ここのところ家族が相次いで、高齢順に関係なく交代交代で体調を崩しているので、昨日も新聞・ネット、一日中情報源を何も開かないまま夜になってTVをつけたら、『ショカツの女』(テレビ朝日系21:00~)放送中。
片平なぎささんと言えば、永年勤続の“二時間ドラマクイーン”。月河も似た世代で、『スター誕生!』グランドチャンピオンの頃からお顔を見ていますが、今年亥年の年女、さすがにアップがきつくなってきたかな。
同年代の女性アイドル出身タレント・女優さんに比べると、熱愛だの破局だの結婚だの離婚だのの“消耗”が少ない分長持ちしてるなって感じですか。
浅野ゆう子さんなんかもそんな感じですね。きっと性格が男っぽいというか野太いというか、血中“オンナ濃度”が平均的に低いんでしょうな。
片平さんの場合、ゆう子さんよりデビュー当時からキャラに“オシャレ”“ファッショナブル”要素が少なく、化粧品CMや服飾誌グラビアで同性の憧れ・目標的地位に祭り上げられることもなく、いい意味でどん臭い感じだったので、逆に“世の隆盛や衰微、流行り廃れ”を免れてきている強みも感じます。
片平さんが多本数の2時間ドラマシリーズを持つようになったのは、89~90年代初頭からで、実はもう三十路にさしかかってからなんですね。
普通のゴールデンの連続ドラマなら、女優さん、主役が厳しくなる年代。ここから大幅に出演本数が増えていったのは、彼女の10代からの“実年齢より上に見える”キャラのせいもあるでしょうが、本当のところは“地上波TV視聴者の加齢”があずかって力大な気がしてなりません。
TVドラマ製作者、広告スポンサー及び代理店はつねに若者のほうばかり向いていますが、実際はどんどん若者はTV、特にドラマを見なくなり、見ているのは圧倒的に中高年化してきている。
片平なぎささんにはある意味失礼ですが、彼女の90年代以降の活躍は“TVドラママーケティングと、視聴者実働とのズレの象徴”かもしれません。
カメラマン役船越英一郎さんとの“友達以上、恋人未満”な関係が探偵活動の芯にあった『小京都シリーズ』や、東京の大学講師役神田正輝さんと“ラブラブで早く結婚したいんだけど、いつも秋山専務(大村崑さん)や事件に邪魔される”『赤い霊柩車シリーズ』がきつくなってくると、『カードGメンシリーズ』のように“仕事と家庭・子育ての両輪で頑張るお仕事ママさん”キャラがさまになってくる。
昨日の『ショカツの女』は真ん中へん前半寄りの15分ぐらいしか観ることができませんでしたが、“中ベテランで手腕もあるのに、キャリア至上の出世主義男性社会で軽んじられ冷遇されている叩き上げ女性”という、ついこの間まで市原悦子さんが演じていた『おばさんデカ・桜乙女』の二の線寄りヴァージョンの域にすでに達しています。
鈴木保奈美さんや、今井美樹さん、山口智子さん辺りより、片平なぎささんの30代以降のお仕事のほうがずっと、総括すれば“平成日本のTVドラマ史”そのものになりますね。
言わば、彼女の実年齢での“花”年代からの遠ざかりが、そっくりTVドラマの“訴求ターゲットと実際に動く年代層との乖離”とシンクロしている幸運さ。
それプラス個人としてのオンナ部分(結婚妊娠出産など)を優先しての“空白”期間なく出ずっぱりで、劇場映画でもVシネでも舞台でもなくTVの、それも2時間ドラマを主戦場にし続けている強み。
私は84年の『スチュワーデス物語』で風間杜夫さんに「ひろし…(ガン見)」とあてつけてクチで手袋脱いでた頃の片平さんがいちばん好きだがな。
山口百恵さんや榊原郁恵さんを継ぐ、ホリプロ可愛い子ちゃん路線アイドル歌手としてはついに“鉱脈”を掘り当てられなかった彼女に、“高慢な恋がたき”キャラは“やっと来たドンピシャ”に思えたもので。
やっぱりお顔立ちですかね。あのくっきり幅広二重瞼の、星を宿す勢いのぱっちりおメメ、“かわいい”の範疇を踏み越える寸前まで栄養の行き渡った頬骨回りの輪郭、昭和のベタ少女漫画の“意地悪金持ちお嬢さん”そのまんまですもんね。
クチもとなんかは涼しげで、“高慢”より“頑張り屋さん”が似合う雰囲気だけどなぁ。現在進行で演じているキャラもそんな感じだし。
そろそろ“怖いお姑さん”や“村の黒歴史を知る旧家の大奥さま”なんかも演じてほしいものです。