7月の、たぶんアタマ頃にダウンロードしたSUNTORY豊かのPC壁紙、青空にクレヨン太陽の下、満面の笑みの菅野美穂さんを見ていると、つい「花のいのちは…」と失礼にも思ってしまいますね。9月半ばぐらいだろうと思うのですが、SUNTORYの公式サイトラインナップからもあとかたもなく消えてしまいました、豊か。
やはり企画的に急造見切り発車だったのでしょうかね。ここでも以前書いた通り、セブンアンドアイのPB新ジャンル=ザ・ブリューと商品名ロゴ字体やパッケージフロントデザインのイメージが似かよっていたりなど、手抜き感ありあり。店頭での大量積みもほとんどなく、CMで知ってから初めて現物を見かけて購入した某大手流通グループのチェーンでも、あっという間にケースに並ばなくなりました。
8月のお盆休み前頃からは、買えたのはもっぱら安売りの、お米も扱ってるようなドラッグストアとネット通販のみ。ひまわりの花のような菅野ちゃんの笑顔に申し訳ないことをしたなぁと、メーカーさんに成り代わってお詫びしたい気持ちになってきます。
“糖質50%オフ”という健康志向と、「後味すっきり、香ばしい」という風味・飲みクチアピールとが噛み合わなかったのも敗因かな。何かをオフして減らして“カラダにやさしい”なんてことを中途半端に謳ってしまうと、お客さんに「そうだ、そもそもアルコール飲むってことは、カラダにやさしくない行為だったんだな」と余計なことを思い出させてヤブヘビになり、ウマいものもウマくなく感じさせてしまったりするものなのです。せっかくの後味すっきりも、香ばしいも、すべてムダな努力に。
SUNTORYは秋に、ジョッキ生8(エイト)クリアストロングをリリース、結局、はなからこちらのほうによりチカラを入れていた模様です。“クリア”で“ストロング”で、「こっちは8%!」と、格闘技の蝶野正洋さんが踊っていますからね。完全に“競合他社のアレとアレにガチ喧嘩売ってる”感じですよ。スレンダーな菅野ちゃんの天真爛漫な「玄米うまい!」とは体温も圧力も違うじゃないですか。なんだか玉屋のシュウマイ揚げみたいだったもんなぁ(ローカルすぎるか)。
健康機能系と言えば、10月に入りご当地メーカーSAPPOROから、新ジャンルでオフの贅沢なんていう、これまた競合上位社の既発品にケンカ売ってるようなネーミングの新製品も出ました。糖質こちらは70%OFF。グラスグリーンメタリックのベルトが目を惹く缶パケデザイン、「焙煎麦芽」と丸囲みで打ち出したはいいけど、囲み内部の下のほうに小っさく「一部使用」と、ポジティヴなんだか及び腰なんだかよくわからんプレゼンです。
原材料表示の中の“エンドウたんぱく”に、同社ドラフトワン初試飲時の悪夢(=ビールのさわやかさから程遠いにも、後味が悪粘っこいにもほどがある)が脳裏をよぎりますが、あれから5年は経ってることでもあるし、ご当地ブランドの食品工業技術洗練向上を信頼して…と気を取り直し目をつぶってトライ。
…………とりあえず“悪夢”ではない。
クチに含んだ感じ、ノド越し時点ではドラワンに比べるとかなり上々です。さっぱり感、爽快感は確実に向上。
しかし…ひとクチ飲み終わった後、舌がピリピリする“悪苦(にが)い”感触がなんとも余計。舌に残る苦味感なら先月発売のKIRINホップの真実も相当なものですが、今般のオフの贅沢、このホプ真のように「キリッ、スキッ」につながらない悪ニガさなんです。くだんのエンドウたんぱくなり原材料中の何かが余分、と言うより、ホプ真にふんだんにあるきわだった香り、フレーバー要素がないことが、舌へのニガみ残りを助長しているのかもしれない。
糖質70%オフというせっかくのキャッチから期待される、さわやかさやヘルシー感の薄い出来上がりになってしまいました。
いやほんと、洒落にならないくらい舌がピリピリするんですよ。ある種の口内炎のクスリでも飲んだみたい。て言うか飲んだ挙句ますます炎症悪化したみたい。ご当地SAPPOROの諸ラベルを基本的には応援している月河も、これはさすがにフォローのしようがない。
思わず買いだめの豊かを、チェイサー代わりにして洗い流してしまいました。こんな流れで飲んだからってわけじゃなく、豊かは本当にスッとしていて嫌みがなく後味も快適。惜しいことをしたなあ。