『爆笑オンエアバトル・セミファイナルA in廿日市』(2日24:00~25:00)、もうチャンピオン大会の季節か、という感じです。
01年6月に、当地で収録があり、めでたく審査員に当選してタマ転がしてきたこともある思い出の番組ですが、近年放送時間や曜日が頻繁に動いたため面倒くさくなり、あまりまめに録画チェックしなくなっていました。
Aを観ていちばん強く感じたのは、トータルテンボスが踏ん張ったなぁということ。「良かった」「面白かった」ではなく“踏ん張った”。誰もが嫌がるトップバッター、しかも、大部分藤田のツッコミ封印が前提で進むリスキーなネタを(意図的?)選んで、この得点に踏み止まれたのは彼らの底力としか言えません。「しのびねぇな」「構わんよ」のお約束応答が、しっかり笑いをとる上での足場、手がかりになっていた。これが出ると、観ていてホッとできるんです。お笑いにおける、これがキャリアの強みというものでしょう。
ところで何年か前のM-1で品川庄司も演っていたけど、この年代のお笑いくんたちは本当に刑事ドラマネタが好きですね。演りやすいし、「もしも…だったら」的想像が膨らむんでしょうね。刑事ものとヒーロー戦隊、あとコンビニ、ファミレス、これが若手中堅どころの基本ワールドですね。
キャリアと言えばキャン×キャンも、達者なモノマネが確実に加点する足場になっていますね。逆にモノマネの確実さに頼り過ぎになってきたのが気がかりです。マスオさん「エェ~?」やられると、ネタの本筋がどうでも良くなってしまうものなぁ。
逆に、ネタはいちばん彼ららしさが密に出ていたと思うし、演りきれてもいたと思うのに点数が伸びなかったのが東京03。豊本の低体温が最終的にぜんぶ持っていくという流れに、観客が慣れちゃったのかな。
それにつけても元プラスドライバー角田の大声芸が、アルファルファ飯塚豊本と合流後ああいう方向に展開するとは思っていませんでした。プラドラは設定は面白いのに演じ方がもちゃもちゃして破壊力不足なことも多かったので、開花したと言えば開花したのでしょうが、好き嫌いで言えば月河はプラドラ時代のほうが好きだった。特に00年暮れのオンバトSPシャッフルコントでアンタッチャブルと組んだ『家族への告知』での角田は、いまでもベストバウトだと思っています。
レギュラー放送のチェックをサボっていた間に、こんなすごいのが出てた、観て知って良かったと心から思えたのはラバーガール。お笑いにおいて“暴走しても暴走しても低テンションのまま”というのが、月河いちばん好きなんで。あのネタで、名前出ただけのフェルナンド・アロンソはともかく、佐藤琢磨選手にはなんらかの権利関係発生して来ないのかな。
彼らのすぐ後という演技順がアンラッキーだったかなと思うThe Geese。刑事鬼貫八郎ばりに砂糖入れまくってたこと、フォーク、トイレ、携帯にかかってきた電話など、前半のすべてが伏線になるという気持ちいいくらいの物語世界反転。欲を言えば、照明オフしてヒーローインタビューのフォーマットになった瞬間、“フォーク”の使い道が見えてしまったのがもったいなかった。「あ、コレ、“フォーク”来るぞ来るぞ、ホラ来た」ぐらいの感じになってしまった。もちろん、その“来るぞ来るぞ感”を楽しむというお笑いコードもあっていいとは思うのですが。
“来るぞ来るぞ”ついでに、佐久間一行。オンバト常連で言えばユリオカ超特Q、星野卓也、田上よしえ、パッション屋良辺り同様、見るたびに「…コレ、観てて楽しい?」と周りに訊きたくなる一人でした。佐久間の場合、社会性不足な幼稚園児なんかで、普段からああいうノリの子リアルに居そうじゃないですか。なんか、見ちゃいけないものを見せられてる、笑っちゃかわいそうなものを笑えと迫られてる感じが拭えなかったんですよ。
しかし、昨日久しぶりに1ネタ通して観ると、「ついてこ~い!」がいつ出るか、結構楽しみにしている自分がいる(爆)。客席もここがいちばんうけてましたね。ネタ中“トビウオ”を通奏低音(高音?)のようにずーーーーっと休まなかったのもよかった。
はっきりパワーダウンしたなと思ったのは超新塾。ネタの細部が杜撰(ずさん)で“セリフを言い切れてない”ところが多すぎだし、4人が同じお題でボケて行き最後に掬ってギュッと搾る、という流れが、見るたび平均ペースになってきてるのがちょっと嫌な予感。逆に考えれば、スタイルが観客に受け容れられ定着して来たいまがいちばんフレキシブルに動ける時期でもある。ファイナルまでにどう補強してくるか。
あとは可もなく不可もなし。来週はセミファイナルB、今度はきっちり録画スタンバイ。金曜夜なので『わるいやつら』最終章もあるし、来週末は録画チェックが忙しくなりそうです。