契約に関するもろもろの問題も解決し、さわやかな笑顔で橋本ドクターが登場したのは午前1時。
そっから朝方まで甚ちゃん交えて飲み続ける。
甚ちゃんが高校生の部屋でダウンしたのでそろそろ店じまい。
橋本ドクターは以前からいたくお気に入りの真ん中の部屋で就寝。
俺が起きた頃には居合わせた中3相手に授業している。
タフやね。
そこへ森下(8期生・立命館大学院生命倫理)から連絡。
「先生、1時間ほど前に出航して今は東京湾・・・遠くに横浜マリンタワーが見えるよ」
台風一過・・・辺境サミットの始まり始まりである。
八丈島付近を通過する森下から電話。
「船酔いはどうや」
「いやいや台風通過もあってか、船員さんの話やと珍しいくらいのなぎでさ。普通やったら缶ビールがこけて甲板をころがっていくらしいけど、今日は缶ビールそのまま立ってる」
森下の口調、明らかにろれつが回っていない。
「オマエ、飲んでるの」
「飲んでる飲んでる、ハハハ」
無意味に受けてやがる!
「飲んでるもなにも今日の朝10時から飲みっぱなしや。酒酔いが勝つか船酔いが勝つか、なんてね・・・ハハハ」
夕焼けが絶景の森下に対して俺はといえば、トイレの電灯が切れたのでコメリに車を走らせている最中だ、クソッ。
午後8時、「今夜は誰も来ないかな」と名残惜しそうに橋本ドクター退散。
明日は家族サービスに明け暮れ、月曜日には再び呉に戻る予定。
週明けに契約の完全履行を確認し、経営コンサルタントと話し合い首尾が良ければ来週末に再び三重に戻る可能性もあるとか。
橋本ドクターが帰ったと思えば里恵登場。
油正の初日の「花祭り」持参だ。
そういや橋本ドクターからも「蔵」を貰ったっけ。
「蔵か、・・・有名な酒やね」と里恵。
「そうなん」と俺。
「先生はこっちのほうがいいわ」と「花祭り」を差し出す里恵。