弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【商標】流行語大賞で学ぶ商標2020(第1回)

2020年11月12日 09時27分39秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!快晴の@札幌です。
昨日よりはだいーぶ暖かい感じ。

さて、もう発表されてちょっと間が空いているのですが、
今年も流行語大賞の季節がやってきました。
ということで今年もやります!「流行語大賞で学ぶ商標」(9年連続9回目)

ちなみに去年のエントリはこちら。それ以前は、去年のエントリから芋づる式に検索してくださいね。

今年の流行語大賞ノミネートはこちら
更に今年からは、tiktokの流行語大賞からもピックアップしてコメントしていきたいと思います。
両者は、ノミネート基準や年齢層が異なることから、一部重なるところはあってもかなり傾向が異なる。

(1)「ソロキャンプ」 結合商標、という選択肢 ~他人から見ればちょっとヤッカイなケースも~

敢えてコロナ関係じゃないやつから。
(元)芸人のヒロシさんに端を発している…のか、アウトドアそんなに詳しくない人間からすれば本当のところが良くわかっていないのですが、
「ゆるキャン」はドラマで観て楽しそーだなー、と思っていた。。。虫が苦手なのでハードルは高いのだけど。

さて、この「ソロキャンプ」という言葉。どうも昔からあるものではないらしく。
“近年では、ただ独りで行うキャンプは特にSolo camping ソロキャンプと呼ぶようになっている。”
(Wikipedia「キャンプ」の項より引用)
まあ一種の造語で、それが普及していった感じで。

こういう語の「登録可能性」は、ちょっと判断に迷うことが多い。
商標として登録されるためには、その言葉が『指定商品/指定役務(サービス)との関係で』普通名称や品質表示等に該当しないことが条件の一つなのだが、その条件に該当するか否かの判断時点は「査定/審決時」。
なので、“出願時には独特な造語だったけど審査されている間に品質表示になってしまった”なんてケースもある。
(※現状、出願してから何らかのアクションが出るまでの期間は平均12カ月超)

で、「ソロキャンプ」についてJ-Platpatで検索してみたところ、こんな出願があった。
独特な図形と、他の諸々の文字と、「Solo Camp」の文字の結合商標。
こういう場合、上記の条件については問題なくクリアする。
少なくとも独特な図形があるから、通常どんな商品/サービスとの関係でも、それが自他商品識別標識としては十分に機能するから。
(※先行で似たような図形なんかがある場合はまた別の理由で拒絶され得るが、それは別のはなし)

今後この商標が登録になった場合、実は第三者的立場では、少し困る。
指定されているのと同じサービス(この出願では「技芸・スポーツ又は知識の教授」他を指定している)について
「ソロキャンプ」を使用してよいか、或いは出願した場合にどう審査されるかは、微妙。
「ソロキャンプ」なる語が他者を排斥する力を有しているかどうかは、この出願/登録では明らかになっていない。

こういう場合、第三者としてカブる範囲で商売をしようと思うときには、
1)「ソロキャンプ」を文字要素単体で出願して3条拒絶をもらうか、
2)先願と同様に他の要素との結合商標で出願して登録を受けるか
のどちらかをしておくのが無難といえる(まああとは判定請求とか諸々あるのだけどたぶん通常やらないので)。
…とはいえ、そこを自社がコストをかけてまでやらなきゃならんのか?ということもあるので、
結局は事業内での知財にかけられるコストや事業規模に依存したりするのだけど。

というわけで、こういう出願は他者にとってはなかなか厄介だったりするのです。


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