今日ウィーンから帰ってきました。
まさに夢のような5日間でした。
あまりにもたくさんの想い出ができてしまったので、感想を書きたいのですがとても一度には書ききれません。
それで、何回かに分けてレポートすることにします。
ウィーンへ行くのはちょうど10年振り。
その10年前はザルツブルク音楽祭へ行くのがメインで、ウィーンは最後の2日間だけというスケジュールでした。
だから、次にもしこちらに来る機会があれば、そのときは絶対ウィーンに腰をすえて、市内を散策しつつ、オペラにコンサートにまた美術館やカフェ巡り等をしてみたいと秘かに思っていました。
そんな折、モーツァルト生誕250周年という記念すべき年に、たまたま勤続25周年の休暇をもらえることになって、ひょんなことから私の「夢」が実現したんです。
ウィーン行きの飛行機の中で、期待に胸を膨らませながらあれこれ物思いに耽っていると、ふとあることに思いが至り、「がーん」と一撃をくらったような気がしました。
それは「今回のウィーン行きは、決して当たり前じゃないんだ。奇跡のような積み重ねではじめて実現したんだ」と。
まず第一に、今年のようなメモリアルイヤーが、永年勤続のタイミングとぴったり合ったこと。
第二に、4月という年度初めの重要な月に休暇がとれたこと。これは、会社の仲間達の温かい理解なくしては到底考えられません。
第三に、ゲルギエフが指揮するウィーンフィルの定期演奏会、ムーティが指揮する「フィガロの結婚」という超人気マエストロ2人のプラチナチケットが入手できたこと。これは、旅行会社の方に大変な尽力をいただいたおかげです。
そして何よりも、「夫の夢」という名のわがままに、はるばるヨーロッパまで付き合ってくれた妻の理解。
これらは、どれひとつ欠けても私の夢は実現しませんでした。
こう考えると、もうひたすら感謝感謝です。
さて、そんなことを考えつつ、いよいよウィーンに着きました。
そして、翌22日は待ちに待ったウィーンフィルの定期演奏会の日です。
開演30分くらい前にムジークフェラインへ行くと、建物の前は子供連れやらでとても賑わっています。「この人たちも定期演奏会を聴くの?」と不思議に思いながら中へ入ると、さすがにそこは正装に近い服装の人たちがほとんど。
2階へ上がるところでチケットを確認されて、階段を登り2階に上がるとそこにはあの金色のホールが・・・。横の扉の入り口でプログラムを買って中へ入りました。(チップを渡し損ねてしまいました。販売係の人、ごめんなさい)
最後まではらはらした肝心の座席は、平土間の27列左側3番・4番というロケーション。後方なので覚悟していたのですが、この列から後ろの立見席までは少し傾斜がついているので、とても見やすかった。
ステージに目を移すと、(ニューイヤーコンサートでおなじみですが)ステージの両側にも人が座っています。まるでオーケストラの一員のようです・・・。
そして、ベルが鳴って、いよいよヴァイオリンソロのレーピン、マエストロ ゲルギエフの登場。
ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番が、弦楽器で静かに奏でられて曲が始まりました。ウィーンフィルのふくよかな表情が何とも言えず魅力的。ハープ・チェレスタも、実に印象的。レーピンも好調です。第1楽章最後の最弱音の表現力が凄かった。
第3楽章から終楽章にかけて、レーピンの音楽はさらに凄さを増します。カデンツァでは息をするのもはばかられるほどの緊張感。そして何の衒いもなく終楽章へ。終楽章は素晴らしいテンポで一気にエンディングまで突っ走ります。もう圧倒的としか言いようがありません。
演奏終了と同時に凄いブラヴォーでした。
休憩時に、立見席?で聴いていたヴァイオリン勉強中とおぼしき若い日本人女性二人が、「レーピンってこんな上手かった?」と興奮気味に喋っていたことが印象的でした。
(後半は次回に)
☆ウィーンフィル定期演奏会
「マチネ第8回定期演奏会」
■日時:2006年4月22日(土)15:30~
■場所:ムジーク・フェライン 大ホール
■指揮:ワレリー・ゲルギエフ
■独奏:ワディム・レーピン(ヴァイオリン)、マルクス・シルマー(ピアノ)
■曲目:
・ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲イ短調作品77
・モーツァルト:ピアノ協奏曲ニ短調K466
・ショスタコーヴィチ:交響曲第9番変ホ長調
まさに夢のような5日間でした。
あまりにもたくさんの想い出ができてしまったので、感想を書きたいのですがとても一度には書ききれません。
それで、何回かに分けてレポートすることにします。
ウィーンへ行くのはちょうど10年振り。
その10年前はザルツブルク音楽祭へ行くのがメインで、ウィーンは最後の2日間だけというスケジュールでした。
