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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

この建物は何? 官舎から公舎へ、そして・・・

2009-06-25 02:29:39 | 想い出を掘り起こす
 なんの変哲もない街角に、なんの変哲もないというかいかにも古めかしい、一見洋館風の木造建築があります。私の家から徒歩10分ほど、旧国道21号線沿いの角地です。

  

 最近まで、この手前のコンクリートの土台の上には立派なカラタチの生け垣があって、中が見通せなかったのですが、最近、伐採されて建物の西の側面が道路から見えるようになりました。
 それにしてもこの生け垣の伐採、いかにも不揃いですね。プロの手を煩わせず、身近な人が切ったのでしょうか。

  

 正面の方へ回って見ましょう。広い門構えがあって、そこから撮ってみました。玄関は門から少し横に入ったところにあり、そこへと玉砂利を敷き詰めたイントロがあります。
 辺りに誰もいないのをさいわい、正面玄関に近づいてみましょう。

  

 これが正面エントランスです。
 質素には違いないのですが、どこか普通の民家とは違ったたたずまいが感じられませんか?

 私の記憶によれば、この建物は昭和30年代までは岐阜県知事の公舎だったのです。
 しかし、知事が選挙で選ばれるようになったのは戦後(1947=昭和22年)の新憲法以後で、それ以前は官選知事、つまり知事も官僚だったわけですから、知事公舎ではなく知事官舎といっていたように思います。
 余談ですが、現憲法以前の知事は、お上が地方へ派遣するお代官様のような存在だったわけです。だいたい、地方自治という概念そのものが、現憲法以前にはなかったといっていいでしょう。

 で、現在は何になっているかというと、長年、岐阜県知事を務めていた人(岐阜の県産酒の蔵元)の一族がここを引き取ったというか払い下げられたというか、とにかくここを入手し、その知事だった人の末裔が使用してきました。その子供は国会議員になり、大臣などを歴任しましたがもう引退し、今は孫に当たる人で、やはり現在国会議員になっている人の事務所として使われて来ました。
 
 ただしこの人は、選挙区制の変動により、今やこの選挙区を地盤としていないため、近々事務所を引き上げるのではという噂が出ています。
 近年、生け垣などが刈り込まれず荒れ放題で、ついには上に述べたように伐採されてしまったのはそのせいかもしれません。

 そうした噂を聞いて、ひょっとしたら取り壊されるかも知れないと思い、写真に収めたわけです。
 それにしても、質素というか質実剛健というか、議員宿舎などに無駄な税金を使い、あまつさえそこへ自分の愛人を泊めるなどということを平然と行う連中に見せてやりたいものです。
 
 しかし、現状の知事公舎はどんなものでしょうね。以前の愛知県のそれは知っていましたが、今の岐阜県のそれは知りません。
 でも、知事さんもだんだん偉くなって、「国会議員になってやってもいいが、そのときには総理にしろ」などと啖呵を切る時代ですから、いろいろ様変わりしているでしょうね。
 ま、それも地方自治のひとつのありようでしょうか。


コメント (6)
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