イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

命短シ

2009-08-24 00:01:31 | 夜ドラマ

『任侠ヘルパー』20日放送で7話を数えましたがテンションが落ちないですね。重いお話を重いだけに終始させないテンポのいい話法でまったく飽きさせません。

要介護老人役で毎話ゲストインするベテラン俳優さんたちも、いちいち真っ芯に当たっている。13日の第6話では色ボケセクハラジジイ?と見えて実は初恋の女性への一途な思いを秘めていたロマンティストのダンディお爺ちゃん・風間役、かつてのロカビリーアイドル・ミッキー・カーチスさんが、お洒落に枯れた感じで好演されていました。

車椅子で女性ヘルパーの身体を触ったり、女性入所者の個室に夜這いしたりでタイヨウの問題“児”的存在だった風間が、学生時代の初恋の多恵子(木村夏江さん)と思いがけず再会したことで、「歩けるようになったら多恵ちゃんをデートに誘う」と真剣にリハビリに取り組み、デート先の美術館までの石段をステッキついて上れるまでになった。

多恵子さんは施設内では風間の秋波に笑顔でこたえてくれますが、実はすでに認知症が進み、風間を死別した夫と間違えているだけ。風間も途中で気がつきます。しかし彼にとってはいまだに、学生時代に告白できなかった憧れの“多恵ちゃん”なのです。

ここまで来たら一回ぐらいドラマ上、プラトニックなデート成立させてあげればよさそうなものなのに、デートの前夜、彼女は肺炎をこじらせ急逝していました。

つらい報せに駆けつけた彦一(草彅剛さん)に「…もう少し待つか」「女の支度が遅いのはしょうがない、それでもモテる男は最後まで待つもんだ、そういう男に、女は“心底自分に惚れてる”と思うんだ、オマエもいまからそうやっとけ」と精一杯強気にやり返したあと「しょうがねえなあ…女は」と涙する風間。女性から女性を渡り歩きながらも独身を通し、要介護の老境になるまで何十年も再会を夢見ていた彼女なのに、叶ったと思う間もなく手の届かないところに行ってしまった。

先日の記事でちょっと引き合いに出させていただきましたが、風間役を三國連太郎さんのような、あからさまに“現時点でも”ねっちょりセクシーな高齢俳優さんではなく、枯れ具合と“遊び人残存度”のバランスがちょうどいいカーチスさんが演じたから成立したのだと思う。賞賛として言わせていただきますがカーチスさんが専業俳優でなく、“憎たらしいほど演技巧者でリアル”なわけではないから、このエピソードは一抹さわやかに終われた。

自分には姑にあたる多恵子さんに、熱くアプローチする風間を「いやらしい」「70過ぎた認知症の年寄りが、恋愛なんて汚らわしい」と嫌い、「近づけないで下さい」と多恵子さんをタイヨウから退所させてしまった嫁・百合(横山めぐみさん)も、遺品の中から、大切にしまってあった風間との卒業写真を見つけて、単に認知症でお義父さんと混同していただけではなかったのかも…と気づき「お棺の中に(この写真を)入れてあげようと思います」と理解してくれたのが、ラストの救いとなりました。

“異性を好きになる気持ちに年齢(や認知症)は関係ない”というメッセージと、二本橋(宇梶剛士さん)の復縁エピとの接点の持たせ方がちょっと強引に過ぎた気もしますが、風間が二本橋に、ヘルパーと要介護者の立場を超えて「心底惚れた女と、一生添い遂げられるなんてな幸せだよ」と人生の先輩として諭す場面は味があったし、ここに味があったから「風間さんにお母さんをデートに誘わせてあげて下さい」と、多恵子が引き取られて行った自宅に夜半懇願に押しかける二本橋にも説得力があった。