だから、次にもしこちらに来る機会があれば、そのときは絶対ウィーンに腰をすえて、市内を散策しつつ、オペラにコンサートにまた美術館やカフェ巡り等をしてみたいと秘かに思っていました。
そんな折、モーツァルト生誕250周年という記念すべき年に、たまたま勤続25周年の休暇をもらえることになって、ひょんなことから私の「夢」が実現したんです。
ウィーン行きの飛行機の中で、期待に胸を膨らませながらあれこれ物思いに耽っていると、ふとあることに思いが至り、「がーん」と一撃をくらったような気がしました。
それは「今回のウィーン行きは、決して当たり前じゃないんだ。奇跡のような積み重ねではじめて実現したんだ」と。
まず第一に、今年のようなメモリアルイヤーが、永年勤続のタイミングとぴったり合ったこと。
第二に、4月という年度初めの重要な月に休暇がとれたこと。これは、会社の仲間達の温かい理解なくしては到底考えられません。
第三に、ゲルギエフが指揮するウィーンフィルの定期演奏会、ムーティが指揮する「フィガロの結婚」という超人気マエストロ2人のプラチナチケットが入手できたこと。これは、旅行会社の方に大変な尽力をいただいたおかげです。
そして何よりも、「夫の夢」という名のわがままに、はるばるヨーロッパまで付き合ってくれた妻の理解。
これらは、どれひとつ欠けても私の夢は実現しませんでした。
こう考えると、もうひたすら感謝感謝です。
さて、そんなことを考えつつ、いよいよウィーンに着きました。
そして、翌22日は待ちに待ったウィーンフィルの定期演奏会の日です。
開演30分くらい前にムジークフェラインへ行くと、建物の前は子供連れやらでとても賑わっています。「この人たちも定期演奏会を聴くの?」と不思議に思いながら中へ入ると、さすがにそこは正装に近い服装の人たちがほとんど。
2階へ上がるところでチケットを確認されて、階段を登り2階に上がるとそこにはあの金色のホールが・・・。横の扉の入り口でプログラムを買って中へ入りました。(チップを渡し損ねてしまいました。販売係の人、ごめんなさい)
最後まではらはらした肝心の座席は、平土間の27列左側3番・4番というロケーション。後方なので覚悟していたのですが、この列から後ろの立見席までは少し傾斜がついているので、とても見やすかった。
ステージに目を移すと、(ニューイヤーコンサートでおなじみですが)ステージの両側にも人が座っています。まるでオーケストラの一員のようです・・・。
そして、ベルが鳴って、いよいよヴァイオリンソロのレーピン、マエストロ ゲルギエフの登場。
ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番が、弦楽器で静かに奏でられて曲が始まりました。ウィーンフィルのふくよかな表情が何とも言えず魅力的。ハープ・チェレスタも、実に印象的。レーピンも好調です。第1楽章最後の最弱音の表現力が凄かった。
第3楽章から終楽章にかけて、レーピンの音楽はさらに凄さを増します。カデンツァでは息をするのもはばかられるほどの緊張感。そして何の衒いもなく終楽章へ。終楽章は素晴らしいテンポで一気にエンディングまで突っ走ります。もう圧倒的としか言いようがありません。
演奏終了と同時に凄いブラヴォーでした。
休憩時に、立見席?で聴いていたヴァイオリン勉強中とおぼしき若い日本人女性二人が、「レーピンってこんな上手かった?」と興奮気味に喋っていたことが印象的でした。
(後半は次回に)
☆ウィーンフィル定期演奏会
「マチネ第8回定期演奏会」
■日時:2006年4月22日(土)15:30~
■場所:ムジーク・フェライン 大ホール
■指揮:ワレリー・ゲルギエフ
■独奏:ワディム・レーピン(ヴァイオリン)、マルクス・シルマー(ピアノ)
■曲目:
・ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲イ短調作品77
・モーツァルト:ピアノ協奏曲ニ短調K466
・ショスタコーヴィチ:交響曲第9番変ホ長調
若干の寂しさを感じつつも、元気に帰ってきました。
コンサートもオペラも、またウィーンの街の雰囲気もほんとに素晴らしかったです。
拙い筆でどこまでお伝えできるか分かりませんが、私の観たこと感じたことを精一杯書いていきたいと思いますので、是非おつきあいください。
ありがとうございました。
今回のウィーンフィル、今までの演奏会とは
段違いでした。
私も1年でウィーンフィルの単独演奏会に15回程足を運びましたが、これほどの素晴らしい演奏を聴いたのは初めてです。
きっとromaniさんへの勤続25年のお祝いですね。
そしてフィガロも。
こちらで通っていてもあんなに魅せて&聴か
せてくれるオペラにはなかなか出会いません。(特にイタリアもの)
しかも楽屋口にいらしたんですね!
