日曜日に従兄弟の息子、勇太とウチの家族と藤が丘食堂に行った。
そこで直嗣(15期生・医療技師)のお母さんと会った。
寛水流空手の先代総長の奥さんだ。
ウチの塾には次女の悠香(13期生)と長男の直嗣を預けていただいた、忘れられないご父兄の一人だ。
「先生、私も4人の子のおばあちゃんですよ」
「ええ! じゃあ、悠香も・・・」
聞けば悠香も二人の子持ちとか。
オープン選手権で優勝した悠香だ、さぞかし口も腕もたつ怖いお母さんになるやろね。
そして直嗣、今は千葉にいるという。
鈴鹿医療から広島大学院に進学、そして今年の4月から千葉の病院で働き始めたとか。
「なんや、おもしろくってしかたがないらしいですよ」
「まあ、鈴鹿医療から広島の院に行くときには、このまま流川で沈んでまうと思ってましたが、ちゃんと2年で卒業したのは立派。見直しましたよ」
直嗣も悠香同様、全日本オープン選手権で優勝している。
しかし大学進学後は空手から足を洗い、医療技師の道へと進んだ。
寛水流空手を習っていた塾生は多い。
啓介(21期生・拓植大学1年)もその一人。
啓介はオープン選手権で一度も優勝できなかった。
いつもいいところまではいく。
しかし、ガタイや雰囲気などで気圧されるような相手には戦う前から負けていた。
メンタルが問題だった。
中学校ではバレーボール部だった啓介だが朝明高校の監督の目にとまり朝明高校に進学。
それから啓介のレスリング人生が始まった。
優勝の味を一度も味わったことがない啓介が、空手からレスリングへと戦場を変えて再スタート。
奇遇というか、昼に直嗣のお母さんに会った日曜日、夕刻に啓介のお母さんが塾にいらっしゃった。
抱えた日本酒・・・越乃寒梅やん!
「先生、これ啓介が新潟で買ってきたお酒です」
たまたま奥さんが弁当を届けにきたときでもあり、3人で立ち話。
啓介の近況を聞く。
俺との電話では弱音を吐くタマじゃないが、さすがにお母さんには過酷な練習の泣きが入っているそうな。
高校時代、啓介がずっと勝てなかった選手がいた。
その選手は青山学院に進学。
今回の全日本でぶつかった。
「今まではころがされてばかりいたのに、今回は不思議なほどに楽に勝てたんですよ」
俺の電話ではそう言っていた。
それはお母さんにも同じように伝えたようで誇張はない。
啓介が大学に進学して格段と強くなっているのは間違いない。
しかし、そのいっぽうで普通の大学生の享楽追求型の青春が羨ましくなるのも分かる。
分かるがここは我慢やね、啓介。
才能がある者はその才能にさらに磨きをかけるべし。
磨きをかけるなかで男が磨かれる。
「昔はレスリングでけっこういいところまでいったんすよ」と、過去の栄光にしがみつくようなスネた男にだけはなって欲しくない。
啓介、6月のアジア大会での健闘を祈る。
一度、直嗣と啓介あたりとで東京でプチ同窓会やるのもいいねえ。
菊山(15期生・小松建設機械)や佑介(14期生・日本ユニシス)あたりが噛むとおもしろくなる。
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