前妻との復縁が“老いらくのなんちゃら”に入るほど二本橋は高齢じゃありませんが、“極道だって、惚れた女を幸せにしたい気持ちは誰にも負けない”という矜持を回復させてくれたのは、彦一たち若い任侠研修仲間ではやはりなく、女性に夢を見続け、逃げられてもしくじってもなお恋する心を拠り所に生きてきた風間でした。

二本橋の多恵子宅への“夜襲”に、彦一が同行するのも、風間の件で「利用者の色恋には立ち入らないように」「そもそも認知症で判断能力のない人に、初恋だからって言い寄ろうとするほうがどうかしている、頑張ったところで過去は取り返せない」とたしなめる先輩ヘルパー零次(山本裕典さん)に、「年食ってたら人を好きになっちゃいけねえってのか!」と二本橋が抗って乱闘になりかかったとき、ヘッド一発で冷静にさせてくれたのが彦一だったからこそ。

人物がどういう行動を、誰と共同で起こすかというところに、いちいち根拠があるんですね。

風間に励まされ、娘から再婚間近と聞かされた前妻と、復縁の決心も新たに待ち合わせるも、車で送ってきて心配そうに見守る再婚相手と前妻の様子を目にすると立ちすくんでしまう二本橋。長身の二本橋が、堅気らしく清潔に見えるようにと選んだのであろう、白ポロの大きな背中を徐々にロングで引くようなカメラワークが、漫画のコマ割りでよくありそげなんだけどここはよかった。

エンドロールとともに任侠仲間に「この次はもっとオッパイの大きい女と付き合おうかと」と冗談紛れに復縁断念を示唆した二本橋、“惚れた女の幸せを離れて祈ってやるのも男の思いの伝え方”“オレの大切な女は、離れても生きているのだから”と、苦いながらも吹っ切った表情を見せました。

身寄りもないまま、懸命のリハビリで漕ぎつけたデートが永遠に空振りに終わった風間の、その後は描写されないのがこのドラマらしい。無理やりにめでたしにはしないんですね。

月河の脳内では、“認知症と言えどもお義母さんに僅かでも気持ちがあったのなら汲んであげればよかった”と反省した嫁の百合さんが「その節は失礼なことを言ってすみません、せめてお焼香にいらして下さい、うちにお義母さんの元気な頃の写真がありますし」「なんならアルバムと形見の品をいくつか持って、そちらに面会に伺います、タイヨウの皆さんにもお世話かけたお礼を」と連絡をくれているのではないかと補完されていますが。

お話としては、百合はラスト直前まで“悪役”のポジションですが、人の見分けもつかず玄関を出て徘徊しようとするお婆ちゃんを「ご近所に見られたら恥ずかしい」と思ってくれる家族がいるということはある意味幸せだと思います。何が恥で、何が恥でないかは、正常なオトナならご本人が判断すべきことで、家族といえども仕切られる筋合いはないのですが、正常でないなら“代わって判断して仕切ってあげなければ”“この人の恥は、私の恥と一緒”と思ってくれる人がいるということですからね。恥を共有してくれるというのは、エゴでもあるけど同時に親身なのです。

そう言えば多恵子さんのタイヨウ入所前の現況を描写する冒頭の自宅での場面で、「(認知症の)お祖母ちゃん明日から施設だよね、やっと家に友達呼べる」と生意気を言っていた中学生?らしき百合夫婦の娘が、介護を手伝うでもなくリビングででれっと見ていたTVはお笑い番組で、映っていたのはどう見ても流れ星でした。わはは。ちゅうえいの“ゲートボーラーよねぞう”ネタだったら笑うね。ゲボちゃん。「この入れ歯をプレゼント」。

風間爺ちゃん、カーチスさんが演じているところからして“若者の味方”っぽいし、出入り許可になったらあの娘のハートをキャッチするんじゃないかな。アップ無しでちょっとしか映らなかったけど、あの娘、卒業写真の多恵子さんに似てなくもなかったような。

