とくにショパンのバラード1番がお気に入りです。



ありがとうございました。
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>calafさま ( romani)
2006-09-15 01:37:09
こんばんは。



いつもありがとうございます。



>それにしても天は二物を与えるのですね。

ほんと同感です。単なるビジュアル系じゃないところがいいですよね。



>ともかく、全体の見通しがよく、推進力は抜群、繊細さも過不足なしですから、満足度の高い演奏といえます

まさに、仰るとおりです。風貌からすると、デリケートで少しひ弱な印象を受けますが、彼女の演奏はそんなもんじゃないですよね。

日本にもグリモーファン(もとい!エレーヌファン)が沢山存在するのも頷けます。

ただ、なぜ彼女が狼にあれほど魅せられているのかは理解できませんが・・・。(笑)



>一度ジャケット買いの特集をされてはいかがでしょう?

是非是非やりましょう。その節はよろしくお願い致します。
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