まな板で小口切りにしたネギなどを、煮立った鍋に入れようとしてまな板ごと傾けると、一切れ鍋の外にポロッと落ちて直火炙り黒焦げになってることがありませんか。
そんなとき思います。「人間でもいるよなぁ、こういうヤツ」。
団体行動や、流れに乗るということが苦手で、一人だけ違うことをしようとして自分で自分の首絞めてるヤツ。
半年あまり前に気がついたのですが、右の瞼に、一本だけ曲がって生えている睫毛があります。毛先から三分の一ぐらいがカーブして隣の睫毛の茂みにお邪魔している。
日常生活には何の事もないけれど、たまに頑張ってマスカラを塗ろうとすると、ソイツだけ綺麗に付かない。それ以前に、ビューラーにきちんと挟まらない。
両隣は上へ向かってカールできているのに、ソイツだけ横を向いている。
毎日鏡で見ているうちに、こっちも静かな苛立ちが溜まってきて、それならば!と、ビューラーに挟まらないことを逆手に取って、両隣をぜんぶ垂直に上向かせて避難させておいて、ソイツだけ残してエイッと毛抜きで抜いてやったわけです。
あーすっきりした。………ところが、一ヶ月、二ヶ月たつと、また伸びてきた。
図々しいのか、根性があるのか、同じ方向に、同じくらいの曲がり具合でカーブして。
もう少し伸ばして、安心させておいて、またエイッとやってやろうか。
それとも、いつか考えを改めて真っ直ぐになるまで見守ってやるか。
なぜか、見つけた当初ほどは、静かな苛立ちが溜まらなくなりました。