そんな、描写されない奥、エンドタイトルの先まで想像させる、このドラマは突飛な設定にくるんでとても深く真面目に作ってあると思います。

20日の第7話もしみじみ良かったので、次回8話の放送の前までには復習を。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もそもそももそっとおいで

2009-08-23 00:16:10 | 音楽

デジタルオーディオのおもしろ機能のひとつに、おまかせチャンネルってのがありまして、手持ちCDの中で「これは携帯して聞きたいな」と思うアルバムまるごとや、楽曲単体を、バコバコ転送して行くと、勝手に読んで解析して、“アクティブ”“リラックス”“アップビート”“スローバラード”“ソファラウンジ”“アコースティック”“エレクトロニック”“クラシック”“エクストリーム”といった曲調ごとのチャンネルに、曲を振り分けてくれるんですね。

これら曲調基準のチャンネルのほかに、入れた楽曲ぜんぶの“全曲シャッフル”と、もうひとつ時間帯ごとに“朝のおすすめ”“昼のおすすめ”“夕方の~”“夜の~”“深夜の~”というチャンネルもあって、スイッチオンした時刻なりに選曲してくれるわけです。

あまり考えなしに転送しているんだけれど、気がつけば自分の好みがはしなくも円グラフのようにあらわれるのがおもしろい。外回りの移動中や出先での待ち時間、もしくは在宅なら家事作業中など、どちらかというとのんびりゆったりとはしていられない時間帯を想定して購入した音響媒体なのに、現時点でいちばん曲数が多いのは“リラックス”で、全曲の6割近い。

次いで“スローバラード”と“アコースティック”が同数ぐらいで3割少々(もちろん複数チャンネルに跨っている“汎用性の高い”曲もありますが)。

自分がいま、“携帯する音楽”に何を求めているかが改めてわかりました。

図抜けて少ないのが“エレクトロニック”で全体の34%。別に打ち込み系が嫌いと言うわけじゃないんですが、ここに入った“顔ぶれ”を見ると原因がわかる気も。ヴォーカル曲、特にJポップJロックをほとんど入れてないんです。

8090年代の邦楽チューンを入れたら、かなりな率でここに振り分けられるはずですが、出先待ち時間や家事中に日本語歌詞の曲は結構邪魔くさいので避けたということもある。ひと頃、湿っぽい曲でも甘っちょろアイドルポップでも、なんでもかんでもとにかく打ち込みシャカシャカ鳴ってりゃ新しいと思って売り出したり、出されりゃそれなりに新しがって聴いたりしてた時代がありましたよね。アナログ盤でしか持ってないタイトルも多いんですよね。

“エクストリーム”も比率としては“エレクトロニック”よりちょっと高い程度ですが、ここに入ったのは月河の場合ほとんど特撮ヒーローソングでした(呆&納得)。

でも、『デカレンジャー コンプリート・ソングコレクション』での白鳥スワン(石野真子さん)『MOTHER UNIVERSE』なんかは“ソファラウンジ”、同じく朝川ひろこさんの『私だけのぬくもり』(←ホージーの恋人テレサがEpisode 37で弾き語ってた曲ですね)やウメコ(菊地美香さん)のキャラソン『すなお ~今を信じて~』などは“スローバラード”に入るわけです。なかなかわかりやすい。

それにしても“エクストリーム”=極端、末端、ってすごいジャンル名だ。

またおもしろいのは、いままでのところ“本物”のクラシックCD1曲も入れていないにもかかわらず、“クラシック”に振り分けられた曲が2割ちょっとあるんです。ヴォーカル/インストを問わず、ピアノやストリングス、ホーンといったナマ楽器主体の音で、特に出だしがそれらの楽器のどれかのソロでそろっと始まると、たとえ“具”“あんこ”の部分がかなりポップでも、こう解析される率が高い様子。

