いつものようにモルバランが駆けてきたが、メルリッチェルを見ても軽く会釈をしただけで通り過ぎようとした。
「アラ、モルバラン、今日は水くさいわねぇ。黙って通り過ぎるなんて」
しばらくいったところで、モルバランは立ち止まり、振り返っていった。
「今日は何もしゃべらないんだ」
「どうして」
「だって、今日は何を言っても嘘にされてしまうだろう」
というと、また駆け始めた。
メルリッチェルのあきれたような視線を背後に感じながら、モルバランは考えていた。
いっそのこと、大声で叫んでやろうかな。「気をつけろ!地球が落ちてくるぞっ!」って。