２５度目の春

津高の成人式にもぐりこんだのは３年の亜里と真奈に２年のあい。
「なんでオマエがここにおるねん」との先生からのツッコミに亜里、「妹がいるんです」
そして真奈・・・「親族です」
ところがあいはなぜかツッコマれなかったようで。
３人の先輩が密航して入学式が始まったとか。
「絶対に玄太、緊張してましたよ。だって玄太のあんな声、今まで聞いたことないもん」と亜里。

あいが今日久居駅へ自転車で行く途中、みるからに仲の良さそうな夫婦が前を歩いていたとか。
その夫婦を抜かそうとしてチラリと視線を這わせると・・・「甚野先輩！」

その甚ちゃんから深夜の定期便？
「先生、寺沢って覚えていますか」
「ああ、確か15期生・・・大森（第三銀行）や菊山（小松製作所）と同期やったな。でも、大学に行ってから１度だけ塾に来てくれた。それっきり音沙汰なしやったけどな」
「その寺沢がいましてね、甚野先輩覚えていますか？って」
「そりゃすごい、よく県職員の試験に合格したよな」

そして昨夜、急に塾を訪れた三重高２年の兄ちゃんとお母さん。
「先生、昔近くに『宝友堂』という本屋があったでしょ。そこに先生、よく見えてましたよね。そして本を大量に買っていかれましたよね。あの頃は下駄を履いて、ロングヘアーで・・・私、あそこで働いていたんですけど、一度だけ聞いたんですよ、先生に・・・ご職業は何ですかって。あの頃はまだ子どもはいなかったんですけど、いつか『れいめい塾』に自分の子どもが通う日が来るのかなって・・・実は、あの頃に出た広告の『２５時』は、家のどこかにまだ取ってあるはずなんです」
たまたま話している横をあいが通り過ぎた。
「あの子が俺の娘ですよ」
「へえ、・・・れいちゃん？それともめいちゃんですか？」
いやあ、よくご存知で・・・。
「いや、その下の子で、あいといいます」
「じゃあ、れいちゃんもめいちゃんも大きくなって・・・でも、あれから20年ほどが経ちますからねえ」
「いつの間にか、50歳を越えてしまいました」
「でも・・・先生がどんなふうに変わっているか、興味があったんですけど・・・それなりに・・・先生はやはり先生ですね」
初対面にしては奇妙な話題だ。
しかし、居心地は悪くない。

さて、俺の昔をよく知るお母さんの息子だ。
体育会系の匂いプンプン。
感心したのは小学生の千里が俺にできたプリントを持ってきたときだ。
遥か年少の千里に対して「コンチワ！」と挨拶。
あいの言葉を借りると「ウチの塾には珍しいイケメンタイプや」となるが、成績ボロボロというサッカー少年、意外と化けるかもしれぬ。
ウチの塾に密航してくるなら立命館で勝負してみたい素材だ。

今年の春は意外な発見の連鎖。
人と人とを結ぶ輪がじょじょに縮まってきている気がする。
心地よい風に包まれている。
思い出に残る春になる。







昨日の昼は奥さんと二人で昼食。
前々から気になっていた城山の三重銀行のむかいの『いすず亭』
社会福祉法人夢の郷が開いた自家製うどんの店。
値段は400円、さらに200円のお握りをセットにすると500円！
注文してから少し待たされましたが、ほんとうに優しい味で満足でした。

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