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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

君はホウジャクを見たか? 長生きはするもんだぜ!

2009-10-29 14:46:06 | よしなしごと
 もうそろそろだろうと当たりをつけて行ってみた。わざわざ行くほどの粋人ではないので行くといっても郵便局に用事があったついでに立ち寄ったというのが本当のところだ。
 やはり咲いていた。近くの神社の境内にあるツワブキの群生だ。この花の黄色は、「黄色ってこういう色よ」という自己主張があるようでどことなく好ましい印象を持っている。

 

 さっそく携帯のカメラに納める。木陰にあるため、光の射し具合など確かめて撮る。
 カメラを構えていると、なにやらうるさく飛び回っているものがいる。その大きさなどからして、はじめはクマンバチかスズメバチの一種かと思った。

 

 ところがどうも飛び方が違うのである。花から花へと移動するのだが、その移動が実に素早くほとんど目にとまらない。今ここにいたかと思うと、次の瞬間別の花のところにいる。まるで瞬間移動だ。
 しかも、花に止まることはない。空中でヘリコプターのようにホバリングしながら蜜を吸い、とどまることなくツイと次の花に移動する。

               
               これではよく分からない

 よく見ると飛び方だけではない、その形状も蜂類とはかなり違う。胴体や羽の長さ、それに口吻がその体長の倍以上に長いのだ。
 なんとかカメラに収めたいと思った。しかしこれが至難の業なのだ。すでに述べたように花に止まり羽を休めることはなく空中でホバリングをしたまま蜜を吸い、しかもそれもきわめて短時間でツイと次の花に移動してしまうのだ。

 幸い、あまり人をおそれず、私の回りを傍若無人で飛び回っているので、シャッターチャンスはあるはずなのに、私の技量ではその軽やかな飛翔にはまるで付いては行けない。五条の大橋で、牛若丸に翻弄される弁慶のようなものである。

 
           何枚か撮ったうちでこれがまあまあ

 それでもなんとか撮すだけは撮して、帰宅してからネットで調べた。やはり、蜂のところにはそれに該当するものはいない。窮余の策で検索に「口吻が長い」と入れてみた。
 そしたらヒットしたのだ。なんと蜂ではなく蛾の仲間、スズメガ科のホウジャク類の一種だということが分かった。しかし、ホウジャクの仲間もたくさんいて、私の目撃したのがどれかは特定できなかった。

 
      同じくツワブキと戯れているが私が撮ったものではない
               ネットの図鑑から


 しかし面白い虫である。70年以上生き延びてきてはじめてお目にかかった。ネットの昆虫図鑑で見るといっそう面白く、ある種の美しさと造型の謎を秘めたような虫である。
 今日一日は、あいつを見ただけで満たされたように思った(実際にはいろいろ用事をこなし、勉強もしましたよ)。

 

    
             同じくネットの図鑑から
         私の目撃したのはこの上のものに酷似していた


 私が住まう世界は私がまったく知らない世界と併存しながらあるといえる。
 知ってる世界のみで知らない世界を演繹的に導くのは自分と世界を閉ざすことであろう。
 今日のような新たな「できごと」に遭遇すると、この世界への好奇心もあらためてかき立てられようというものだ。

 ところで、私がこの虫を見たおり、スズメバチかクマンバチの仲間かと誤認したのもあながち無理でははなかった。ホウジャクとは漢字で表記すれば、「蜂雀」というのだそうだ。
 しかし、あれが蛾の仲間だとはなぁ・・・。


コメント (7)
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