左柱←←←のオールタイムベストの中では、コーニッシュさんの『愛の迷宮』や、岩本正樹さんの最近作で、この柱にも今日載せたばかりの『夏の秘密』は、とりわけ“クラシック率”が高いです。井上陽水さんの『カナリア』もここに入ったのにはちょっとびっくりしました。

“本物”のクラシックで、あんまり長尺だと容量を食うのでたくさん入れられませんが、ジャンル別小曲集とか作曲家別シリーズならいけるタイトルがあるかもしれないので、今度試しに入れるだけ入れて振り分けさせてみようかと思っています。

ちなみにいま1630を少々回ったところ、“夕方のおすすめ”チャンネルをチョイスすると、陽水さんの『なぜか上海』。

次に『夏の秘密』から『暗い階段』、『愛の迷宮』から『丹花の唇』、『白と黒』から『ひた走る』、『金色の翼』から『空の匂い』、『ゴーオンジャー ソンググランプリ』からケガレシア様(及川奈央さん)『桃源郷』、『美しい罠』から『波紋』…といったところが流れてきます。ここらへんはまったく異議なし。もしデジタルオーディオのおまかせでなく、自分が任されて“マニュアル分け”したとしても“夕方”に入れるでしょう。『桃源郷』は“夜のおすすめ”にも入れるかな。

こうなると、全体の地合いから、あからさまに浮くに決まってるようなヤツも悪戯で転送してみたくなりますね。アニメソングやみんなのうた系なら、アレンジ次第で結局“アクティブ”“アップビート”、さもなきゃ“エクストリーム”に入りそう。

長唄とか転送してみるかな。雅楽とか。“ソファラウンジ”に入るかな。究極の“クラシック”かな。陽水さんの『カナリア』の次にいきなり雅楽が来たら、目が醒めるかもしれませんが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

白水晶紫水晶

2009-08-22 01:19:39 | コスメ・ファッション

以前の通勤先に近く、よく利用していたけれど最近ご無沙汰しているコスメショップのポイントカード期限が切れそうになっているのに気がつき、ちょっと足を伸ばして、セール品か消耗品の買い足しでもしようと思ったらついつい香りモノの棚へ。

今日は久しぶりに空気が湿気っぽくなく秋を思わせるカラッとした天気だったからか、はたまた当該ビルの空調が好適なのか、嗅覚がやけに調子がよく、いつもなら3種類ぐらい試したところで“お腹いっぱい”、ほとんど頭痛くなってわけわからなくなるパフュームテスターが、なぜか次から次へと嗅ぎ分けられてしまい、こういう日は何かひとつは買うべきだと思って、逡巡した挙句、結局ブルガリのオムニアクリスタリンに。

オムニアなら、アメジストのほうが圧倒的に好みだと思っていたのですけれど。白のパッケージにブロンズ色のロゴの涼感に負けてしまいました。

クリスタリン、日本デビュー浅い頃、04年の暮れ頃でしょうか、初めてテスターしたときは“いかにも西欧人がイメージしたアジアンビューティ”と嫌味に思えて敬遠していました。今日は全然そう感じなかったのだから人間の感覚なんてフィジー、いやファジーなもんです。オムニアシリーズ、あの知恵の輪みたいなボルト、じゃなくてボトルも使い慣れれば愛くるしいではありませんか。某シャネルのシンボルマークを“ひと捩じり”したみたいで。

オムニア、グリーンジェイド(緑翡翠)という名の、石好きとしては聞き捨てならないニューレーベルもリリースされていますね。今度テスター探しに行かないとね。

最終的にショパールのウィッシュ、バーバリーのウィークエンドも候補に残して、どれを買うか迷いましたが、可愛い系、モテカワお洒落路線よりちょっとオールドファッションドなくらいの香りのほうが月河は結局好きなようです。シャルル・ジョルダンのランソラン、ロベール・ピゲのフラカ、かつて愛用していまも忘れられない香りはみなそんな感じでした。

