今日も竜太(18期生・立命館大学文学部4年)がやって来る。でも、今日は大歓迎・・・お母さん手作りのオムライス持参。なにせ大門『大森屋』の女将のオムライスである。
そこへ太郎(9期生・東海理化)がやって来る。聞けばおばあちゃんがよくないらしい。
俺が塾を始めて8年目の春、太郎は密航してきた。聞けば中1の3学期は学校に行かず、一志の山奥、室の口で過ごしたという。・・・今、流行りの不登校かと思いつつ、話を聞いた覚えがある。ふと、お母さんが俺に尋ねた。「先生はもしかしたら波瀬小学校と中学校の先生をしてみえた中山先生の息子さんですか」 「・・・ええ、そうです」 お母さん、波瀬小学校の俺の3年先輩だった。
ドアがノックされた・・・建てつけの悪いドアの隙間風が冷たかったから季節は冬のはず、ドアを開けると見知らぬ高齢の女性が立っていた。「孫を迎えに来ました。先生ですか?」 「はい、初めまして」 そう言うと、その女性は満面の笑みで俺を抱きしめた。「・・・こんなに、こんなに大きくなって・・・」
俺は小5の春まで波瀬の学校横の教員住宅で暮らした。性格が陰湿な俺は、何かあると教師の息子だと揶揄されたり、いじめられた思い出しか残っていない。・・・たぶん、いい思い出もたくさんあったはずだ。
珍しく時間に余裕があったのか、塾生をいじくり、からかい、課題を出しては子どものもとに帰って行った。今日は冷蔵庫にビールもなく、ケチャップもなく、タバスコもなく、マスタードもなかった。つまりは平穏無事な一日を塾生たちは過ごしたことになる。いつしか、そんなことも分からない生徒ばかりになってしまった。
「あいつは茶髪で鼻にピアスして3年間津高に通った、ちなみに文化祭では『ミズター津高』にダントツで1位になった」 潤奈(津東1年)と沙耶(津高1年)が驚きの表情・・・いやはや、今は昔だ。
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明日の岡山の授業は月曜日に延びた。月曜日の午前10時からだ。
竜太退散、「まあ、ひまだったら夜も来ますからね」 この健気さに免じて今日の1枚。