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カラヤン・メモリアル・コンサート(2008/1/28 in ウィーン)

2010-01-17 | BS、CS、DVDの視聴記
今日クラシカで録り溜めたDVDの整理をしていて、久しぶりにこのコンサートの映像をみた。
カラヤン生誕100年ということで2008年1月に行われたベルリンフィルのメモリアル・コンサートだ。
カラヤンの愛弟子だった小澤さんが指揮台に立ち、メインはチャイコフスキーの『悲愴』。
そして前半は、ソリストにムターを迎えてのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲という選曲。

<曲目>
■ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
■J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調よりサラバンド
■チャイコフスキー:交響曲第6番変ロ短調作品74『悲愴』
<演奏>
■アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)
■ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
■小澤征爾(指揮)
<録音>2008年1月28日、ウィーン、ムジークフェライン(ライヴ)

なかでも、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が感動的な名演だ。
ムターのライヴにおける集中力の高さはよく知られているが、この日の演奏は別格。
彼女にとっても、きっと特別な思いでのぞんだコンサートだったのだろう。
第一楽章から、とにかく一音一音心をこめて弾いているのが、聴き手にもビンビン伝わってくる。
ムジークフェラインの音響の素晴らしさも手伝って、とりわけ弱音の美しさが尋常ではない。
軽々に「魂」ということばは使いたくないが、この日の彼女のヴァイオリンを表現するには、まさしく「入魂」ということばが最もふさわしい。
続く第2楽章の高貴さ、フィナーレのすさまじいまでの高揚感を聴くにつけ、特別な日がもたらした特別な贈り物だったような気がしてくる。
アンコールのバッハも、まことに深遠な音楽で、映像を通してでもこんなに感動するのだから、ライヴではいったいどんな状態だったのだろう。
最後の音を弾き終わった後、ムターの眼にうっすら涙が滲んでいるのをみて、私までもらい泣きしてしまった。
また、小澤さんの指揮も本当に素晴らしい。
ゆったりしたテンポで自然に湧き出てくるような豊かな音楽は、まぎれもない巨匠のそれだ。
『悲愴』は、5日前の1月23日にベルリンで素晴らしい名演を聴かせてくれていた(NHKのハイビジョンで放映済)が、このウィーンのコンサートはさらに上をいっているように思う。
切迫感、極限状態の緊張感という点ではベルリンの演奏が勝っているかもしれないが、豊かさ・格調の高さという点でこのウィーンのコンサートはかけがえのない魅力をそなえている。
この日のコンサートを、もし天国のカラヤンが聴いていたら、きっと眼を細めて頷いていたにちがいない。
終演後、客席のカラヤン夫人をカメラが映し出していたが、大変満足げな表情をされていたのが印象的だった。

さて、ムターは今春来日するが、果たしてどんなブラームス(ヴァイオリンソナタ全曲)を聴かせてくれるのだろう。
また夏には小澤さんも復帰する予定ときいているので、サイトウキネンでそして秋のウィーンフィルで元気な姿を見ることができると信じている。
そして、願わくば是非二人のコンチェルトを聴いてみたいものだ。
かつて、ボストン響が来日したときのコンサートのように・・・。

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