フェラガモの、シャインでもドリームでもブリスでもヘヴンでもない、元祖・インカントなんかも好きだったんですが、まだ現行健在かな。

『夏の秘密』は第60話まで終了。残すところあと5話。5話の中でさらに一転二転、複数転することは目に見えているのですが、それにしてもヒロイン世代が必死に取り組んできた謎解きが結局“親世代が過去にやらかしちゃったことの結果”に行き着くとしたら、なんとも脱力。

現在及び未来のための、若者たち(と言っても設定アラサーですが)の苦闘と、“人間、親が無くてはこの世に生まれて来ない”“善であれ悪であれ、親の過去の所為は子にのしかかってくる”という一種の“生誕イコール原罪の宿命”との対比だとしたら、それはそれできれいにまとまると言えなくもないのですけれど。05年のこの枠『危険な関係』も“構図の一郭”はそういう話でした。

そう言えば昨日(20日)の『任侠ヘルパー』7話で、下町トリオ“髪フサのほう”平さん役の市原清彦さんのお顔が見られました。

ハートフルバード社長の晶(夏川結衣さん)を法事の席で「母親を見捨てて死なせたくせに、自分の親の面倒も見られない者が偉そうに(介護の)商売して、目障りだ、さっさと帰れ」と罵倒する叔父の役で、ワンシーンですが“他人より冷たく意地の悪い親戚”を強く印象づけました。すでに杖にすがらないと歩けない叔父の両脇は、妻と娘(嫁?)が介添えしています。晶は「叔父さんが寝たきりになったら面倒見ますよ、料金は勉強します」と精一杯の反撃を見舞って、焼香もせず屈辱を噛みしめ立ち去りますが、この捨て台詞に一瞬虚をつかれて茫然と振り向き見送る、叔父の表情と挙措。

自分は面倒見てもらう一方で、面倒見る者の苦しみを知らない、知ろうともしない人間のエゴ、卑怯さを切り取って見せてお見事。写真好きで腰が軽く、気さくな下町の世話役・平さんとは、設定上の年格好は一緒でも対極な人物像。改めて俳優さんの表現力はすごいものです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蒼ざめたうさぎ

2009-08-20 22:20:43 | ニュース

酒井法子容疑者の覚せい剤事件報道で何がもやもやするって、いつの間にか酒井さんが“一世を風靡した国民的アイドル”みたいな修辞で表現されていることですね。

いや、人気あったのは確かだけれど、少なくとも“国民的”と言ってもまるっきりの大ウソでない級の人気知名度を獲得したのは、93年のドラマ『ひとつ屋根の下』の小雪お姉さん役、95年の『星の金貨』の聴覚障害少女役以降だったと思うのですがどうでしょう。

88年春のセンバツ高校野球の入場行進曲に、何とか言う前年リリースの曲が使われたこと、笑顔と涙顔2パターンのイメージポスターになって、当時の最寄り駅の改札口付近に貼ってあったことがうっすら思い出されますが、この時期の中森明菜さんや小泉今日子さん荻野目洋子さん辺りの曲なら56曲はたちどころにワンコーラスは歌える月河が、酒井さんとなるとさっぱりです。曲タイトルさえ、言われてうっすらどころか、言われても思い出せない。

どう考えても、87年初めにレコードデビューしてから『ひとつ屋根の下』までの酒井さんは、“おニャン子ブーム後、バラドルでもイジられキャラでもない正統派アイドルの居場所が狭くなる逆風の中、悪戦苦闘していた”、せいぜい“苦闘なりに健闘していた”印象しか月河にはありません。

今般の事件後、ひどい媒体になると「“のりピー語”は全国津々浦々、老若男女に大流行した」まで言ってるところもある。当時は“ベタに可愛く清純派”のエリアにぎりぎり踏み止まったまま“ウケ狙い”という、二律背反の涙ぐましいイメージ戦略にしか見えなかったのに。