まさにニアミス!
この日の出演者は皆本当に人柄がよく、ステ
キな人ばかりでしたよね。
最終日の昨日もとても素晴らしかったです。
また続きのコンサートレビューを楽しみにし
ています。
>ウィーンフィルの単独演奏会に15回程足を運びましたが、これほどの素晴らしい演奏を聴いたのは初めてです。
そうだったんですか。ほんとにラッキーだったと思います。素晴らしい思い出ができました。
フィガロの記事はこれから書きますが、素晴らしい上演でしたね。わたしにとっても一生忘れられない公演になりました。Zauber-tonさまの感想を拝見しながら、ことごとくその通りだと頷いております。
でも、あのムーティのフィガロを3回も観られたなんて、うらやましい限りです。
ありがとうございました。
楽しいコメントありがとうございます。
この定期演奏会は、なかなかチケットがとれなくって正直半分あきらめていたのですが、本当に行けてよかったです。
ゲルギエフとVPOの相性は、とてもよさそうでした。
でも、私もkikiさまと同じようにいまだに興奮状態なんですよ。(笑)
ところで、当日はマイクが沢山つるされていたので、ひょっとするとFM等で放送があるかもしれませんね。
1986~1989まで6ゼメスターHOCHSCHULEで勉強していたので、定期も16回しかもカラヤンやクライバーなど凄いメンバーを立ち見席で(50シリングで、)聴きました。なんて贅沢を親にさせてもらっていたのだろうと、改めて感謝してます。その親に恩返しできなかったことが悔やまれます・・・。
romaniさんのブログを拝見して、今度は自分でお金を貯めて、是非もう一回行こうと決意しました。
4月は1番良い季節です。作曲家がこぞって書き残した「春」が長い長い冬を越した歓びに溢れる季節です。よかったですね。
アバドとポリ-二の時、足をはずしていたのか思い出せずに、いらいらしてます。もう20年も昔!
宝物のあの頃のプログラムを出してきて、このコメントを書いています。心躍る旅行記、ありがとうございます・・。
沢山の想い出をもって、帰って来ました。
一生に一度と思って行ったのですが、こんな素敵な経験をしてしまうと、「また絶対に行ってやるぞ」と思わざるをえません。
でも、その前にお金を貯めなくちゃ。(全くもってemiさんと同じですね)
>定期も16回しかもカラヤンやクライバーなど凄いメンバーを立ち見席で(50シリングで、)聴きました。
おー、何と羨ましい。ほんとに羨ましいです。その経験・想い出は絶対いつまでも残るし力になりますよね。
また、ウィーン留学されていた頃のお話を聞かせてください。
楽しみにしております。
ご主人の夢にお付き合いされる奥様にとっても、思い出に残る素晴らしいご旅行だったのでしょう。
romaniさまの言葉のひとつひとつに、邯鄲と感嘆のため息がもれます。
理性的な音楽批評も貴重ですが、このような夢のある音楽紀行も、訪問者にとって嬉しいものです。
その場にいないけれど、クラシック音楽好きの同好の士としては、
romaniさまの感動はしみじみと伝わってきます。
私事のコメントで恐縮ですが、あさっては甥のヴァイオリンの発表会で、兵庫県に参ります。
車中『ショスタコービッチの証言』を読む予定です。
生誕100年、同郷のレーピンのショスタコービッチVn協奏曲というのも考えさせられます。
それでは、まだまだ続くウィーン紀行を楽しみに。
ありがとうございます。
何か夢中で書いちゃったので、今読むとお恥ずかしい点が多々あり、赤面しております。
でも、ムジークフェラインで聴いたウィーンフィルの音、オペラ座で観たあの素晴らしいフィガロ、愛の妙薬はきっと生涯忘れないと思います。
音楽が自然にウィーンという街に溶け込んでいるんですね。むしろ一心同体という感じです。
また、ムジークフェラインで聴いたレーピンのショスタコは、ヒラリー・ハーンやオイストラフ、そのいずれとも違ったアプローチでしたが、豊かさと緊張感が交錯する素晴らしい演奏でした。