ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

森麻季さん(トップランナー)

2006-09-18 | BS、CS、DVDの視聴記
昨日のNHKのトップランナーに、ソプラノの森麻季さんが出演されていました。
うーん、やっぱり華がありますね。
インタビューに答えて、とても興味深いお話をされていました。
普段の森さんの声は、意外に低くしっとりした声です。
それが、いったん歌を歌いだすと、まったく違う声になるんですね。
不思議なものです。

        

それから、話し方がとっても落ち着いた感じで好感がもてました。
また、説明する時にちょっと難しいかなと思ったら、すぐにたとえ話を出して分かりやすく説明してくれます。
彼女、きっと頭がいいんですね。
舞台でみせるあの知的な雰囲気の秘密を、垣間見たような気がしました。
印象に残った点をいくつか・・・。

■華奢な体のどこからあのような美しい声が出てくるのですか?
腹筋と背筋を使ってポンプの仕組みで声を出すんです。
イメージとしては、お腹だけではなく腰にも息を入れる感じで、内側の筋肉を使って発声しています。
骨格がしっかりしていればそれだけ立派な声がでるのは事実ですが、スピーカーを思い浮かべてください。
重低音をしっかり響かせるにはたしかに大きなスピーカーが必要ですが、私のように高い音で歌う場合は、必ずしも大きな容積のものは必要ないのです。
それから容積が大きくなっても、脂肪がたくさんついてしまうと、響かなくなるんです。
だから細身でも歌えるんです。

■9.11事件のこと
ちょうど渡米中でコシ・ファン・テュッテで歌っている時期でした。日本だったらとても上演は出来ないと思いますが、観客が一人でも来られたら絶対やろうと皆で話していたところ、客席は満員。
お客さんになんとか楽しんでもらおうと無心で歌った。
聴衆もとても喜んでくれて、本当に嬉しかった。
普段なら、「上手く歌えるだろうか」、そればっかり気にしていたのですが、「何とか少しでも楽しんでもらいたい」とその時初めて思ったのです。
音楽って、こんな素晴らしい力があるんだと改めて実感しました。
「人のために、そして人の心に届く歌が歌いたい」と思ったのは、このときからです。

■挫折をどうやって乗り越えたのですか?
東洋人であるという理由で、オーディションに落ちたこともあります。
日本人としての歌い手は必要とされていないと感じて、寂しく感じたこともあります。
でも、「どうして私は歌っているの?」と自分に問いかけた時に、出てきた答えは、「やっぱり歌が好きだ」ということ。
認められなくてもいい。歌いたいなあという気持ちを持ち続けていきたい。
世界一流の劇場でなくてもいい。私の歌を聴いてくださる人が1人でも2人でもいるところで歌を歌っていきたい。
そう思ったときに、私は挫折を乗り越えられたような気がします。


正直に言います。
森麻季さんは華もあるし、歌手として本当に素晴らしい人材だと思っていましたが、少し冷たいというかすましたイメージがありました。
でも、この番組を見ててイメージはまったく変わりました。
9,11の話や、挫折を乗り越えたときの話をしながら、ときに涙ぐむ森さん。
こちらも、ジーンとしてしまいました。
番組の中で歌った、ヘンデルの「涙の流れるままに」の何と美しかったことか。

実演はまだ1回しか聴いたことがありませんが、これからも応援していきたいと思います。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBしました (ご~けん)
2006-09-18 13:00:30
romaniさん、お久しぶりです。森麻季さん、とても素晴らしいでしたよね。その人間性はコンサートの中でも大いに感じるところがあったような気がします。さて彼女は昨年の秋に結婚されていたようです。ちょっとショックでしたが、イタリア人のご主人と幸せ一杯なのでしょう。また彼女のコンサートに行きたくなりました。
返信する
>ご~けんさま ( romani)
2006-09-19 00:31:08
こんばんは。



コメント・TBありがとうございます。

嬉しいです。

ご~けんさまもご覧になっていたのですね。



>さて彼女は昨年の秋に結婚されていたようです。

えっ!これはショッキングなことです・・。

眠れなくなりそうです(笑)

