「先生、これでアジア大会に出場です!」
「そりゃスゲエな、でいつからや?」
「6月7日から13日です」
「どおで開催するねん」
「中国です。先生、来てくれませんか?」
「なにを言うてんねん。無理に決まっとる」
「ははは」
「でな、決勝戦の相手は?」
「同じ拓殖大学の先輩なんです。実は練習の時は勝ってるんですけど・・・調子も良かったし、去年国体で負けた奴にも不思議なくらいの楽勝だったんですよ」
「やっぱ、須藤元気イズムで強くなったんかな」
「いや、須藤さんはあまり来なくって、試合の時くらいですね」
「となると西本監督イズムか」
「ええ、練習きついっす。朝から10kmほど走らされたり、朝練って午前6時半からですよ。それに全国2位になって大学に帰った日も深夜11時30分まで練習でしたから」
「でもオマエ、11時30分まで勉強するのに比べたらレスリングで11時30分までシゴカれるほうがいいやろ」
「ははは、完全に大丈夫ですね」
「でも全国2位になったからには監督にもちょっとは褒められたやろ」
「全然・・・怖い顔して、なんで負けたか分かるのかって。で、自分が前に出られなかったからですって答えたら、分かっていればいいって・・・」
「でも優勝と準優勝が拓殖大学から出たんやから嬉しいはずやけどな。まあ、あとの監督の懸念は不祥事や。啓介、気いつけや」
「はあ」
「とくに女の子や」
「ええ、アジア大会が終わるまでは女はいいかなっと・・・」
「えらい強気やな。オマエがその気でも相手がその気かどうか分からへんで。そやそや、オマエが中国でゴツゴツやってる時は京都で飛鳥(21期生・立命館大学産業社会学部1年)と飲むで」
「えっ、それって何なんですか」
「その頃に京都に行ってさ、今年立命館に合格した竜太(18期生・文学部1年)と飛鳥の祝いを兼ねてプチ同窓会や。健介(19期生・京都産業大学2年)や森下(8期生・環境学研究者)なんかと飲むねん」
「うわっ、いいなあ。俺も行こかな」
「そんなん来れへんやろが。まあ、東京ででも機会を見つけてやろさ」
「分かりました」
颯太(日生第一6年制4年編入)同様に、啓介もまた中学生活は平坦なものではなく、それなりに苦労させられた。
しかし今となっては、どうしても起きられない啓介を家まで起こしに行った日々が懐かしい。
啓介、せいぜい中国で吼えてこい!
オマエは和製ブローディだ。
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