昔の山田日赤にはいろいろと思い出がある。
あの当時、橋本ドクターは第一外科に在籍。呼ばれて15分以内で病院へ駆けつけることができる範囲をさまよっていた。近くの飲み屋の座敷で飲んだ。いつものようにビール・・・しかし生チュウのジョッキ2杯程度で崩れるようにへたり込んだ。
村田ドクターとも同じ店で飲んだ気がする。高橋ドクターもいっしょだった・・・ともに第一外科。これまた顔がすぐに赤くなる。しかしなんとか最後まで踏ん張ったのは若さゆえか。その日、俺は村田ドクターの部屋に泊まり、翌朝村田ドクターに急き立てられるように車に乗り込む。伊勢市駅まで送ってくれるのかと思ったら塾まで・・・あれから村田ドクターは手術だったはずだ。
鳥羽の先生の子供が生まれた時も祝いを持って駆け付けた。
・・・そんな山田日赤が敷地ごと変わってたなんて思いもしなかった。その周りには「白揚」「あかのれん」「バロー」などの大店舗に加え、おしゃれなお店が並んでる。垂水では潰れた「カプリチョーザ」もこっちじゃ元気なようだ。今、伊勢で一番人が集まっているんじゃないか・・・。
ここの「白揚」で化学重要問題集をゲット、鼻谷(5期生・伊勢新聞)に連絡すると昼食の時間に抜け出せるとのこと。昨日聞いてた『こさく』で0時30分ごろに待ち合わせ。それまでを勢多川沿いの河崎のひなびた街並を散策する。
ふいに現れる古本屋・・・中に入ると戸がきしむ俺に反応したのか、奥からおじいちゃんが姿を見せる。クセがある古本屋・・・地元の史書はともかく、アイヌ系の書籍が並ぶ。みな、パラフィン紙がかかっている・・・懐かしい装丁やな。『アイヌ民族』・・・本田勝一と久しぶりの邂逅やで。文庫本コーナーは地元だけあって神道がらみが多い。一般の小説は少なく、半分以上が歴史関係。
日本史を教える必要性に迫られているからか、『世直し』(岩波新書)と『近藤重蔵とその息子』(PHP文庫)を買ってしまう。
小雨になってきた。傘をたたんで歩き出す。東京の空・・・少しでも早く雨がやめばいいけどな。
待ち合わせの場所、『こさく』は23号から新開北の交差点を北上したところ。パチンコ屋の手前だ。駐車場は見事に車で占められ、俺は『しまむら』の駐車場に車を置いて店内へ・・・奥さんに急かされながら長袖のシャツを選ぶ。
「僕はね、なんていうんかな・・・器めいたものを作りたいんですよ」 鼻谷の会話が弾む・・・注文してから料理が運ばれてくるまで45分・・・その長さがさほど気にならない話の内容となる。
切りマグロのフライ定食・・・鼻谷のお勧め。「これはね、醤油をかけるんですよ」と醤油を前に置く。有無を言わさぬ態度だ。これをと心に決めた奴は何をさせても迫力がある。