ざっと調べてみると、酒井さんが、森田健作さんや桜田淳子さん松田聖子さんをかしらに数々のアイドルスターを輩出したサンミュージック所属が決まってから、いくつものメディア冠(かんむり)オーディション、ミスコンテストでタイトルを獲得、872月にレコードデビューを果たすまで、TVドラマ脇役や男子向け雑誌のグラビアガール、VHD(いまで言うDVD)など、“一世を風靡”“全国津々浦々”とは程遠い媒体での小出し露出を試みており、すでに“新人アイドルをレコード楽曲メインで、利益の出る商品にするのは難しくなってきた”時代の必死な模索ぶりが窺えます。

いま現在の報道を契機に改めて振り返ると、酒井さんの場合、生まれつき背負った複雑な家族環境が、いきなりメジャー全開参入を躊躇させたのかもしれない。『ひと屋根』で軌道に乗ってからも、“清らかで健気”の表看板を維持する年月は、ご本人も周囲も決して楽ではなかったでしょう。

芸能スポーツ報道の場合、大したことない人の大したことない話題、ヘタすりゃ宣伝兼用の話題でも、“すごい大物の、大注目情報”のように針小棒大に言うのはいつものことですが、酒井さんを“国民的アイドル”扱いする背景には、メディアの中にも見守る視聴者読者にも「せめてそう思ってあげたい」という心理があるような気がします。思えば酒井さん、楽曲歌唱では突き抜け切れなかった殻をブレイクしたのは、“かわいそうな境遇なのに頑張っている”キャラをつかみ定着させたからこそでした。言わば、どんなに成功していても、(潜在的に)かわいそがられる”ことで10数年、表舞台を張ってきた人なのです。

できちゃった婚の旦那さんが先に逮捕され、「自分が教えて、一緒に(覚せい剤を)やった」「数回じゃ済まない、もっと前から何度もやってる」「別居していたが会えば会うたびに痩せてた、絶対やってる」と、妻を庇い気遣うどころか、先んじて“売る”ような供述をしているとも伝えられます。育ち盛りのお子さんもあることだし、芸能界復帰云々より安らかで堅実な更生の道、支えてくれる人はないものでしょうか。

しかし、山梨ねぇ。地元の人たちはこんなところで頻繁に言及されるとは思っていなかったでしょうな。山梨と言えば『笑点』の三遊亭小遊三師匠ですけど、もう大喜利でネタにされてるかしら。ドロボウならともかくクスリじゃイジりにくいか。

『夏の秘密』は第59話。いよいよ結末への秒読みに入ってまいりましたぞ。今日は加賀医師(五代高之さん)、護(谷田歩さん)に雉牟田(四方堂亘さん)大活躍篇。

舎弟が刺客に刺されて診療所にかつぎ込まれ、救急通報するしないで雉牟田からナイフ突きつけられた護が反攻するワンシーンだけのために“加賀医師、学生時代はスキー部”設定とスキーストック一式を物語世界に持ち込む。方円の器に随う叙述が相変わらずスマートです。受話器をはさんでの四方堂さん谷田さんの南欧系“熱濃顔”2ショットはワンシーンだけでは惜しい迫力があった。

自分を刺した張本人である地廻りやくざの小者を、刺されたその負傷の癒えない身体で救命したという手応えだけで「医者廃業、診療所立ち退きはやめた」と翻意する加賀医師、雉牟田に脅されながら加賀を手伝った護(←やくざ小者は本来、護を刺す気で加賀に誤爆)までが「浮舟の権利書は返してくれ、でかいビルを建てて誰かを見返してやろうなんて、博打と一緒で裏の誰かの駒に使われてるだけだ」「オレはこの町からやり直したい」と雄介(橋爪遼さん)に土下座。

なんかわかったようなわからないような風向きの変化だけど、“カネに釣られることを(本音のところでは)潔しとしない”信条というか侠気のようなものが、叩けば埃も出る生き方をしてきたこの2人の男たちにはあったということなのでしょう。