そうだったんですか。道理で昨日はずっと左手薬指に指輪をしていましたよね。



でも、また一段と深みのある歌が期待できるかもしれませんね。

応援していきたいと思います。
返信する
ご~けんさん経由TBです (50TEMPEST)
2006-09-20 22:00:41
こんにちは。

彼女のコメントをしっかり書き留めてくださってありがとうございます。

読んでいて、またウルッときちゃいました。
返信する
>50TEMPESTさま ( romani)
2006-09-21 01:02:31
はじめまして。

ようこそ、おいでくださいました。

素敵な番組でしたね。



昨年バシュメット&モスクワ室内Oのコンサートで彼女が歌っていました。

その中にはヘンデルの「涙の流れるままに」が含まれていましたが、今回の方がさらに良かったです。

常に成長している姿を目の当たりにして、とても嬉しかったです。



今後ともよろしくお願い致します。

返信する
再放送 (emi)
2006-09-22 12:10:00
こんにちは。

再放送の途中からですが、見ました。

ほんとうにステージの印象とは違いました。

主人がよく共演するのですが、「すごい美人でしょ?」と訊くと「うん。そうだけど、それよりかなり巧い。」と毎回のように言います。常にとても安定していて素晴らしい音楽家でいらっしゃるのですね。

「涙の流れるままに」も素晴らしかったですね。

下を向きながらも美しく響いていて、繰り返しのところの音楽の作り方も知的でした。そして声も好きです。大きなホールでないときの演奏をもっと聴きたいと思いました。

ドミンゴが心配りのできる素晴らしい人とは知らなかったです。(笑)(女性にめちゃくちゃ優しいのは有名ですが)

私もこの放送で、森さんのファンになりました。

返信する
>emiさま ( romani)
2006-09-24 14:03:06
こんにちは。



いつもありがとうございます。

森麻季さんと共演できるご主人が羨ましい・・・(笑)

ご主人が「かなり巧い」と表現される点は、よく分かるような気がします。

持って生まれた資質に恵まれた人ですが、相当の努力を日々されているんだなと、勝手に想像していました。

コロラトゥーラの技術も、いつ聴いても安定していますものね。

私の大好きなエディット・マティスや、オペラでいうとナタリー・デッセイのようなタイプの歌手になってくれたらいいのにと、秘かに期待しています。



>ドミンゴが心配りのできる素晴らしい人とは知らなかったです。

私もです。森さんのコメントどおりだとすると、素晴らしい人格者ですよね。

あらためて、見直しました。(笑)
返信する
森麻季さん出演情報 (もも)
2006-12-08 17:07:21
ウィーンシュトラウスフェスティバルオーケストラ
日時:2007年1月6日(土)
場所:サントリーホール

森麻季さんが出演されますこの公演のチケットを座席指定して購入できるサイトを発見!したのでぜひいかがでしょうか。
ちなみに定価です。

http://shop.goo.ne.jp/store/classeek/index.html
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>ももさま (romani)
2006-12-09 14:32:58
こんにちは。

貴重な情報、ありがとうございます。
楽しそうなコンサートですね。
何としても行きたいなあ。
ただ、当日別件が入っているので、何とか調整してみたいと思います。

ありがとうございました。
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はじめまして (jsbach2005)
2007-04-13 09:17:52
森麻季さんがシュトラウス音楽祭でゾフィー役で出演したと報道があり、ネットサーフをしたら ここに行き着きました。

これからも宜しく。

私ののコメントは
http://blog.goo.ne.jp/jsbach2005/e/f4bbe40e3644b07140cef72e87a46744
です。

以上
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>jsbach2005さま (romani)
2007-04-15 23:39:44
はじめまして。

ご来訪いただき、本当にありがとうございます。
森麻季さんは、宗教音楽からオペラまで幅広く活躍されていますよね。
最初ヴィジュアル系の歌手かと思っていましたが、どうしてどうして、非常に安定した歌唱力を持つ実力派であることを思い知りました。
今秋のドレスデンの来日公演でも是非ゾフィーを聴きたかったのですが、迷いに迷って「サロメ」と「復活」に絞りました。

ひょっとすると、直前にチケットを拾いに行くかも・・・(笑)

今後とも宜しくお願いいたします。
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