ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

山田一雄&N響 モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」

2008-11-02 | BS、CS、DVDの視聴記
たまりにたまったビデオやDVDの整理を始めているのですが、まる一日かかっても遅々として進みません。
それもそのはずです。
「これ、何が入っているんだっけ」、あるいは「どんな演奏だったかなぁ」と、すぐに脱線して「チェック」と称して見始めるものだから、当然ですよね。

しかし、この「脱線、ぶらりチェックの旅」も、なかなか良いものです。
なくなったと思っていた映像に出会ったり、改めて演奏の素晴らしさに心打たれたりで、あっという間に時間が過ぎていきます。

そんな中、再び出会った素敵な演奏(映像)が、山田一雄さんが指揮したジュピター。
ソースは、NHKで昔オンエアされたものを録画したビデオなのですが、聴きながら心洗われる思いがしました。
1990年11月のコンサートですから、マエストロ78歳のときの演奏ということになります。
しかし、何と瑞々しいんだろう。
これが80歳近い老人の音楽?
所謂ピリオド奏法とは対極のスタイルですが、まったく古臭さを感じさせません。
どのフレーズもしっかり響かせていきますが、とってつけたような作為的な表情が皆無で、すべての音に真実味が感じられます。
中庸を得たテンポ、弾力性をもったリズム、趣味のよさ、歌ごころ、凡そモーツァルトに必要とされるものが、山田さんの音楽の中にありました。
こんな素敵なジュピターには、そうそうお目にかかれないと思います。

山田さんといえば、大学生の頃に『指揮の技法』という本を通して、大変お世話になりました。
お世話になったといっても、直接お目にかかって指導を受けたわけではありません。
大学のマンドリンオーケストラの指揮をすることになって、「指揮?いったい、どうやって勉強するんだ・・・」と悩んだ挙句、山田先生の著書である『指揮の技法』を師としてやろうと決め、がむしゃらに読んだのです。
毎日毎日、文字通り読みふけりました。
半年くらいたつと、本は擦り切れてぼろぼろになってしまいましたが、その明快な表現のおかげで、何とか指揮の真似ごとができるようになりました。
その意味で、今でも心から感謝しています。
『指揮の技法』は、斎藤秀雄さんの有名な『指揮法教程』とともに、日本の誇るべき名著だと思います。

こんな風にしてこの名演奏と再会した私は、さっそくビデオからDVDにダビングしました。
これから、きっと私の宝物になることでしょう。

(データ)
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調「ジュピター」
<演奏>
■指 揮:山田一雄
■管弦楽:NHK交響楽団
<録音>
■1990年11月26日
■サントリーホール

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4 コメント

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ご無沙汰しております (yurikamome122)
2008-11-03 10:34:34
ヤマカズさんのCDを私はいくつか持っておりまして、モーツァルトも持っています。
印象はromaniさんと同じで、こんなにチャーミングな演奏をしていたのかと思います。
とっても魅力的な方ですよね。
いくつか接した実演は今でも覚えていますが、ショルティとローゼンシュトックを足してもっとわかりづらくしたような彼の棒でしたが、でも出てくる音は見事でした。
懐かしいです。
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Unknown (EINSATZ)
2008-11-03 21:49:50
昔、TVで若き山田氏が振るマーラーの「千人の交響曲」の映像(一部分)を見ましたが、実に鬼気迫るものでした。この曲の日本初演はこの山田氏だったんですね。現在「お仕事」的な演奏者がチラホラする中、この人は真の「演奏家」とだったいう印象があります。
返信する
>yurikamome122さま (romani)
2008-11-04 05:39:01
おはようございます。

いつもありがとうございます。

>ショルティとローゼンシュトックを足してもっとわかりづらくしたような彼の棒・・・
なるほど・・・。思わず笑ってしまいましたが、確かにそんな感じです(笑)

そういえば、山田さんは神奈川フィルでもよくタクトをとっておられましたよね。
本当に素敵なマエストロでした。
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>EINSATZさま (romani)
2008-11-04 05:49:16
おはようございます。

山田さんはいつも真剣勝負でしたよね。

>現在「お仕事」的な演奏者がチラホラする中、この人は真の「演奏家」とだった・・・
まったく同感です。
山田さんが京都市交響楽団を指揮されている姿を何度か拝見しましたが、まさにそう思いました。
コンサート通いをしていても、ときに「表面をなぞって、クライマックスで盛り上げて、はいおしまい」という演奏に出会うことがあります。
だからこそ、真摯な演奏に接すると一層感動するのかもしれません。
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