それにしてもよくよくヤバい患者や看護師、刃傷沙汰に縁のある診療所です。三日月神社に頼んでお祓いしてもらったほうがいいのでは。

そう言えば1819話で、借金地獄で家賃を滞納、首吊り自殺しかけた住人が運ばれてきたことがありましたが、あれは“紀保(山田麻衣子さん)が伊織(瀬川亮さん)から貧乏の苦しみを教えられる”プラス“紀保、伊織の隠された優しさ(=自責の念で飲み潰れた雄介を介抱)を垣間見る”のためだけのエピソードで、本筋用の伏線ではなかったのかな。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スッキリしない

2009-08-19 23:57:47 | 

先日試飲した、セブンアンドアイグループとSUNTORYの共同開発THE BREWの缶パッケージデザインは、よく見ると(よく見なくてもか)SUNTORY豊かとロゴデザインがそっくり、と言うよりほぼ同字体ですね。

字のサイズはTHE BREWBREW部分のほうがやや大きいかな。色もこちらはネイビー、豊かのYUTAKAはグリーン。

しかし(それぞれのリンクで画像を参照していただければそこはかとなく瞭然なように)SUNTORYロゴとの配列レイアウトといい、デザイン“思想”はきわめて近似しているではありませんか。

かたやTHE BREWはセブンアンドアイのプライベートブランド、こなた豊かは全国発売のナショナルブランド。しかも前者は新ジャンル、後者は発泡酒と括りも、価格帯も、たぶん訴求客層もかなり異にしています。

個人的に豊かをより贔屓にしているから思うのかもしれないけれど,全国発売で、菅野美穂さんに何ヴァージョンもCMさせておきながら、SUNTORYってば(先日物故された山城新伍さんのご親族じゃないけど)“優しさがない”と思います、豊かに対して。

リリース時期で言えば豊かが6月アタマ、THE BREW7月下旬で、豊かのほうがかなり先発なんですけどね。同じメーカーの後発、しかもチェーンストアの値ごろ訴求PB、なおかつ新ジャンルにパケデザインを似せられるのは心外だと思うんですけど。 

こうも若干義憤モードになるのも理由がありまして、先月、今月と2回、某ネット酒類通販から、非高齢家族贔屓のSAPPORO製品と抱き合わせでケース買いしたのですが、SAPPORO製品は7月購入分は外箱及び缶底プリントの製造時期が“6月中(旬)”、8月購入分は“7月中(旬)”となっているのに、我が豊かのほうは78月購入分ともに“5月中(旬)”。……つまり、市場発売前に作り置きの、ストック品なんですよ。

「売れてないんだなぁ」と嘆息してしまうではありませんか。結構注文件数の多い、回転も速いメジャーなネット通販どころなのに。

やはり、生みの親たるメーカーさんが後発低価格新ジャンルを似かよった缶パケで出すなどという“冷遇”をかましたからじゃないかと思うんです。そう言えば近隣の酒類取扱いコンビニでも、発売後ものの23週かそこらでケースから姿を見なくなってしまったなあ。菅野さんも頑張っていたのに。

つくづく“冷やし泡モノ”に関しては自分は縁が薄いなと思います。“気に入った順”に市場から姿を消して行くんですから。

「これはちょっとどうなの」と思ったラベルが季を跨いで生き残り、「タダで振る舞われて選択肢がないなら一杯ぐらいは飲めないでもない」と思ったヤツほど複数年、ケースに並び続けている。

SUNTORYと言えば、先日ニュースを賑わした100円新ジャンル・麦の薫りってのもリリースされているはず。こちらはイオングループ“トップバリュ”との共同開発です。お盆休みも終了、キタネイダス様(@ゴーオンジャー)風に言えば「もう夏も終わりゾヨ」だし、試さない手はないんですが、マックスバリュ、イオン各店、どこも定番買い物コースからは中途半端な場所にあるのがね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする