ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ステンハンマル ピアノ協奏曲第2番ニ短調 Op23

2006-09-08 | CDの試聴記
昨夜は、上京中のリベラさんのとりもちで、yurikamomeさん、yokochanさんと
横浜でお目にかかることができました。
リベラさん以外はそれぞれがまったく初対面だというのに、飲むほどに食するほどに話題が盛り上がります。
皆さん、音楽を真摯に聴きながらも、一方で心から楽しんでおられるところが印象的でした。
興味深い話も沢山聞けましたし、もう最高に幸せ!

さて、そんな楽しい会話の中で、yurikamomeさんに「是非聴いてください」とお勧めしたのがステンハンマル。
ステンハンマルは、1871年生まれの近代スウェーデンを代表する作曲家で、北欧の空気を実感させてくれるような、清々しさと叙情性に満ちた音楽を書いています。
彼の音楽との出会いは、BISのサンプラーCDの中に含まれていた「交響カンタータ「歌」Op44」の間奏曲。
そっと大事に大事にしまっておきたくなるような、そんな繊細で優しい音楽でした。

その後、ステンハンマルの作品をかなり聴いてきましたが、いまだ駄作に出会ったことがありません。
そんな彼の珠玉のような作品の中から、今日採りあげたのはピアノ協奏曲第2番。

このコンチェルトは、ピアノの不安げなモノローグを受けてオーケストラが応える場面で始まります。
ピアノが美しい主題を弾き始めても、オーケストラはバックで冒頭の不安げなモティーフを演奏し続けます。なかなか詩的な雰囲気ですねぇ。
どこかオペラを見ているような印象を受けます。
第2楽章はスケルツォ。短い序奏の後リズミックな舞曲風のフレーズで始まるのですが、しばらくすると情感たっぷりの音楽に変わります。この憂いを秘めたピアノのソロは本当に美しい。
第3楽章はアダージョ。前の楽章でピアノが奏でた素敵なフレーズを引き継ぎ、まさに憂愁のアダージョと呼びたくなるような美しい音楽が聴けます。
フィナーレは、曲想をがらっと変えて明るさと躍動感に満ちた音楽です。
今まで登場したモティーフを効果的に使いながら曲は進みます。
まるで春の訪れのように私には聴こえますが、いかがでしょうか。

私は3種類のディスクを持っていますが、断然のお勧めは、このソリヨム&ヴェステルベリ盤。
この演奏を聴いて、初めてこの曲の本当の魅力が分かったような気がします。
ソリヨムのピアノ独奏も雄渾で素晴らしいのですが、何といってもヴェステルベリ。
例えていうと、外面から見栄えを良くするために磨くのではなく、ヴェステルベリは内側から心を込めて一音一音磨き上げていきます。したがって、完成した音楽が何とも存在感がある音楽に仕上がるのです。
このヴェステルベリというマエストロ、とくに北欧の音楽を演奏させたら、もうどれもこれも他の追随を許さないくらいの素晴らしい音楽を聴かせてくれますね。
ステンハンマルの代表作の1つである交響曲第2番なんかを聴くと、とくにその感を強くします。

ステンハンマルの作品では、このディスクにカップリングされているセレナードも素敵な曲だし、他にも室内楽、ピアノ曲、歌曲にも佳曲がたくさんあります。
それらについては、また、別の機会にご紹介させていただきくつもりでおります。

<演奏>
■ヤーノシュ・ソリヨム(p)
■スティグ・ヴェステルベリ指揮
■ミュンヘン・フィル
<録音>1970年11月


コメント (6)
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