弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【珍しく】IPDLでの「拒絶査定確定」の見極めは難しい【実務なお話】

2012年08月29日 09時37分33秒 | 実務関係(特・実・意)
たまには、弁理士らしいことも少しは書いてみようと思います。

今日は、クライアントからよくあるご質問の一つ。

【ご質問】
“拒絶査定が出て、不服審判が請求されていないことは、
 IPDLでどうやって確認すればよいの?”

【ご回答】

※ご説明の便宜のために、仮に下記のような経過情報が掲載されていたとします。
 「拒絶査定:起案日(H24.5.10)発送日(H24.5.14)作成日(H24.5.10)」

1.拒絶査定は、不服申し立ての手段が尽きたときに「確定」します。
  拒絶査定に対しては、「拒絶査定不服審判」を請求することができます。
  審判請求までの期間は、査定謄本の送達後3月です。

2.じゃあ、5/14+3月=8/14以降なら大丈夫…かというと、そうは言えません
  なぜなら、以下のようなタイムラグがあるからです。

(1)発送~送達までのタイムラグ = 最大1週間
  オンライン発送の場合「発送日」=「送達日」ですが、
  郵送(特別送達)の場合には多少の日にちのズレが生じます。
  通常郵送期間ですが、受取に時間を要した場合などを考慮すれば
  1週間は見るべきかと思います。

(2)「手続補正指示書」が発せられている場合=30日+α
  提出された審判請求書に不備がある場合、所定の期間を指定されて
  「手続補正指示書」が発せられます。
  この場合、書類がデータベースの入力部署まで回らず、
  記録の公開が遅れることがあります。

(3)庁内の事務処理?に要する期間 =約2週間程度

(4)IPDLへのデータ集積のタイムラグ =約2週間程度
  IPDLの更新は月2回ですので、タイミングによって最大2週間程度のズレ
  が生じます。

 以上を合計すると、「約3か月弱」のズレが生じる可能性があります。

 ですので、上記の例の場合、

 5/14+約3月(審判請求期間)+約3か月弱(タイムラグ)=11月上旬
 までは、
 「不服審判は請求されていないようだ」
 と判断することができない、ということになります。

 もっとも、IPDLは(というかデータベース全般の問題として)
 データ入力に人間が絡んでいる以上、ヒューマンエラーの可能性は排除されていません。
 したがって上記判断もあくまで「~ようだ」であり、100%を期することはできない
 という点は注意が必要です。


※追記※
 同業者の先生から
 「在外者の延長1月」と「不責事由6月」も考慮する必要がある、
 とのご指摘を頂きました。
 前者は頻度としてはそれなりにある話、
 後者は実際の頻度としては…? な話ですが、
 正しい情報をお伝えする必要がありますね。

 ということで、上記に加えて、出願人が在外者の場合+1月、
 さらに安全を見るためには+6月、ということになります。
 


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