弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(商標)】「八幡平マッシュルーム」地域団体商標登録へ

2020年09月17日 08時25分14秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
今日もほどほどに良い天気の@湘南地方です。

さて、今日はこんな記事

(日経新聞より引用)
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岩手の八幡平マッシュルーム 地域団体商標に登録へ
特許庁発表 東北で55件目、歯応え・味の濃さ特徴

特許庁は岩手県八幡平市の「八幡平マッシュルーム」を地域団体商標に登録すると発表した。東北で同商標に登録されるのは55件目。八幡平マッシュルームは八幡平地熱活用プロジェクト(八幡平市)がハウス栽培している。歯応えがあり、味の濃さが特徴だ。
(以下略)
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(引用終わり)

地域団体商標の登録要件の一つに「周知性」が挙げられる。
ここでいう「周知」は、例えばこのエントリ(京都芸大騒動)で述べた「周知」と同程度かあるいはハードルが低く、
産品の類型にもよるが、必ずしも地域的な広がりが要求されないケースもある。

とはいえ、年間約68~70トン(出願人が提出した証拠による)が全国的に見てどの程度なのかと言うと、
こちらのサイト(年度が違うので直接比較は適切ではないが)によれば全国のマッシュルーム生産量は約6,800トン。
全国の約1%のシェアというのをどう評価するか、というのは微妙なところ。
ただ都道府県別生産量を見ると、おそらく岩手県内でのシェアは限りなく100%に近い状況なのかな、という見立てはできる。
生産地が限定的に点在している、という点も登録に有利に働いたのだろう。
こちらのサイト(ジオファーム八幡平)をみると、馬ふんを利用した伝統的なマッシュルーム栽培を営んでおり、ストーリー性を読み取ることはできる。

出願人の法人格、「企業組合」なるカテゴリがあるのね(知らなかった…)。
企業組合についての説明はこちらが詳しい。
「4人以上の個人」で設立可能なのね、どういうメンバーなんだろうと思ってサイトを覗いてみたら…馬の紹介だし(笑)
まあそれはさておき、企業組合の組合員には株式会社などの法人や任意グループも加入が可能とのこと。
ということは、特定の法人が取り扱って有名になっていた地域産品について地域団体商標登録を行おうと思った場合、
企業組合を設立して当該法人を加入させれば登録できてしまう、ということ!?
(※周知性の立証にあたっては“組合「又はその構成員」による使用の事実”を立証すればよいので)
なんか抜け穴的な気もするけど、企業組合を設立できる時点で地域内のコンセンサスは醸成されているとみなすということなのかな。

すみません、今日はちょっとマニアックな話になってしまいましたが、
調べているうちに面白くなってきてしまい。。今日はこの辺で。


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