『爆笑オンエアバトル』2月29日放送(24:10~)が今年度通常回の〆となりました。放送開始3分、審査発表後に「番組最後に/チャンピオン大会出場者 発表!!」と太字テロップが出て、“チャンネルはそのまま”をアピールしていました。NHKがこういうザッピング対策みたいなことやると、逆にご愛嬌だな。もちろんこの番組のレギュラー視聴者なら、今日の本編終了後にそのお知らせがあることは織り込み済みです。
「この人たちがうっかり出場逸したら今年はチャンピオン大会見ないかも」とまで思っていた2組、トータルテンボス521kb1位・東京03が493kb3位とともに高得点当選で、まずは安堵。
トタテンは計量前の“今日の出場者”紹介Vでも、特に大村がものすごい顔をしてネタ合わせをしていて、やはり昨暮れのM‐1からの流れか、今期チャンピオン大会の最右翼兼“不特定多数笑かすだけのためにここまでマジになるオンバトってすごい”を象徴する存在として、NHK側も押して行きたいんだなというのが伝わってきました。
冒頭の「オレ最近よく****っぽいなって言われるんだよね」の****がどんどん長く細かく、「10人中○人から」の○がどんどん多くなってきてる時点でもう例のアレね、って笑えるんだけど、今回に関しては“例の”のレールに乗せて手堅く当てに来た感じ。
しかし、“当てに行く”と言えばなんだか消極的で能がないように聞こえますが、実際問題、当てに行って、本当に当てるのはかつての犠打王・川相選手じゃないけど大変な技量を要すると思う。
あとこの人たちは、「ハンパねぇ~」押しで来てた頃の印象とは正反対に、勢いでバーッではなくひとネタを実地で練って、演ってみて、また練って良くなるタイプらしいということもわかりました。これは短期決戦かつセミ→ファイナルとの2ラウンド2ネタ要求される大会でどう出るか。「開けてくれ!ガチャガチャ、ペッ(←両掌にツバ)」て大村がやり出すと“中華の部屋?”とつい思ってしまいますね。あのホテルネタは神がかっていたなぁ。
同点1位521kb響。今回のネタに関してはいままでのオンエアではいちばん良かったと思う。長友の“ぶりっこ勘違い女子”キャラはいまだにどうにも生理的に受け付けない部分があるのですが、この女子マネは要所要所で高飛車になるときが痛快。どうでもいいけど353kb7位でオフエアの豊(ゆたか)と名前並べると“豊響(とよひびき)”と相撲の年寄名跡みたいになりますね。しかも2組ともデブキャラ。本当にどうでもいいな。
東京03は今回の493kbでセミファイナル1位進出を決めましたが、正直今回は、スベったというほどではなくてもスイートスポットにジャストミートなネタではなかったように思います。“思わせぶりな同僚のウザさを避けようとするあまり、自分らの言動のほうがウザくなってる”という状況の可笑しさが軸ですが、むしろ「嫌いじゃないんだよ、嫌いじゃないんだけど、なんッかさー…」「うっとうしいよな」「(渡りに船!→)うっとうしいだろッ!?」のリズムとか、いっそ「何分に休憩入ったっけ?」「20分ぐらいじゃなかった?」「じゃまだあんな」の“いかにもバイト君群像”なダルさなどの、本筋に関わらない細部のほうがおもしろかった。“上司と部下”でも“先輩と後輩”でもない、完璧横並び人間関係の中での話、というのが彼ららしいと思う。
ただ話題の中心=“角田”が登場してからのテンション上昇度合いがもうひとつで、言うなれば06年M‐1本戦でのフットボールアワーの、“岩尾の戦隊ソングイントロツッコミ待ち”がずーーーと続いているようなノリ。今回は彼らのチャンピオン大会進出に期待する地合いが客席にあった(上位5組はすべてチャンピオン進出可能圏組、5位上々軍団ですら473kb~6位末高斗夢393kbという大差)から玉が入りましたが、本戦では角田のキャラにもうひと声オンしてもらわないと。
ストリークの4位481kbも本戦当確への期待でゲタはかされた感がありあり。全体のベタベタさはいつものことだけど、バックドラフトでドラフト、ポンチョでパンチョって、吉本が振った瞬間に、山田が発するボケが速攻読めますもんね。ノースリーから投げた瞬間にボールとわかって一塁歩かれるみたい…て野球ネタ伝染ってどうするんだ。
ネタ自体とは関係ないけど、神田アナとのネタ後トークが“あのICHIROもボクらの野球漫才のファン”を殊更強調していて、ネタの後味を悪くするくらい嫌味だった。イチロー選手が本当に花月に通うくらいのお笑い好きなら、彼らのユニフォームがレンジャーズとかマリナーズとか、そんなところに食いついたわけではないと思うよ。
話が逸れますが日本のマスコミ、特にMLBの放送権を持っているNHKの最近の“イチロー扱っときゃ間違いない”ムードにはうんざり。そりゃ“日本人で運動選手と言えば”な存在だけれど、ご本人がマイペースで求道者を貫いてる分、扱いを増やし重くすればするほど、称揚するマスコミも消費する視聴者もバカに見えてくるんだな。
バカと言えば上々軍団473kb…って前振りもあまりと言えばあまりですが、この人たちのオンエア3回観たけど、いつも思うんですよ。「ボケにツッコミを入れるのが漫才であって、バカにツッコミ入れるのが漫才ではない」。
あんまりバカ、バカ連発するのも失礼ながら、岡見のボケはどうしても“漫才のボケ”じゃなく、教室や部室にひとりはいるひょうきんなヤツが、あいつはひょうきんなヤツだからというコンセンサスのもとで“バカやってる”としか見えないんだな。だから鈴木のツッコミもツッコミと思えず、“バカやってるヤツに調子合わせて人気取ろうとしてる”と見えてしまう。なぜだろう。すぐ歌うから?歌に振りつけるから?子供時代ネタやヒーローネタが多いから?よくわからない。
しかも「ひょうきんなヤツだから」のコンセンサスに、観てる月河はどうしても加われないので、観ている間じゅう、終始居心地が悪い。
オチの鈴木「湘南しか守れないだろ」が、岡見の歌が桑田佳祐のモノマネになっていたからだということも録画再生二度めでやっとわかったくらいで、演じ方の粗さも“勢い任せ”として受け容れられる範囲を超えている。作り込んだテイストのネタや芸人芸人したたたずまいより、彼らのような部室ノリなキャラが客席審査員に受けやすいという側面も『オンバト』には以前からありますが、一度でも(あえて言うが)まぐれでも満kb出した以上、いつもいつもそこに乗っかっていられては困る。要するに、モノマネ入れるならちゃんと似るように練習するなりして、もう少し漫才として丁寧に作ってからイタに載せてほしいということです。この人たちはチャンピオン大会での成績云々より、まずは大会経験後のひと皮剥けこそ。
チャンピオン大会進出20組の顔ぶれを見ると、1位通過の東京03を筆頭に、2位我が家、13位ななめ45°、20位Bコースとトリオが4組で、17位にクインテットの超新塾もいるけど、あとの15組はコンビ、ピン芸人はゼロ。ちょっと珍しいベスト20となりました。
“チャンピオンになるしかない”トータルテンボス一押しでもちろん観るつもりですが、球威ないけど他の誰も投げられない球種を持つ19位風藤松原、なかなかミートしないが当たると弾道がきれいな8位イワイガワ、アベレージヒッターで“悪いときは悪いなり”にまとめてくる16位ハマカーンにも少しずつ(少しずつかい!)期待したい。最後まで野球に毒された文章になってるな。毒されたってことはないか。ストリークの呪いかな。